eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

ブラックホールを信じますか?

2009-10-24 23:17:33 | 読書/新聞/映画など
ブラックホールを信じますか?

たぶん、ほとんどの人が信じています。しかし、ほんの少し前まで、天文学者も物理学者もまったく信じていなかった。

現在は、科学的にも、理論的な証明だけでなく、ブラックホールに落ちていく粒子が出すⅩ線を検出することで、実際に観測することも可能になっています。

実は、このブラックホールは、実に80年ほど前に見つけられていました。当時19歳のインド人青年チャンドラセカールによって。留学のため、英国にむかう途中でした。

かれが24歳の青年科学者となった1935年1月11日金曜日に開催された王立天文学協会には、イギリスの主な天文学者と天文物理学者のほとんど全員が顔をそろえていました。チャンドラは、そこで通常の倍の時間の30分をあたえられて、白色矮星の質量の上限をこえて一生をおえた星ではどこまでもつづく崩壊がはじまり、自分の重力におしつぶされて、密度は無限大なのに体積はゼロになってしまうかもしれない特異点があることを証明しました。

しかし、当時「世界でもっとも偉大であった天文物理学者」エディントンが、チャンドラをほうむるための周到な準備をひそかにすすめていました。チャンドラは、その直後に発言をもとめたエディントンによって罵倒され、侮辱され、悪意ある攻撃をしかけられました。

その結果「天体物理学は30年以上もの遅れをこうむることになってしまった」のです。

チャンドラのブラックホールは、だれからも無視され、忘れ去られました。チャンドラ自身も傷つき自信を失う。17歳でインドの物理学会に彗星のようにあらわれ将来を期待されたかれの、そうでなければさらに開花したかもしれない才能も人類は失いました。

「かれの偉大な発見は40年近くも見向きもされなかったのだ」晩年、かれはノーベル賞を受賞し、「かれがなしとげた発見は、科学の力を結集した最前線でしかるべき地位をとりもどした」

アーサー・I・ミラー著『ブラックホールを見つけた男』(草思社、2009年8月1日、2,500円+税)
「本書は、1人の人物の伝記物語というよりも、ひとつの発想がたどった道のりを語ったものである。」

写真のなかのテーブル上の書籍は、この本です。本のなかの写真は、エディントンとアインシュタインが語りあっているものです。窓の外は台風の接近で風雨が強く静かな音楽が流れる喫茶店で読みました。夜は、スポットライトが明るい居酒屋でビールを飲みながら、その続きを読みました。

まず、少なくとも学部学生と同程度の物理学の知識を学ぼうと思っています。教科書のような本もいくつか読み始めました。そして、いずれは、大学院生レベルの研究もしたい。(もちろん、大学院で経済学を学んだ者として、大学院生のレベルの高さは、少しは知っているつもりです。)