旅限無(りょげむ)

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引きずり飛んで大阪 其の伍

2008-11-19 17:38:36 | 政治
■お話は変わって大阪の市議会が改革される!という嬉しいニュースです。

大阪市議会(定数89)が、委員会での採決を追認するだけで形骸化していると批判されている本会議で、12月定例会から一般質問を導入するなど、遅まきながら議会改革に乗り出すことが18日、わかった。本会議では質問経験すらないベテラン市議も数多くいるほど審議が形式化していた。

■あれ?大阪市議会では一般質問をしなかったのですか?質問をしないのなら政務調査費など一銭も使わなくて済んで安上がりで結構な話かと思えば、たっぷり使っていたのでした。株主総会にはシャンシャン総会という世界でも珍しい数分かで終わる儀式があるそうですが、案件を居眠りしながら聞いて、あとは根回し通りに賛成するだけなら小学生でも務まりそうな、実に気楽な商売ですなあ。こんな議会の実態を承知の上で大阪市民の皆さんは選挙に参加し続けていたのでしょうか?寛容さも度が過ぎると怠慢になりますぞ。


……委員会での直接傍聴や録音録画をこれまで同様に原則として認めておらず、「閉鎖性」を残したままの議会改革の「本気度」に疑問の声も上がっている。一般質問が導入される12月定例会では、平成19年度の一般会計決算について審議。全会派から1人ずつ計4人が30分程度質問する予定。日程を確保するために、市内施設などを視察する実地調査を取りやめるという。

■完全な密室で何を話し合っているのでしょう?地元の新聞なども黙って発表される内容だけを記事にしているのなら、これまた気楽な商売ですなあ。質問もしないのに「視察」をして歩く目的も分かりません。偉そうな顔をして歩くと優越感に浸れるからなのか?接待が楽しみなのか?


大阪市議会では、慣例として14~15人の市議で構成される委員会が審議の中心になる全国でも珍しい「委員会中心方式」を採用。本会議場で各会派が質問するのは、基本的に当初予算案を審議する代表質問の場だけで、それすら会派の代表者に限られている。このため、10年以上議員を務めても、本会議場で一度も質問したことがない市議もざらだ。……本会議では、委員会の議決に従って事前の打ち合わせ通り採否を決める形式的な審議が中心で、一部の会派を除いて討論もほとんどない。採決のために議員が立ったり座ったりするだけで、傍聴人からは「何をやっているかさっぱりわらかない」という苦情もたびたび寄せられていた。

■団体で間延びした「ヒンズースクワット」をしているだけで高額な報酬を受け取れる!?世の中にはこれほど気楽な商売があるのかと驚きいる次第です。定数が87人とのことですから、この人数でちんたらスクワットをする様子は随分と間が抜けているのでしょうなあ。


……特別委員会を除き、「部屋が狭い」などとして市民の直接傍聴を認めておらず、記者席からの録音録画も冒頭部分を除き、原則認めていない……大阪府議会などで実施されているインターネット中継もなく、委員会が開かれるたびに、市役所1階の玄関脇などに設けられたモニターの前に、市民や関係職員が集まるのが当たり前の光景になっている。委員会では市議が頻繁に市幹部らに説明用の資料を配布するが、モニター前にいる人には配布資料どころか、質問項目などの基礎資料も配られない。……
11月18日 産経新聞

■それでもモニター前に足を運ぶ市民が居るというのは尊敬に値しますが、何だか委員会に市政が「引き摺り」回されているような印象を受けますなあ。市民は何処かに振り落とされてしまわぬか、ちょっと心配。市議の皆さんは決して酔っ払ってはいないのでしょうが、時節柄、変な連想をしてしまう市議会の改革の話ではあります。大阪市議会のますますの改革と御発展を祈念しますと共に、引き摺り殺人の犠牲となられた方のご冥福をお祈りいたします。そして、重体になられた方には一日も早い御回復をお祈りいたします。大阪がよい町になりますように……。
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引きずり飛んで大阪 其の四

2008-11-19 17:38:13 | 社会問題・事件
……東川さんの着ていた雨がっぱの背中部分やズボンの尻はボロボロに破れていた。両肩の背中側の擦り傷がひどく、右側頭部も損傷していた。新聞配達中で、ミニバイク付近には新聞が散乱、ヘルメットが落ちていた。約20メートル南側に長靴の片方が、さらに約40メートル南側の路上でもう片方が見つかったほか、発生現場から少なくとも約100メートルの路面で、擦ったような跡が確認された。

■顎紐を掛けていなかった可能性はありますが、ヘルメットが振り落とされるのですから相当なスピードで衝突したのでしょう。たった20メートル先で長靴が落ちたのなら、停車どころか減速もせずに突っ走ったと思われますが、現場の様子や被害者のカッパ、そして遺体の状態を容疑者は見たのでしょうか?


