いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

正常な運転の判断と意味。 judgement & meaning of normal drive a car

2016-08-23 20:03:17 | 日記
 (1)憲法もそうだが法律というのは制定する目的、意図、趣旨があって、それに法律体系的に整備して効果的な適用、実施をはかるものだ。

 憲法の場合はすべての基本法になるもので具体的な実施規定は詳細な各法律で規定されるものだがら、基本理念としてそれだけでは解釈の仕方によっては拡大して解釈することがよくあって問題化する。

 (2)憲法第9条は「国際紛争を解決する手段としては」戦力を保持せずに、交戦権を有しないとしているが、当初は個別的自衛権も有しないとして自衛隊も違憲という考えもあった。

 現在では国際紛争の解決によらない他国からの攻撃に反撃する個別的自衛権は認められて、自衛隊も合憲というのが国民的コンセンサスとなっている。
 それでも安倍政権は政府の都合のいい憲法解釈の変更でこれまでの政府が認めてこなかった集団的自衛権の行使を容認して従来の憲法解釈を踏み出した。

 (3)自衛隊の武器使用は法律で厳格に規定されているように、第9条の戦力不保持、交戦権を有しない規定を法律でより明確に規定されていればこんな問題は解消するはずが、政府の考え、法律論としては政府の行動規範をみだりに縛ることを避けるために高度な政治判断としてあいまいにどうにでも解釈できるようにあえてそうはしないところだ。

 (4)飲酒運転事故で人身事故を起こした場合、過失致死罪(最高刑・懲役7年)の適用だったが、被害者家族からは飲酒運転という自覚犯罪でありながら過失という比較軽い刑法適用に批判もあって、01年により重い危険運転致死傷罪(最高刑・懲役20年)が新設された。

 ところが15年に起きた対人、対物飲酒運転事故のうち送検時に危険運転致死傷罪が適用されたのは全体の2割にとどまり、被害者家族からの訴えにより訴因変更されるケース(報道)が相次いでいる。

 (5)危険運転致死傷罪の適用規定に「正常な運転が困難な状態」という適用条件があり、この立証がむずかしいことが原因といわれている。
 いつかの新聞報道でも、飲酒していても正常な運転(normal drive a car)が可能な状態であったと判断されたケースが載っていた。
 そもそも正常機能な運転の範囲、判断が科学的にも立証困難だということだった。

 (6)それなら何のための危険運転致傷罪の制定だったのかと思うところで、14年に「正常な運転に支障が生じる恐れがある状態」(最高刑・懲役15年)が追加された。
 あいまいな法律体系にさらにあいまいな法律規定をつけ足しただけで、この法律目的、意図、趣旨、制定が何であったのかと問わざるを得ない法律社会問題だ。

 日本の刑法は報復主義(retaliationism)をとらないから法による厳罰制度だけではないが、「飲んだら乗らない」の飲酒運転撲滅社会の中での飲酒運転という自覚意識の犯罪社会の中で、危険運転致死傷罪の適用を明確で実効力のあるものにしなければ法律の意味、意図がない。

 (7)今日的社会は、取り締まる警察官(さらにその責任者)の飲酒運転事故も目に付く「世も末」の事態だ。

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