いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

参院合区の評判。 reputation of connective district in the house of councilors election

2016-08-19 20:06:08 | 日記
 (1)参院選は衆院選と比べて総じて選挙区が全県にわたり広いので候補者も地盤中心に票の期待できるところを精力的に回る傾向があり、今夏の参院選でもほとんど選挙カーをみかけることもなく終わった。

 1票の格差問題は最高裁が違憲状態と判決して是正を求めて最大4.77倍(13年参院選ー報道)あったものを、今夏の参院選は2県をひとつにまとめて選挙区(connective district)にすることで2.97倍(同)に縮小して実施された。

 (2)鳥取と島根、徳島と高知がそれぞれにひとつの選挙区(合区)になり、話題になったのがそれぞれに横に長い2県がひとつの選挙区になった鳥取と島根合区で、端から端まで回ると地球1周分はあるといわれてすこぶる評判が悪かった。

 その合区は各県では地元に馴染みのない候補者に戸惑いもあって、投票率は前回に比べてそもそもこれまで投票率の高い島根を除く3県では軒並み減少した。

 (3)そもそも今回の選挙制度改正は当面の1票の格差是正対策として取られたもので、同改正公職選挙法には2019年の参院選に向けて抜本改革について「必ず結論を得る」(報道)と付則にある。

 選挙制度改革を利害当事者の国会にまかせてはかどらない中で、当面の対策として有権者の足し算、割り算の合区が取られて実施された今夏の参院選というのも、国会議員を選ぶ選挙の意味、意義の大義、認識の甘さがまず指摘されるものだ。

 (4)やってみたら案の上、候補者からも有権者からも評判は悪くて、選挙後すぐに合区解消に向けて検討が始まっているというから考えものだ。

 今回の合区は有権者の足し算、割り算で勘定されてのもので、前述のように候補者の地球1周分の選挙区移動の広さは問題にされなかった。
 有権者からは地元に馴染みのない候補者では地元の意見、意向が国政に反映されないとのゆ着関係、利益誘導型政治の古い政治スタイルのへい害が見過ごされてきた政治改革も必要であったのだから、見直すいい機会でもあった。

 (5)政治への関心がこれで薄れる(投票率の低下)というのも国民を代表する議員を選ぶという観点からは有権者側の判断にも問題はある。
 1票の格差問題は、最高裁が違憲状態判決でこれまでの各都道府県1人の議員割り当てが格差拡大を招いているとして解消を強く求めているもので、合区はこれに応える対策として取り入れられて1票の格差不平等判断の司法(judicature)としては行政、立法(legislative)に対して踏み込んだ判決ともなっている。

 1人区も含めて行政、立法に対して法の下の平等理論の中で選挙制度改正の検討を委ねるべきものだった。

 (6)地方自治体の有権者の足し算、割り算での安易な合区による1票の格差是正は都市と地方の格差拡大を前提とするもので、安倍政権の1億総活躍社会、地方活性化の政策とも相容れないものであり、参院選でいえば選挙区と比例代表制の議席割り当ての見直しも含めて、衆院とは違う参院の性格の特徴を確立して反映した抜本的選挙制度改革を目指すべきだ。

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