……6月中旬、大阪府内で酒気帯び運転をしたとして摘発され、30日間の免許停止処分を受けた。事件当時、免許は有効だった。父親によると、数日前も酔って帰宅。「飲んできたのか」と聞くと、「友達に乗せてもらった」と答えたという。……
11月17日 スポーツ報知
 
■酒気帯び運転を取り締まるのが警察の仕事なのでしょうが、罰則を与えても本人がアルコール依存症だった場合は再犯率は非常に高いものになるでしょう。飲んでしまえば気が大きくなる人は珍しくもなく、中には凶暴になる酒乱も居ますから、免許を取得する素面の時とはまったくの別人になって恐ろしい事を平気で考える人が出て来るのは当たり前でしょうなあ。

■10月18日には大阪市淀川区で、無免許の女子中学生が男性をはね180メートル引きずって重傷を負わせたとの報道があり、愚かな子供がいるものだと思ったものですが、引き続き21日に、同じ大阪市の北区で無免許、飲酒運転のホスト男が、男性を3キロ引きずって殺害して「また大阪!」と驚かされ、今月2日にも大阪市内では、23歳の男が飲酒運転で男性をはねて20メートル引きずって重傷を負わせ、やっぱり逃げて逮捕されているそうですなあ。

■さすがに5キロも9キロも被害者を引き摺って逃げ回るような人が出て来ると、次には何キロ引き摺るのだろう?などと悪い冗談も言えなくなります。「飲んだら乗るな。乗るなら飲むな!」の常識が浸透しないのなら、「轢いたら逃げるな!」の大キャンペーンでもやらないと収拾が付かないかも知れませんなあ。特別な事ではなくて、常識的な判断と人間らしい感情を失わないことを望むだけなのですが、難しいのでしょうか?

引きずり飛んで大阪 其の参

2008-11-19 17:37:12 | 社会問題・事件
■昨年度の全国のひき逃げは、合計で2万4727件なのだそうです。ぞっとするような数字であります。追跡検挙率はほぼ100%のようですから、逃げる理由の第一は「酔い覚まし」なのかも知れません。飲酒運転だけを突出させて厳罰化したばかりに法律のバランスが悪くなった結果だとも言われていますが、小さな接触事故が凶悪な殺人事件にまで発展してしまうのなら、早急に法改正をしてバランスを良くしなければなりません。

■無責任極まる「轢き逃げ」は、地域別に見ると大阪がダントツの2972件だったそうです。人口がもっと多い東京が第5位だそうですから、大阪の歩行者(自転車)は、余程注意していないと1日当たり9件という高い確率に当たってしまうかも知れないのですなあ。地元の皆さんはその危険を身に浸みて知っているのでしょうが……。第2位以下は、埼玉、神奈川、愛知、東京という順番だそうですが、大阪は2位埼玉より350件も多いのだそうです。そして、数の多さよりも恐ろしい「引き摺り」殺人という新しい犯罪です。


16日午前3時10分ごろ、大阪府富田林市の国道170号に、新聞販売所アルバイトの東川達也さん(16)の配達用のミニバイクが倒れ、新聞が散乱しているのを通行人が発見、110番した。東川さんは午前8時半ごろ、約5キロ離れた、同府河内長野市の駐車場で遺体で発見された。富田林署は近所に住む大工・市川保容疑者(41)を自動車運転過失致死と道交法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕。……第1通報者の駐車場の近くに住む男性(37)によると、東川さんは土砂降りの駐車場であおむけに倒れていた。酔っぱらいかと思ったが全く動かず「おかしい」と思って通報した。

