いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

発明特許は企業のもの。 enterprise has a license of invention

2014-10-18 19:57:49 | 日記
 (1)特許庁は仕事にかかわる発明特許を「発明者個人」のものから「企業」のもの(enterprise has a license of invention)と変更する方針を固めた。
 これまでの発明者個人のものとする方針は、個人の特殊能力を保護して労働者の権利を最大限保障しようという倫理観にもとづくものだが、その「特例」を維持すれば企業経営、組織は立ち行かなくなる。

 従業員(企業研究者を含む)の企業活動が個人能力の開発、開拓に帰属することになれば、プロ野球事業のように個人事業主の集合体となって一般企業経営、組織の運用が否定されることになる。

 (2)従業員は企業が公募して選抜して採用する。採用された従業員は企業の定める雇用労働条件(業務、賃金、時間ほか)のもとに、企業利益、業績のために役割、職責、計画、方針にもとづいて企業活動を遂行する責務を負う。

 対価として定給(salary)が保障されて、そのほかにも協議によってボーナス(bonus)が支給される。ボーナスは企業利益の還元として共同、協力、尽力したすべての従業員に対して報奨として特別に支給(賃金制度に組み込まれて)されるものだ。

 (3)今回の特許庁の「発明特許は企業のもの」とする中でも、発明者個人に対しては価値に見合った「相当の対価」を支払うことを条件にしているが、ボーナスはそういう理念によるものだ。

 そういう企業経営、組織に従事する従業員は、企業利益に貢献する対価として一定の報酬(定給)を得る条件で雇用されるものであり、これまでの仕事にかかわる発明は発明者個人のものという特許庁の判断は日本企業形態の中では企業経営理念と個人事業主制度が混在した不整合のものだ。

 (4)本来、企業に雇用される側の弱い立場にある労働者の権利保護により重きを置いた特別措置であり、しかし問題をあえて複雑にするものだ。
 企業には従業員雇用条件により企業利益に貢献する一環としての発明であり、発明者にとっては特許庁が発明者のものと判断している制度上の背景があり、これまでも膨大な企業利益の「対価」を巡って訴訟沙汰にもなっていた。

 (5)世界的に見てもドイツ、米国の「発明者のもの」と英国、スイスの「企業のもの」(報道)との両論があり、しかし企業が請求すれば企業に移る(ドイツ)とか当事者間の契約で定める(米国)と権利関係を当事者間の話し合い確認で決定するシステムになっている。

 日本の終身雇用制度と欧米の企業倫理には考え方の違いもあって一概に比較もできないが、それでも「発明者のもの」と一方的に取り決めるものではない。
 日本の企業経営、組織形態からいって、仕事にかかわる発明は「企業のもの」というのは自然の倫理、理念といえよう。

 (6)あとは発明特許による企業利益の評価をどう発明雇用者に還元(ボーナス)するのかは、当事者間でどう取り決めておくのかの問題だ。
 発明は「企業のもの」で日本のこれまでの企業経営、組織形態の中で十分対応できる問題だ。

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