いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

政治の風、不確実性の時代。new political winds , an era of uncertainty

2016-08-09 20:07:17 | 日記
 (1)安倍首相の自民党総裁としての任期は18年9月までで、党の規約では3選はない。これまでの安倍内閣から前々回の総裁選を争った石破茂元幹事長、地方創生担当相が抜けて、2年後の総裁選立候補に向けて自らの政策錬度をあげることに集中することを表明している。

 一方で現在の安倍内閣の安定した支持率(直近では50%を超えている)を背景に、自民党執行部の中からも安倍首相の任期延長を示唆する意見もあって、今回の内閣改造、党役員人事ではそうした安倍首相を支える人脈を多く起用して、任期延長を視野に入れた配置となった。

 (2)しかし、これからの2年間は安倍首相、内閣にとっては厳しい政治、経済、社会環境が待ち受けて試練の政権運営が続くことが予想される。
 今夏の参院選は改憲勢力で3分の2以上は確保したが、自民党の勝利もほどほどで、おおさか維新の会などの改憲勢力に支持が集まってのもので、その後に行われた都知事選では自民党議員で推薦を取り下げた小池百合子さんに与党推薦の増田寛也さんが大差で敗れるという「キツイ1本」(安倍談)を取られて幸先がよくない。

 (3)直近のメディア世論調査では、自民党と決別した小池都政に期待すると回答したものが64%、東京都に限ると77%と高い支持を集めている。米国大統領選でも既成政党に対する不満が政治経験のない、しがらみのないトランプ候補に集まっていること、キャメロン首相のEU残留に反対してEU離脱を決めた英国国民投票など世界的なあたらしい政治の風(new political winds)が起きているおり、日本も例外ではない。

 同じ直近の世論調査で安倍首相(党総裁)の任期延長の必要がないと回答したのが53%と過半数を占めた。

 (4)安倍首相は日銀による金融緩和策が手詰まりのアベノミクスを「ふかす」と経済政策中心の政権運営に自信を示しているが、国民の意識の中には経済効果が実感できない人が多く、政権と国民の齟齬(そご)が生じている。

 やはり安倍首相の特定秘密保護法、安保法制の強行成立の政治理念、手法に対する警戒感、国民アレルギーが任期延長を必要としない53%にあらわれているのではないのか。天皇の生前退位問題で67%が制度を見直すべきだと回答しているのとは大きな違いだ。

 (5)一方で安倍首相とたもとを分かった石破さんに期待しないが49%と期待する34%を引き離しているのは、自民党に対峙して勝利した小池都知事、都政への大きな期待度と比較しても安倍内閣の今後の2年間の政権運営に政治の風が厳しく立ちはだかることが考えられる。

 まずはTPP承認問題だ。米国次期大統領候補はともにTPP内容に否定的な考えを示しており、日本にさらに厳しい注文が考えられる。

 (6)TPPそのものは日本農業の自立を目指すもので、政府はこれをどうやって承認発効させるのか重い政治課題だ。天皇の生前退位問題、憲法改正論議、消費税10%引き上げ、年金、医療、介護社会保障問題、課題は先送りばかりで実効性のある政権運営とはいえない不確実性の時代(an era of uncertainty)を迎える。

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