■折込広告が多い日曜日、雨が降ると新聞配達は大変です。カッパを着ていれば動きは鈍くなりますし、視野も狭くなり周囲の音も聞こえ難くなるものです。経験したことのある人ならば、激しい雨の中で重い新聞の山にハンドルを取られないように配達している時に後方から追突されるなどという話は聞きたくもないでしょう。新聞は配達が遅れたら単なる新聞紙か古新聞になってしまう商品ですから、雨が降ろうと風が吹こうと午前3時や4時から配らねばなりません。そんな時間まで酒を喰らっている人間が運転する車が突進して来るなど想像も出来ないのは当然です。


遺体から約10メートル離れた場所に、ヘッドライトがゆがみ、運転席の側面がへこんだ軽ワゴン車を署員が発見。普段からこの駐車スペースを使っていた、軽ワゴン車の所有者の市川容疑者が事故を起こしたことを認めたため、逮捕した。近所に住む市川容疑者はパジャマ姿で、冷静な様子で取り調べに応じていたという。……調べに対し「飲酒運転だった。何かにぶつかったことは分かったが、その後は記憶にないほど必死で逃げた」と供述しているという。逮捕直後の飲酒検知でアルコールが検出された。

■ぶつかった相手が人間だと分かっていたからこそ、「必死で逃げた」のでしょうから、供述は支離滅裂ですなあ。逮捕当時も酔いが醒めていなかったのかも?日付が変わるまで梯子酒をしていたようですし、追突現場から駐車場に逃げ込むまでに大きく迂回してうろうろしていた事も判明しているようですから、人間にぶつかった事ばかりでなく車体の下に巻き込んだまま「引き摺って」いる事も分かっていたのでしょうなあ。俄かホストの引き摺り犯は大通りを蛇行して瀕死の被害者を振り落とそうとしたそうですが、こちらは遠回りする道すがら大怪我をしているに違いない被害者が落下するのを望んだようです。想像するだけで体のあちこちが痛くなるような話です。西部劇に出て来る残酷なリンチも思い出されますなあ。

引きずり飛んで大阪 其の弐

2008-11-19 17:35:58 | 社会問題・事件
■大阪は新しい府知事と大阪市とが何かと対立している話が全国ニュースになることもしばしばで、外から見ていても何が何だかよく分からない複雑な事情が絡まり合っているのでしょうが、大阪府にはトンデモない議員が紛れ込んでいたりするようです。大阪市議の方は大丈夫でしょうか?

大阪市内のビル転売を巡る脱税事件で、大阪地検特捜部が所得税法違反容疑などで逮捕状を取った元大阪府議、小川真澄弁護士(64)の秘書の男性(34)が、大阪府枚方市内の公園で首をつって自殺していたことがわかった。……「小川弁護士には早く出てきてほしい」などと記された遺書が残されていたという。男性は、小川弁護士がフィリピンに逃亡したとみられる11日以降、特捜部から事情を聞かれていた。小川弁護士は他人名義のパスポートで渡航したとみられ、特捜部は入国管理局に出入国状況を照会している。
11月17日 読売新聞

■弁護士資格を持った元府議と言えば、地元では大変な名士なのでしょうに、そんな人物が脱税・パスポート不正使用・海外逃亡と法律破り放題の大暴れですなあ。見棄てられて置いてけ堀を喰わされた秘書さんは検察に厳しく問い詰められたのでしょう。どれほど悪事に関与していたのかは分かりませんが、安月給で酷使された割には儲かる大仕事については何も知らされていなかったのではないでしょうか?元府議が巨額の脱税をしているようでは歳入不足が常態化するのも当然でしょう。

■自殺に追い込まれた秘書さんも可哀想ですが、府議時代には後援会やら親睦団体などに入っていた人達も多いはずです。同じ穴の狢(むじな)だと勘ぐられて迷惑している人も居そうですなあ。政務調査費でスケベ温泉旅行をして全国的に失笑を買っている田舎の議会などは可愛いものに思えて来ますが、住民としては非常に恥ずかしい思いをするのは同じでしょう。
 
 
大阪市北区の商業ビル転売を巡り約2億5500万円を脱税したとして所得税法違反などの容疑で逮捕状が出ていた元大阪府議の小川真澄弁護士(64)は、他人名義のパスポートでフィリピンに逃亡……。16日、犯人隠避容疑で逮捕されたIT関連会社「SUN」(東京都)社長、奥井宏太朗容疑者(31)ら同社関係者4人が、大阪地検特捜部に対し、弁護士の逃避行のいきさつを供述した。

■類は友を呼ぶと申しますから、悪い奴は東西で仲良く手を結ぶようです。儲け話は東京にしか転がっていないのでしょうか?地道に弁護士業に精を出していればフィリピンくんだりに逃走しなくても済む人生を送れたでしょうし、少しハデな格好をしてテレビ番組で過激な発言でもしていれば府知事になれたかも?


