映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「私がモテてどうすんだ」

2020年07月20日 | 恋愛映画

高校生のヒロインは、男性同士の恋愛関係が大好きな、
所謂ふじょし。
クラスの男子たちを陰からひっそりと眺めては妄想していた。
しかしある日、一番の推しであるアニメキャラクターが死んでしまい、
ショックで1週間絶食した主人公は、痩せてかわいくなっていた。
そんな彼女を見てクラスのイケメンたちは
こぞってアタックしてくるのだった…というあらすじ。

よく見かける若手俳優さんが沢山出ているので、
応援~!と思って見に行きました。
まずヒロインの元の姿を演じるのが
HiGH&LOW THE WORST(ザワ)のマドカちゃん、
激やせ後を演じるのがHiGH&LOWいちごみるくの1人、
イケメンたちはザワの中中の片方、ザワのつかさくん、
それと演劇部の部長がザワのサバカン、
ニチアサ界からはルパンレッドくんとジオウくん、滅亡迅雷の亡。

私は男性向けハーレムもの、女性向け逆ハー、BL総受け、
一貫して全部苦手なんですが、
この映画のメインは男性同士のイチャイチャなので大丈夫でした。
が、DEBUとふじょしはヒエラルキー最下層という
この物語の法則に、ちょっぴりダメージを受けた…。

イケメンたちはみなイケメンで、
がんばってイチャイチャしてくれた!
エンドロール後に長めのNG集がついているのでお見逃しなく。

ラストまでバレ

リバウンドしてしまった主人公を痩せさせるため、
目標体重になるたびに手つなぎや、
壁ドンや顎クイを実演してくれる
イケメンたちのシーンが一番好きでした。
それを見てブヒってる主人公と親友がかわいかった。
あのシーンが一番幸せそうに見えたよ…。
富田望生さんの演技、好きです。
主人公が痩せる前と痩せた後で態度に変化のない
先輩一択でしょ…って思ったけど、
原作では先輩と結婚するんだね。

いやだなあと思ったのは、遊びに来たイケメンたちに、
お兄さんがなぜか「こいつはこういう女だ」って言って
隠してあったBL本を床にぶちまけるところ。
自分の本を床に叩きつけられたら、お前の大事なものを同じようにする。
あとBL本をチラ見したイケメンが「キショ…」 というところ。
「俺たちが(主人公に男の良さを)教えてやれば…」というところ、
あと演劇部でヒロインを演じてくださいって頭を下げに来た演劇部が、
リバウンドした主人公を見て豚豚3回くらい罵った後、
降板してくださいって全員で頭を下げて、
また痩せて美しくなったらやっぱり戻ってくださいって全員で頭下げにきたところ。
ハリウッドホラーならあの部長は、なんか豚にちなんだ殺され方をしている。
人の頼みが断れないというのは、性格が良いというのとはちょっと違って、
危うい状態だと私は思うので主人公がはっきり言えてよかった。
最後の王子×王子はグッドでした!エンディングも良かった。
ヒロイン2人が同時に走って来る所好き。

主人公のお部屋、すごい進撃の巨人だな?って思ったけど、原作講談社か!
(エンドロールにおおふりの名前が出てたけど、それはどこか分からなかった)
飾ってあるグッズ、10万円以上、
押し入れのBL本、10万円以上じゃないです?
いまの高校生ふじょしはみな資金潤沢なの?



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「けむりの軍団」

2020年07月13日 | 舞台
ゲキシネ上演。
脚本は倉持裕さん。

賭場での寺銭持ち逃げ騒動に巻き込まれた、元軍配士の浪人が、
金と下手人を揃って5日以内に連れ帰らねばお前の子分を殺すと脅され、男を追う。
一方、大名の目良家では、婚姻に寄る同盟を破って攻め込んだ目良に対して、
姫を取り戻し即刻応戦しようとする厚見家の家臣たちが城への潜入を果たしていた…
というあらすじ。
「走れメロス」と「隠し砦の三悪人」を合体したような話がいいという、いのうえさんのオーダーに
ちゃんと沿った形の脚本です。

相変わらず早乙女さんの殺陣はキレキレ。
目良家を統率する高田さんの極悪非道ぶりには華がありました。
第二勢力の夭願寺住職を演じる粟根さん、
袈裟の翻りまで計算に入れたアクション、お若い頃よりむしろ色気が増されたような。
池田さん、スナフキンと白石(金カム)を足して割ったような飄々とした役どころ、
お声が美しかった。古田さんとの掛け合いの息もばっちり合ってました。
姫役の方は、蹴りが結麗だった。この物語の良心なので、
時々救われたような心境になった。
冠さんは楽曲のみの参加。あのシャウトを聴くと寿命が延びる気がします。
古田さんは、十八番の役柄。適当で下品で狡いところもある流れ者だけれど
膨着した状況の破壊者。
芝居を支えるキャラクターに足る存在感(ただちょっと、 殺陣の時「体幹…」って思ったけど)

内容ばれ
前の「乱鷲」のときも思いましたが、
倉持さんは中島さんの新感線風の脚本を書かれるのがすごく上手い。
たぶん器用なかたなんだと思う。
中島さんのお芝居から、灰汁と言葉のリズム感とカオスを抜いた感じ。
きれいなジャイアンみたいな。
なので整って飲み込みやすい話を好む人は倉持さんの本のほうが好きかも。
ただ時々、倫理がゆらぐことがあるのが気になるんですが、
今回も皆殺しが起承転結の中でラッキーに位置付けられたのが「ンー!?」って感じました。
あそこ十兵衛の機転と詭弁で切り抜けるか、
あるいは行きがかり上、一家を助けた形になって放免されてたらよかったんだけども。
だってあの一家、皆殺しにされるほど悪い事はしてなかったし、
メロスが帰ってきたら革命が起こってて、王をはじめ一族郎党全員斬首されてたら、
あんまりヤッターって感じにならないじゃない…。

