いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

広島の静けさ。 silence of hiroshima

2016-08-07 20:05:52 | 日記
 (1)今年のG7伊勢志摩サミットにあわせて4月の外相会合出席のG7外相の広島慰霊に続き、5月には首脳会議出席のオバマ大統領が翌日に広島を訪れて慰霊碑に献花して世界が注目した。

 その広島は今年も8月6日に71年目の広島原爆の日を迎えたが、4月、5月のインパクトが強すぎたせいか、日本の心の中で原爆、核兵器禁止への圧倒的な思いが伝わってこないような静けさ(silence of hiroshima)が感じられた。
 リオ五輪開催と重なってこともあって、今年は話題性が拡散したようにも思える。

 (2)5月に歴史的な広島慰霊訪問したオバマ大統領は、広島原爆の日直前に核実験の全面禁止を求める決議案を9月にも国連安保理に提案する見通し(報道)であることがわかった。

 11月には次期大統領選もあり、残りわずかの任期最後の仕事として「核のない世界」に向けて理念を示すことになる。

 (3)実は米国は96年に国連総会で採択された核実験全面禁止条約(CTBT)を米国議会で批准できずに未発効のままとなっている。
 共和党優勢の議会の中で核実験全面禁止を求めることができずに、今回の核実験全面禁止決議案は米国議会の承認を求めることなく直接国連安保理に提案するものだ。

 オバマ大統領としては核実験全面禁止条約が議会の反対で未発効のままの中で議会の反発を覚悟の上で自らの理念を残されたわずかな任期中に国連安保理を通して国際社会に表明する機会となるものだ。

 (4)国の意思決定形態としては、核実験全面禁止条約を批准せずに未発効のまま同様の決議案を議会を差し置いて国連安保理に提案するなどとは、取り組むべき順序が逆転して違っているもので、国家の意思決定が国連決議より下という判断になれば国家の主権、国家、国民主義が成り立たないことになり、政治統治に重大な支障をもたらすことにもなる。

 オバマ大統領の提案趣旨は核のない世界実現に向けて重要な意思決定ではあるが、米国大統領としては国民、議会との国内統治政治への信頼、信義、責任を果たさない不信感をもたらすことにもなる。

 (5)米国では71年前の広島、長崎への原爆投下を戦争終結を早めたとして肯定する国民意見も多く(報道)、またロシア・プーチン大統領の有事での核兵器使用宣言、北朝鮮の核実験強行で核兵器依存思想も根強くあり、そうだからこそのオバマ大統領の核のない世界論であり、核実験全面禁止決議案の国連安保理提案なのだが、米国としても議会条約批准を求める整合性も考慮した決議案でなければ国際的な効力のダイナミズム(dynamism)とはならないだろう。

 (6)今年5月のオバマ大統領の広島慰霊訪問と年を同じくして、さらにオバマ大統領の任期最終年としてのレガシーとして核実験全面禁止決議案の提案に結びついたことは、71年目の広島原爆の日にとっても歴史的なページとなった。

 唯一の戦争被爆国の日本はオバマ大統領の広島慰霊訪問で国際社会に対して一定の役割は果たしたが、与党自民党の中には一時期核兵器保有論を唱える思想もあって、その関連での新防衛相就任に対して批判もあり、安倍首相も否定に追われている。

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