……小川弁護士は10月ごろ、既に自分への捜査を察知。創業株主として持っていた同社の株式を「1億円で買え」と4人に要求し、11月には「(他に)売却してしまうぞ」「すぐに金をつくれ」と要求の度を深めたという。逃走の謀議は、特捜部が脱税事件の着手を予定した11日の前夜。大阪市北区のホテルの一室で、小川弁護士は同社への株の譲渡に合意する代わりに「フィリピンに逃げるのに協力してくれ」と訴えた。4人は11日午前1時ごろ、レンタカーに弁護士を乗せて中部国際空港へ送り、弁護士は他人名義のパスポートで出国。1人は同行し、フィリピン・マニラ空港から入国したのを確認したという。

■国際犯罪小説みたいな話であります。日本で悪事を働いた者は、何故かフィリピンが好きなようで、詐欺だの殺人だの革命家だの、物騒な日本人ばかりが集まっているような印象さえありますなあ。本来は観光や農業で豊かになろうとしている国なのでしょうから、こんな話にばかり国名が出るのは迷惑でしょう。脱税分と株の押し売りでざっと3億円を手にしての逃亡生活ならば餓えることはなさそうですが、不法滞在の身となれば安全で快適な暮らしは望めないかも知れませんなあ。


小川弁護士は96年の府議辞職後も度々選挙に出馬。多額の借金を抱えていたという。一方、関係者によると、小川弁護士の金銭面の管理などをしていた秘書の男性が15日朝、大阪府枚方市内で首をつって死亡しているのが見つかった。
11月17日 毎日新聞
 
■多額の借金を作ってでも府議になりたい理由は何でしょう?脱税したカネも借金の返済に回されてしまったのなら海外逃亡はいよいよ苦しいものになりそうですし、タチの悪い筋から借金したまま逃げ出したのなら、ますます命が危ないでしょう。こんなメチャクチャな事件で大阪府の名前が出るのは住民の皆さんにとっては不愉快千万なことでしょうが、なかなか他の地方自治体では起こらない逃亡劇ではあります。大阪市内のホテルで謀議して中部国際空港まで足を延ばさねばならないとは、大阪には空港が多過ぎるという話もあるようですが、海外逃亡するには不便なのでしょうか?

不思議な因縁の合同捜査 其の四

2008-11-19 12:48:22 | 社会問題・事件
……「2つの事件が関連しているかどうか分からないが、卑劣な行為」。元厚生事務次官夫妻らが相次いで殺傷された事件に、舛添要一厚生労働相は18日夜、東京都内の自宅前で記者団にそう語った。……厚労省では吉原さんの妻への襲撃のニュースが伝わった18日午後8時時過ぎから、在庁していた幹部職員らが庁内を駆け回る光景が見られた。勤務20年の男性職員は、「こんなことがあるなんて。言葉が出ない。職員に関係する殺人事件の経験は個人的には初めて。許せない」と動揺の口ぶりで話した。厚労省では、審議官以上の現役幹部らに対し、身辺に注意するよう電話連絡を始めるとともに、霞が関の本庁舎入り口や大臣官房があるフロアなどの警備員の増員を開始した。

■もしも犯人が劇場型犯罪を狙った一種の愉快犯だったとしたら、こういう騒ぎが起こってさぞや満足なことでしょう。犯人が役所を標的にして殴りこんで来るとも思えないのですが、警備担当者としては放置するわけにも行かないのでしょうなあ。舛添さんは大臣なのでSPが常時付いて警戒に当たっているのでしょうから、「卑劣な行為だ」と当たり前の怒りを表していれば良いのでしょうが、自分の職責と公約を忘れて社保庁に対して「これほど酷いとは思わなかった」と自らの責任を投げ出すような発言をしたのも「卑劣な行為」ではないでしょうか?喜び勇んで厚労相に就任したのに、仕事が多過ぎるだの官僚スタッフが動かないだのと、簡単に弱音を吐いたり部下に責任をなすりつけるような言動も見られたのも感心しませんぞ。