最後の紅葉の演出は美しかったです。
いつか、絶望的に口下手で天才的な剣士の新しい物語が語られるといいですね。

新感線は随分昔からグキシネというサービスを定着させてきたけど、
舞台の予定が立てられない現在のこの状態で、劇場公開が命綱になっているといいなと思う。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「透明人間」

2020年07月12日 | ホラー映画

リー・ワネル監督脚本。
本当なら、おトムの「ミイラ男(ザ・マミー)」と世界を共有する
ダークユニバースになる予定だったが、1作目からコケたので
白紙に返ったところをリー・ワネルが引き受けて本を書いた。
リー・ワネルは学生時代に出会ったジェームズ・ワンとコンビになり
2人で撮ったホラー映画「SAW」がハチャメチャヒットした監督・脚本家・俳優。
今回も、透明人間という、ちょっとダサめに感じられるテーマを
「なるほど、そうきたか!」という設定で固めてあって面白かった。
(個人的にはまたジェームズ・ワンと組んでホラー撮ってほしい)
ホラー、サスペンス好きな人におすすめします!特に女性。

主人公の女性は、一緒に暮らす恋人からのモラルハランスメントに苦しんでいた。
ある日、意を決して恋人に薬を盛り、逃亡に成功する。
加害されない生活を手に入れ、安らかに暮らしていた主人公は
恋人が自殺したことをニュースで知る。研究者だった恋人の遺産は5億円。
それらはすべて主人公に残されており、
相続の条件は犯罪者ではないこと、精神が健常であること。
しかし主人公の身の回りで不可解な出来事が起こり始め、
彼女はそれを恋人の仕業ではないかと疑う、というあらすじ。

透明なモラハラ彼氏なのか、それとも加害を耐え続けた主人公が心を病んだのか
あるいは遺産狙いの誰かが仕組んでいるのか、序盤は分からないようになっていて、
それがとてもよかった。

犬は無事!
大きい音でビックリさせるシーンが序盤に1回だけあります。
ただ集合体恐怖症のひとは、ちょっときついかも。
モラハラがテーマなので、恐怖症の方は無理です。

ラスト含む色々ばれ

オープニングの主人公の異常な怯え方で、
この家で何が行われていたかが分かるスマートな導入部。
ゼウスの皿を蹴飛ばしたシーンで久しぶりにビクッとしました。
最初から最後まで、こわいのは透明人間ではなく、モラハラでありDVなんですよね実は。
なので親族や協力者が心変わりしたり信じてくれなくなったり
(実際はもうちょっと巧妙に不和を煽るようですが)
匿ってくれる身内が殺されたりするのはリアルでぞっとしました。

ドラマ「ハンドメイズ・テイル」でも、
男性からの虐待と女性蔑視に耐える妊婦を演じた主演のエリザベス・モスですが、
この人の上目遣いはちょっと気の違ったニュアンスもあって絶品です。
今回のテーマにかぶせたキャスティングなんでしょう。

「サプライズ」のひとことで、確信を得てからの復讐が鮮やかでスッキリした!
ちゃんと伏線が回収されたし、妹を殺されたのと同じやりかただもんね。
(スーツ内の痕跡で兄に罪をなすりつける必要があって、スーツの中身は始終一貫して兄だったと私は思ってる)
(ただし兄はもう自分の意思とかはなく、何でも弟の言いなり)
互いのきょうだいを殺して一騎打ちからの勝利!
やっぱりずっとホラー界にいるひとのホラーは、鮨屋の鮨くらい安定している。

光学迷彩スーツ、めちゃ燃えました。
あれ各々カメラの周囲がスクリーンで、前後と左右の風景を逆転して映写するんだろうけど、
視点の角度があるから、床上1センチのところに床上1センチの視点からの映像が写ってたら
相当変な気がする…。
それとも人の視点の高さを自動で感知して、1m60あたりのカメラの映像を全体に映写するんだろうか。
その場合、前面に立ってる人と寝そべっている人がいたら、どうするんだろう…とか色々考えた。
パワードスーツを兼ねてるみたいだから、思いっきり軍用だな。

さて映画とは関係ない蛇足ですが
モラハラとかよく知らないし、周囲にもないという人に書きます。
私の知人女性は、夜中に起きていたら、たまたま起きてきた男性に
家出をすると勘違いされて殴られ、頭部のパーツが1つ損壊しましたが
もちろん警察に通報とかはなさってません。暗数が多い。あと加害者は男性ばかりとも限らない。
モラハラ加害者とは円満に別れられないので、失踪による解決が多い。
なのでもし「もっとよく話し合うべきでは?」「相手をそんな風にレッテル貼りするのは失礼」と思っても
そう助言したり、ましてや連絡先を教えて失踪者追跡を応援しないほうがいいです。
あと被害者をかくまって巻き添えで暴力を受けたりするケースもあるのでそこは注意。

モラハラ被害は、本人が気付くのは結構難しいですが
「最近なんか自分に自信がなくなってきたな…」とか、
「最近なんか友達や知人が減ってきたな…」とか、ふと思ったら自分の交友関係を精査してみてください。

あとこの映画を見て「どっちもどっち」「愛情がすれ違っただけ」
って思った男性や女性は、特に自覚がない場合はモラルハランスメントについて
ちょっと学習してみるといいかもしれないけど、
「くだらないことでギャーピー騒ぎやがって!」と腹立って終わるだけかも…分からん。



  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする