いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

日銀のバトル。 the battle of the bank of japan

2023-03-03 20:15:02 | 日記
 (1)日銀白川前総裁が黒田現総裁の10年にわたる大規模金融緩和策を「壮大な実験」だったとして「物価上昇の面から見て影響は控えめだった。そして経済成長の面から見ても同じく効果は控えめだった。」とIMF季刊誌に寄稿した論文で批判した。

 (2)4月から日銀新総裁に起用される予定の経済学者の植田和男氏は金融緩和策の副作用が問題化されている中で「日銀の金融緩和策は適切で継続する」意向を示している。
 前、現、次期日銀総裁3様の主張が混在している日銀金融政策の評価だが、銀行という名がつけばカネの貸し方、借り方の相互利益の問題であり、どちらから見ても正解というものがない中での論戦だ。

 (3)当時安倍首相が起用した黒田日銀総裁はリフレ派といわれ、カネを市場に大量に供給してぜロ金利政策を実施して経済活動を有利に後押しして長らく続いた日本のデフレ脱却を目指したものであった。
 リフレ派は経済理論としては少数派といわれて、安倍首相がアベノミクスによる円安株高効果を狙って大企業、富裕層優遇政策で大企業の利益が地方、中小企業、国民生活へトリクルダウン(したたり落ちる)還元するという経済政策のために黒田日銀総裁を起用したものだ。

 (4)当初はリーマンショックの影響を受けた世界同時不況からの脱却時期でもあり、目論みどおり円安株高効果を生んで大企業中心の輸出産業は「もうけ」以外の株高利益の恩恵を受けて経済効果は見られ、官邸主導の4年連続の賃上げも実現した。
 現実は当時も大企業の利益は地方、中小企業、国民生活へ還元することはなく、賃上げも物価上昇率に及ばずに国民生活に恩恵は行き届かずに楽な生活にはならなかった。

 (5)黒田総裁は2%物価上昇目標を掲げ就任2年以内で達成するとして、2%物価上昇による企業利益が賃上げに回るという経済好循環を目指したが前述のように国民生活への効果はなく、消費動向に結びつかずに2%物価上昇目標はその後10年主張してきたが実現にははるかに及ばない低いものに終始した。

 (6)現在は日銀の大規模金融緩和策は欧米との金利差拡大を生んで、急激な円安、大型物価高を招いて国民生活を圧迫して「副作用」が問題化している。そうしたことを受けての日銀白川前総裁による黒田現総裁の「壮大な実験」批判であり、植田和男次期総裁のここで金融緩和策の方針転換では経済金融社会の混乱を招く危惧からの「適切で継続」するメッセージだ。

 (7)4月、植田和男日銀総裁就任後には欧米のインフレ率、金利の動向をみながらの金融緩和策の見直し、副作用の適切な対応が求められることになるだろう。白川前総裁としては在任時代が世界同時不況時代でもあり、株価低迷(7千円台)で金融政策への批判も多く、安倍第2次政権誕生で総裁任期途中での辞任ということでその後のリフレ派黒田総裁の大規模金融緩和策の副作用に「一言」言及したということだろう。

 (8)日銀の新旧総裁による理論、路線の主張、比較論はかまわないが、日銀内の対立、騒動、バトルに発展してはこちらも無用の混乱を招くことになる。

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