……ある職員が「恨まれるとしたら、心当たりが多すぎる」というほど、最近の厚労省への世間の風あたりには激しいものがある。直近1年だけでも、吉原さんと山口さんの経歴が重なる年金問題の不祥事にとどまらず、薬害C型肝炎、医師不足、後期高齢者医療、派遣労働者問題…。所管するあらゆる分野が、国民の大批判を浴び続けている。問題が噴出するたびに舛添厚労相が直属のプロジェクトチームを立ち上げて、対応策を検討するが、批判は収まらない。

■恨みの「心当たりが多過ぎる」というのは深刻であります。でも、「最後のお一人まで!」「年金制度を抜本的に改正し!」などと選挙用に演説して歩いた誰かさんも怒りの対象になっているでしょうし、薬害問題は製薬会社の犯罪で、医師不足は文科省にも大きな責任が有りましょう。後期(末期)高齢者保険制度は小泉改革との絡みが重大な意味を持っていますし、派遣労働者問題は小泉改革の核心部分であり財界の経営者たちの責任分野ということになるでしょう。年金のスペシャリストが狙われたのなら、こうした問題は今回の事件とは無関係だと思われます。だからと言って恨まれる「心当たり」を忘れずに一層の努力をして貰わねばなりません。


11月12日には、「厚労行政のあり方を考える懇談会」の座長を務める、トヨタ自動車の奥田碩相談役は「(マスコミは)朝から晩まで厚労省を批判している。国民だって洗脳されてしまう」と発言。メディアへのスポンサーを降りることを臭わす発言し、話題となった。「そういったことと事件は関係あるのか」。帰宅していた幹部職員の1人は、連続襲撃の知らせに不安げにそう話した。
11月19日 産経ニュース

■「洗脳」と聞くと、すっかり日本語として定着した「マインド・コントロール」を連想する人が多いでしょうし、こうした単語を流行させたオウム真理教を思い出すのは簡単なことです。戦前のテロ集団のようなものが日本の何処かに生まれているのなら、オウム真理教には適応できなかった破防法を使うことも想定しておかねばならないかも知れませんなあ。今のところ凶器は刃物だけですが、爆発物や毒物などの大量破壊が可能な道具を使う輩が出て来ないとも限りません。それにしましても犠牲になった山口元事務次官は、あの夫婦揃って「わるいね」スキャンダルを起こした岡光収賄犯の後任として綱紀粛正と省の建て直しに努力した人物だったというのは、実に皮肉な巡り合わせでありますなあ。

■優秀な官僚を使いこなせるマトモな政治家を選ぶ義務と責任は有権者全体にあるという民主主義の基本を改めて考えねばならないでしょう。小泉改革の功罪も未整理で、田母神論文もきちんと扱えない国会や政党ばかりでは、短絡的に暴力を使って憂さ晴らしをしようと思う気分が広がって行きそうで心配です。世界恐慌から大戦争に到った「戦前に似ている」という声がだんだんと増えて行くのでしょうが、何とか別の進路を切り開いて行きたいものです。戦前にテロが流行したのは政党が国民から見棄てられるような汚職と党利党略に明け暮れていたからだそうですぞ。

■今は一刻も早く犯人を逮捕して「動機」と「目的」を解明して、それぞれの専門分野で「戦前に似ない」ように工夫しなければなりません。警視庁と埼玉県警には大いに頑張って貰わねばなりません。
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不思議な因縁の合同捜査 其の参

2008-11-19 12:44:08 | 社会問題・事件
■政府高官が狙われ、犯行現場が自宅と聞きますと、どうしても思い出される事件があります。オウム真理教の地下鉄サリン事件で大騒ぎをしている時に発生した警察庁長官の狙撃事件は、とうとう真犯人の逮捕には到らずに終わり、東京の世田谷で発生した一家皆殺し事件も迷宮入りの公算が大だとか……。片方は日本国内では入手困難な特殊な弾丸を素人では狙撃不可能な距離から発射したとされ、世田谷の事件は足跡や血痕などの物的証拠が多かったのにもかかわらず捜査は難航を極めたのでした。返り血を浴びて町中を歩いて去ったと推測されているのですから気味の悪い話でした。

