映画の豆

映画の感想をだらだらと。
本サイトは
http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「エンド・オブ・キングダム」

2016年06月09日 | アクション映画

「エンド・オブ・ホワイトハウス」の続編です。
護衛官がテロリストから大統領を守り通します。
タフガイ活躍ものアクション映画の様式を踏襲していますが、
かなり変です。まず男ヒロイン制度採用。
大統領がヒロインです。
主人公は大統領に対して妙に高圧的で、
俺以外はみんな敵だとか、俺以外は撃てとか、
ドS系彼氏みたいなことを言います。
そして主人公サイコパス化。
殺しに対して全然抵抗とかありません。
相手がテロリストかどうか念のため確認とかしません。
テロの指揮者に肉親の断末魔の声を聞かせるために
捕えたテロリストを痛めつけて殺したり、
相手をナイフで滅多刺しにしたりします。KOWAI。
殺す必要があったのか?って聞かれて「ない」って言います。

序盤の内容についてちょっと触れます。
英国の首相が亡くなり、各国首脳が葬儀のために渡英しますが
結論から言うとドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本のトップは全員殺されます。
この暗殺シーン、首脳にそれぞれのお国柄が出ててなかなか面白いです。
でもスーパー護衛官であるところの主人公が守っている大統領は生き延びます。
そこから2人だけの逃避行が始まって、色々なものが爆破され、
ロンドン名所があちこち壊滅しますが主人公はともかく殺します。
そしてUSA!USA!みたいな話。

映画として優れているとかではないですが、変な作品が好きな人におすすめ。
あと妻帯者おっさん同士商業BLとかの好きな人にも。
1作目とは監督が変りました。今回はイラン系スウェーデン人ババク・ナジャフィ監督。

内容ばれ

兵器武器アクションは結構燃えます。
スティンガーって攻撃手段のあるヘリ3機を地上から落せるんだ!とか、
応戦するヘリから発射されるフレアの、幾何学模様っぽい軌跡とか、
あと大統領の乗っているヘリの盾になるために、
もう1機が空中で静止してミサイルに対して被弾面積が増えるよう角度を変えるところ!
あそこ格好良かった。

あと主人公の「ビルを爆破しようと、国旗を燃やそうと、人を殺そうと、
お前らのようなクソは勝てない。我が国は1000年後も安泰だ!」
っていう感じのセリフ。アメリカ国民じゃないけどウェーイ!ってなりました(笑)
最近「キャプテン・アメリカ シビル・ウォー」をヘビーローテーションで見ているので、
他国での民間人の死を責めまくられているアベンジャーズの皆さんと比較して、
気の毒になった。
こっちの主人公は敵の悲劇的な事情なんか全然斟酌しないし
ぶん殴ってドヤ顔で説教するぜ!

やや腑に落ちないのは
・主人公の上司の長官があまりにキャーキャー言いすぎて
 素人のお姉さんみたいだった。
・あとあのテロというよりは武力侵攻レベルの蜂起を(いくら内通者がいたとしても)
 察知できないなら諜報部なんかあっても無駄だろ。
・乗ってたヘリがミサイル直撃で墜落した大統領が生きてるのに、
 橋から川へ車で単に落ちただけの日本の総理が死ぬのはちょっと納得できない(笑)。
 (総理の日本語はめずらしくネイティブ発音でした)
・最後の攻撃、建物内に民間人はいないって言ってたけど、
 往来の私兵に混じって、一般の人が吹き飛ばされてなかった?



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「デッドプール」

2016年06月05日 | バトル映画

快進撃のアメコミ原作もので、
マーベルのキャラクターですが、アベンジャーズとは配給会社が違うので
世界設定は共有ではありません。
同じ配給会社のX-MENが存在する世界で、
恵まれし子らの学園が出てきますが、
でもアメコミ映画を1作も見たことがなくても楽しめるようになっています。
ただし耐性のない人はグロ・えろねた注意です。R15。

あらすじは単純で、高い戦闘能力を生かして
トラブル解決を職業にしていた元傭兵の主人公は、
運命の女性と出会って幸福に暮らしていた。
しかし末期癌であることが突然分かって、
悩んだ末に、仲介人に紹介された研究所での治療を受ける事にする。
投薬と拷問の末に再生能力を手に入れた主人公は、
その代償として表皮が全て爛れてしまい、
体を元に戻すために研究者を追う、という話。

概略は「ダークマン」に似てます。
でも悲壮感が薄いのは、たぶん主人公の性格のせい。
饒舌に戦闘中も色々と物を考え、敵にも話しかけ、
ヒーローではないので容赦なくどんどん殺すし、言動は下品です。
なにより彼は自分が物語の中の人物なのだという自覚のようなものがあり、
観客にも話しかけてくるし、映画のスタッフや役者についてもメタ発言をします。
特殊なキャラクターです。

エンドテロップのあとにはおまけ映像があるのでご注意。

内容ばれ

X-MENねた好きです。
プロフェッサーXに関して、マカヴォイ?スチュアート?って聞くところ(笑)。
コロッサッスが頻繁に言葉遣いを注意するのはアベンジャーズねたなのかな?
あとキャプテン・デッドプールと遠景のヘリキャリアのようなもの。
おまけ映像の、フューリー長官ねた。

原作ではもっと狂ったキャラクターなデッドプールですが、
映画に合わせたのか、ラブロマンスに相応しい、比較的真面目な性格になってました。

相棒のウィーゼルくん、おいしいキャラクターだった。
最終決戦に「行くべきなんだろうが、行きたくない」って付いて来てくれないところが最高です。






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「マイケル・ムーアの世界征服のススメ」

2016年06月01日 | 考察映画

第二次大戦以降戦争に勝てなくなってしまったアメリカの陸海空軍のトップから、
アメリカを何とかしてほしいという依頼を受けた(この部分は捏造ジョーク)マイケル・ムーア監督が
世界の国々を回って、アメリカに役立つものを略奪しまくるという体裁のドキュメンタリー映画。

イタリアの労働時間、フランスの豊かな学校給食、世界一の学力を誇るフィンランドの教育、
スロベニアの学費無料の大学、ドイツの労働環境、ポルトガルの麻薬合法化、
ノルウェーの快適な刑務所、チュニジアの女性権利獲得の戦い、
アイスランドの完全男女平等、などコンセプトの割に結構真面目です。

イタリアには土日祝以外に通常8週間の有給休暇がつくらしく、
「アメリカには基本的に有給制度はないんだよ」って言われた時の
「何を言ってるのか理解できない」という感じのイタリア人の目が印象的でした。
あと、フランスの給食はコース仕立てになっていて、
日本のレストランだと2000円くらいかな?って感じの豪華な内容なんですが、
同じようにアメリカの給食の写真を見せられたフランスの子供たちが
「オエー!気持ち悪い!」って顔してたのも面白かった。

今回いつものあの痛烈な皮肉やジョークが少なくなって、
しかも作品全体的に対象を糾弾するものではなく、
希望のある内容だったので、
何か心境の変化がおありになったのか、
それとも世界全体的に色々やばいので、
逆に気持ちを上げるような作品を撮られたのか、
どうなんだろうって思いました。

内容ばれ

優れた点の挙がっている国々には深刻な問題もあると思うんですが、
まあとりあえずそのへんには触れられていません。
(あと優れた点として挙がっている、再犯率の少ないノルウェーの刑罰制度、
犯罪者は適切でない環境でそうなっただけで、正しく教育もしくは治療すれば
必ず正常な集団生活が営めるという性善説に基いたもので、
私はあまり賛同できない。私が被害者または被害者の親しい者なら
犯人に更生など望まないし劣悪な環境で暮らしてほしい。
それがダメでも、罪人の快適な生活のために税金を使わないでほしい)
(世界史上、単独犯最高殺人数の「ノルウェー連続テロ事件」の
被害者の父親のインタビューが映画内にあって「犯人のレベルまで下りて
復讐などしたくない」という回答が入っている。そのあたり周到だなと思う)

監督はベルリンの壁崩壊や、マンデラ大統領誕生などに影響を受けた世代で、
その経験を踏まえて「世界は変わる」と断言します。
なんとなくアメリカのバーカ!バ-カ!で終わると思っていたのでびっくりした(笑)



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