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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

安倍回顧録。 Abe reminiscences

2023-03-24 20:12:18 | 日記
 (1)安倍晋三回顧録(Abe reminiscences)が刊行、発売されたが、読む気はしない。安倍元首相の政治的立場、理念、思想、考え、手法から数々の疑惑に対して冷静に客観的に語り、記述しているとは思えないからだ。

 (2)首相経験者は辞任後歴史的検証として政治的影響力がなくなった一定期間が過ぎれば首相在任時の記録を回顧録として発表することがならわしになって、重要政策の決定過程などについて裏話、内幕が表に出てくる興味、関心はあるが、それも客観的事実、真実として語られる、記述されることが前提であり、安倍回顧録で憲法の独自解釈による集団的自衛権行使の容認、プーチン大統領との北方4島返還交渉、森友、加計問題、桜を見る会疑惑、旧統一教会問題、北朝鮮拉致問題など数々の重要政策、本人にかかわる疑惑、内幕について核心部分が赤裸々に語られる、記述される期待はない。

 (3)多分に自己満足、自慢型の自らの政策、理念、思想、考え、手法の正当性、適応性、妥当性を当時の政治状況を背景、理由にして論理主張するものであるものと考えられる。安倍元首相は祖父岸信介元首相、父安倍晋太郎元外相の政治家一家で育ち過ごしてきて、人柄の良さはうかがえるものだがやはり世間知らずは覆い隠すことはできずに自己理念、主張が強く(政治家には必要な要素は政治家一家で育まれたか)、他を受け入れることはしない独断性、独善性、排他性が強く、目的のためには自らの理念、思想、主張を曲げずに実行する信念、意思の強さはみられた。

 (4)顕著にあらわれたのが憲法学者、国民の多くが違憲と判断した集団的自衛権の行使を独自の憲法解釈として持ち出して容認して、日米軍事同盟の強化、追随を果したことだった。強い保守思想を背景にして憲法改正にも意欲を示して、第9条に自衛隊を明記することにこだわった。その先には自衛隊の国防軍(自民党草案)、首相の軍最高司令官を目指した戦前保守思想回帰だ。

 (5)旧日本軍のアジア侵略植民地、第2次世界大戦の戦争責任論について、しばらくは欧米同盟による経済的包囲圧力の結果として日本の戦争の正当性を主張していたことがあり、やはり国民、世間知らずの政治家温室育ちの短絡化がうかがえるものだ。
 見るからに人柄がよかっただけに戦後最長の長期政権を維持して自分の理念、思想を押し付けるだけでなく、国民、世間を広く見て多様な価値観を吸収して根差した国民主権国家を目指す段階がほしかった。

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