■どちらの事件も発生当初の報道では、犯人の逮捕は早く容易だというニュアンスが満ちていた記憶があります。早くも新聞紙上では二つの事件に「共通点」を見つけようとしているのですが……。


……「主人が狙われているかもしれない。危ない」政府高官によると襲われた吉原さんの妻、靖子さんは搬送される際、そう話したという。吉原さんは昭和7年、山口さんは16年生まれという年の差はあるが、2人はともに東大法学部を卒業。厚生行政を担うエリート官僚……かつ2人はともに、キャリアを積むために三重県に出向経験がある。厚労省幹部は「昔は同郷出向者の職員同士でグループを作り、異動のたびに歓送迎会を開くなど、年次を超え、交流は深かった」と語る。吉原さんは30年に入省し、児童局企画課から勤務をスタートさせた。34年5月~35年4月まで年金局に勤務。その後39年9月に三重県へ出向。吉原さんも43年4月に三重県へ出向の経験がある。

■埼玉県武蔵浦和で元部下で大学も同窓の山口氏が夫婦揃って殺害されているのですから、連続殺人犯に狙われたと判断するのは当然でしょうが、まだ報道されていない犯人との間で何らかのやり取りがあったのかも知れませんから、この点は続報を待つしかありません。東大法学部・厚生省エリート官僚・年金担当という共通点は、もしも犯行が同一犯によるものなら動機に関連しているかも知れませんが、ともに三重県出向の経験が有るというのは無理なこじ付けのような印象がありますなあ。二人は同時に三重県に出向したわけでもなさそうですし、40年も前と思われる三重の恨みを東京や埼玉で晴らすというのも不自然でしょう。


三重県に次ぐ共通点が「年金」だ。年金部局は厚生省のエリートが経験するポジション。吉原さんが59年6月に年金局長となった際、山口さんは同局課長。……60年4月の国会参院社会労働委員会では、吉原さんと山口さんがともに政府委員として同席。当時、委員会では基礎年金と生活保護との関係が議題となり、吉原さんが年金改正案と生活保護との関係について答弁。基礎年金と生活保護の支給費について説明していた。「2人は当時、国民の誰もが受け取れる基礎年金制度を導入した立役者」と関係者は話す。

■生活保護の支給を厳格化するとして生存権が奪われるような悲劇が起こったのは小泉改革時代ですから、生活保護に関連する動機というのは考え難いでしょう。やはり、鍵は「年金制度」という線に絞られそうです。でも、制度設計を担当した官僚と「100年安心」などと安請け合いした政治家とは立場が違いますし、年金制度を致命的にぼろぼろにしたのは社会保険庁内に巣食っている困った連中で、中には犯罪者も含まれているのですから、たとえ吉原氏が社保庁長官に就任した時期があったにせよ、犯人が狙ったのは社会保険庁ではなく旧厚生省のトップという事になりそうですなあ。

不思議な因縁の合同捜査 其の弐

2008-11-19 11:19:11 | 社会問題・事件
■元政務次官を標的としたと思われる「同時多発テロ」事件に発展するかも知れない話が本題なのですが、不思議な因縁を考えると唐突に警視庁と埼玉県警の歩調が合ったストリップ劇場の強襲が気になります。

埼玉県警は17日、公然わいせつ容疑で、同県栗橋町のストリップ劇場「栗橋大一劇場」経営安永政昭(35)とストリップ嬢小山田真矢(30)の2容疑者を、公然わいせつほう助容疑で従業員浦部保博容疑者(52)逮捕した。……12日と17日、同劇場の舞台で小山田容疑者の下半身を露出し観客に見せるなどした疑い。県警によると、17日に捜査に入った当時、約25人の客がいた。……
2008年11月17日 スポーツニッポン

■埼玉県警が内偵を始めたのは11月12日、警視庁が「苦情」を受けて内偵したのが15日、再び埼玉県警は17日にも捜査員が劇場内に潜入したということは、どうも互いに競い合っている節がありますなあ。報道によると、どちらもその筋では有名な老舗劇場だそうですから、想像するに摘発を受けるほど「過激」なのか!とその種の趣味を持っている人達にとっては何よりの宣伝になるような気もしますなあ。

■警視庁と埼玉県警が競い合うように管轄するストリップ劇場に踏み込み、その翌日から埼玉と東京で元厚生省事務次官の自宅が連続して襲われる。ストリップと年金とは何の関係もないのでしょうが、敢えて想像を逞しくすればストリップ鑑賞を唯一の楽しみとする人物が、たまたま年金問題に関して以前から怒りを感じていて……などというのは無理なこじ付けでしかないでしょうなあ。たまたま相前後してストリップ劇場に乗り込んだ警視庁と埼玉県警が元次官宅連続殺人(未遂)事件を受けて合同捜査本部を設置することになるとは、不思議な因縁を警察の皆さんは感じているかも?


