(1)イスラエルとのガザ地区戦闘でハマス幹部がTV演説で恒久的な停戦(eternal ceasefire)と引き換えに「人質全員を解放する用意がある」と発言した。イスラエルが狭いガザ地区に地上軍を投入して攻撃して1年以上が経過してハマス壊滅や人質全員を解放、取り戻すことができないのだから、ガザ地区戦闘もすでに行き詰まりを迎えていると書いたが、イスラエルもハマス幹部の発言を受けて「人質全員」の解放を優先すべき時だ。
(2)人質全員の解放に向けて協議に入るべきだし、その中で「人質全員」の確認を進めてガザ地区の飛び地統治に向けてもハマスとの話し合いを進めるべきだ。トランプ大統領が米国のガザ所有を主張しているので、それは一定期間のものであればイスラエルとパレスチナの関係にあたらしい安定した秩序を生むものであり、協議のテーマにもなりうる。
(3)ハマスとしてもガザ地区の支配は生命線にかかわるものだけに米国のガザ所有は認められないものだが、現在のパレスチナ飛び地支配はイスラエルとパレスチナ、ハマスの対立を解消することはできずに、それではこれからも対立、戦闘をくり返すだけだ。
トランプ大統領の言うガザ地区住民を周辺国に移動させてのガザの米国所有となれば受け入れることはできないので、米国が緩衝地帯を設定してイスラエルとハマスを分けることが出来れば米国の関与としては有効な手段とはなり得る。
(4)その間にイスラエルとハマス、パレスチナが恒久停戦に向けて協議を続けることが中東和平、安定には必要だ。トランプ大統領も当初はガザ地区住民を周辺国に移動させて米国がガザを所有する主張が批判を受けて、それはガザ地区インフラ復興の間の措置と方針を緩めており、強硬一辺倒でもない。
(5)パレスチナ飛び地問題はベルリンの壁崩壊のように住民のストレスは大きく、解決しないうちはイスラエルとパレスチナ、ハマスの対立、戦闘、悲劇はくり返される。冒頭のハマス幹部の恒久停戦と人質全員解放の発言はハマスの勢力温存を図ってのものともみえるが、戦闘よりは協議が優先されることであり、イスラエルが1年余の戦闘にもハマス武装解除に到らなかったのだからここは米国のガザ所有の方針を借りてイスラエル国民が望む人質全員解放に注力すべき時ではないか。