いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

政府情報は信頼できない。 unreliable intelligence of the government

2016-08-10 20:08:12 | 日記
 (1)原発事故時の情報源の信頼度についての中部電力浜岡原発(静岡県)周辺住民に対する大学研究者の調査で、最も「信頼できない」ものとして「政府や省庁」と答えた人が29.2%と2番目(SNSが36.7%でトップー報道)に多かった。
 安倍内閣の支持率が50%を超える中で、情報化社会で民主主義政治の日本の政府情報を信頼できない(unreliable intelligence of the government)と答えたものが29.2%とは高い数値だ。


 11年3月の東日本大震災による福島第一原発事故時の当時の民主党政権の二転三転の事故説明対応に、事故から5年経過しての周辺住民の安全避難に直接かかわる東電のメルトダウン(meltdown)判断の資料の存在の情報隠しに当時の政府もかかわっていたとの疑念が報道されたり、周辺住民、国民に対する情報開示性(disclosure)ですっかり信頼性がない。

 (2)その後を受け継いだ安倍政権が特定秘密保護法を強行成立させて政府に都合の悪い情報は国民に知らせない制度をつくったことも政府への情報公開性に不信、不満、信頼性を損なったことは間違いない。

 本来なら原発事故のような国家的重大事故では、政府の情報発信が唯一頼りになるはずのものが「政府情報源が信頼できない」が29.2%と2番目に高い比率で信頼できないというパラドックス性(paradoxy)だ。

 (3)もちろん誤った原発神話の影響による国家情報で54基もの原発を狭い地震災害国日本をぐるりと囲むように設置した政府政策、原発事業者に対してその原発立地周辺住民としては、むしろ情報源として政府を信頼できないとする数値としては低いとさえ思える。

 ちなみに情報が「信頼できる」は「県や市、町」が41.4%でトップ(報道)だった。中電浜岡原発は再稼働に対して地元自治体の静岡県知事が慎重な姿勢を示してきており、周辺住民の信頼、理解があるとみられる。

 (4)国、政府よりは地元自治体、県、市、町が信頼されるというのは近年の自らのことは自らで解決しようという住民自治、意識の変化でもある。
 大阪市が大阪都構想を住民投票で決着させたように、各地で地域の課題、問題を住民投票で解決しようという直接住民自治方式の高まりが目につく。

 権利、利益の意識が高まり、自ら意見、意思を述べることによっていい方向に政治、社会を動かす自治意識の高まりとともに、決定方法の公平、公正性が目に見える効果もある。

 (5)パラドックス(paradox)として国民に正確な情報を伝えない制度化の政府に対する不信、信頼欠如は高くなっているということだ。
 国際的にみても英国でのEU離脱残留判断を国民投票で決着したように、あるいは英国からの独立を国民投票で決めようというスコットランドやスペイン国内での地域独立問題での国民投票の高まりなど、その傾向は国際的に広くみられる。

 議会制民主主義の曲がり角ともいえる傾向、風、風潮は一方で国内社会、住民間の対立、亀裂を生んで行政機能、統治の不安定も生じて混迷を深めることもある。
 
 (6)安倍政権は特定秘密保護法制定から憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使容認、さらに改憲勢力で衆参3分の2以上を確保して憲法改正発議を目指しており、少なくとも中電浜岡原発周辺住民にとっては信頼の置けない政府という総体的な不満のあらわれでもある。

 政治と国民、住民が信頼し合わない遊離した社会は、成長力のダイナミズム(dynamism)を失う。
 

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