元厚生事務次官の吉原健二さん方で、妻の靖子さんが宅配便を装った男に胸などを刺された事件で、別の日の夕方に吉原さん方の玄関ドアをたたく男が、近所の主婦に目撃されていたことが分かった。男は「吉原さん」と呼びながら、ドアをドンドンとたたいていたという。警視庁は、犯人が以前から吉原さんや靖子さんを襲撃しようとしていた可能性があるとみて関連を調べる。

■以前、神戸でサカキバラ事件が起こった時、黒いビニール袋を持って歩いていた不審者だの、自転車に乗った見かけない男だの、謎の自動車なども次々にマスコミにリークされて報道も捜査も大混乱したことありましたなあ。毎日、配達業務で汗を流している宅配業者やデパートなどの配達部門の皆さんは、この種の推測話が流れる度に不快な思いをするのでしょう。どんなに小さな証拠でも、事件解決の鍵となる可能性は有るのでしょうが、何でもかんでも「怪しい!」と無責任な情報の垂れ流しは慎んだ方がよいのではないでしょうか?


吉原さん方の事件と山口剛彦さん夫妻が殺害された事件は、玄関で刃物で刺される手口が酷似している。胸などを刺され、玄関に押し入った犯人に正面から襲われたとみられることも共通。ともに凶器も見つかっていない。両現場は直線で約15キロ。遺体の状況などから、埼玉県警は山口さん夫妻は17日深夜までに殺害された可能性が高いとみており、17日から連夜の犯行に及んだ疑いもある。
11月19日 産経新聞

■銃器を使わない殺人となれば刃物か紐状の物が使われるでしょうし、短時間で犯行を終わらせて逃走するなら現場は玄関になるでしょう。ドアを開けた瞬間に犯行に及べば体の前面が刺されることになります。従って、明らかにされた状況証拠から同一犯を想定して「手口が酷似」と判断するのは拙速な感じがします。確かに二つの犯行現場が直線距離で15キロと近い上に電車を使えば移動も簡単な位置関係にあるのも事実です。しかし、同一犯人だとすれば月曜日の夜と火曜日の夕方に犯行を行えるという、ちょっと特殊な生活環境に居る人物ということになりそうで、幸いにも命を取り止めた被害者の証言から「30歳前後」との情報が得られているのですから、この段階で犯人像を絞り込むとトンデモない冤罪騒ぎが起きるのではないか?と心配にもなりますなあ。

不思議な因縁の合同捜査 其の壱

2008-11-19 10:57:29 | 社会問題・事件
■ミステリー小説やピカレスク・ロマンの世界でなら御馴染みの連続殺人事件ですが、現実の世界で起これば、それは「同時多発テロ」の様相を呈します。実に気味の悪い推理や仮説がマスコミを駆け巡り、しばらくは集中豪雨的な報道合戦に続きそうです。そもそも、年金制度が生まれてから半世紀以上、戦後の復興期から高度成長期を経て制度がどんどん膨らみ続け、予測されていた少子高齢化が現実となった頃にはバブル経済とその破綻が重なり素人では理解不能の実に複雑な制度になってしまったのでした。

■旧厚生省が制度を設計し改良もして社会保険庁に指示が下りて保険料の徴収と年金の支払い業務が粛々と行われるはずが、社会保険庁という役所は内部がきっちり三層構造になっているとかで、上意下達が非常に難しく、特に反体制的で働くのが嫌いな自治労という組織が好き放題に手抜きやサボタージュ、時には暇に飽かせて犯罪行為にまで及んでいた実態が明らかになったのでした。本当は事態はもっともっと複雑で、並みの政治家やジャーナリストでは歯が立たないくらいに年金問題の根は深く闇も深いようなのです。

■それを時間を細切れにして「徹底追及」など最初から出来ないテレビ番組などが「分かり易く」解説しようとするのもですから、ややこしい歴史的経緯や複雑な制度と計算方法などは端折ってしまう傾向があるようで、最後は簡単に絵になる「悪い奴」探しに転じることも多いようです。口先だけのエエカッコしいと評判の舛添大臣などは格好の標的で、次に歴代社保庁長官、その次に……と責任者を探し回ると問題を放置した歴代の厚生大臣やら厚生族議員の名前と顔も引用されるようにもなりますが、既に大臣などと言うものは役所のてっぺんに置かれた飾り物同然で短期間にころころ変わるものだと誰もが知っています。従って元厚生相の政治家などを引っ張り出しても実のある話など聞けない事も分かっております。国会答弁は官僚の作文を読む事だと誰もが知っていますからなあ。

■一夜明けた朝のワイドショーは、殺害された山口元政務次官の追悼番組みたいな内容になっていたようです。社保庁と厚労省を混同して荒っぽい義憤番組に仕立てて放送していたテレビ局も、急に冷静になったかのように基礎年金制度の設計理念と、実際に紙台帳をぞんざいに扱って電子化入力作業をサボって貴重なデータをぼろぼろにした社保庁の職員とは別物として扱って、山口元次官の業績・人柄・評判を集めて「良い人」に仕立てないと追悼番組にはならない事情があったのでしょう。年金問題はすぐれて社保庁の問題ですから……と再考を促すしたりすると、今度は元社保庁長官や幹部が標的になりそうな予感がして来るというのは異常な事態であります。

■マスコミは「犯行声明文」が届くのを待ち構えているのでしょうが、手紙・ファックス・メールに加えて膨大なネット上の書き込みまで悪戯と本物を選り分けるのも大変でしょうなあ。悪質な殺人予告を書き込んで摘発される不心得者も多いようですが、下手をすると戦前みたいなテロの季節を迎えるかも知れない微妙な時期、何よりも冷静な判断と行動が必要なのだと真面目に考えるべきでしょう。


山口剛彦さん夫妻殺害事件の捜査本部を設置した埼玉県警では、捜査本部を設置した直後の18日午後6時半ごろ、警視庁から吉原健二さん方の事件の情報を受けた。……警視庁から断片情報が次々伝えられるなか、午後9時前に吉原さんが元厚生事務次官経験者とわかると、県警は緊迫した状態に。県警幹部は、「被害者の身分から関連がある可能性が高い。時間帯や犯行の状況も似ていて、気持ち悪い」と話した。一方、別の捜査幹部は「警視庁と連絡を取り合っているが、関連が分からない。事件が大きくなってきてしまった」と表情をこわばらせ、県内の厚労省関係者の情報把握に努めた。
11月19日 産経新聞

■埼玉県警と警視庁とが合同捜査本部を置くことになると見られていますが、変な面子は捨てて縄張り争いも避けて仲良く手際よく捜査して欲しいものです。元事務次官が連続して襲われると直前に、同じ組み合わせで不思議なシンクロ現象が起こっていたのが気になります。


露出を強調した過激なストリップショーをしたとして、警視庁保安課と渋谷署は公然わいせつの疑いで、東京都渋谷区道玄坂の「渋谷道頓堀劇場」のストリップ嬢、「ゆの」こと野中友容疑者(36)と、経営者の松井勇容疑者(65)を逮捕した。……照明を当てるなどしてショーの演出を手助けしたり、入場券を販売したりした従業員4人を公然わいせつ幇助の疑いで逮捕した。……15日午後0時55分ごろから1時5分ごろまでの間、劇場のステージで全裸になり、陰部を露出するなどのわいせつな行為を客51人に見せるなどした疑い。……ショーの内容が激し過ぎるとの苦情が警視庁に寄せられていた。
11月17日 産経新聞

■最近はめっきり耳にしなくなった公然猥褻の逮捕劇でしたが、映像ソフトに関連する刑事事件やら世界的な注目を集めている幼児ポルノの大問題などが警察を動かしたのか?などと考えてもみましたが、場所柄を考えると「苦情」が寄せられるというのも実に不自然な話で、警視庁としては何が何でも猥褻罪で誰かを摘発して見せしめにしなければならない事情があったのではないか?と思えてなりません。