映画の豆

映画の感想をだらだらと。
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http://heme.sakura.ne.jp/333/index.htm

「屍者の帝国」

2015年10月08日 | アニメ映画

早逝された伊藤計劃さんが残した序章とプロットを
円城塔さんが引き継いで完成なさったスチームパンク長編小説をアニメ化。
19世紀後半の世界を舞台に、シャーロック・ホームズやカラマーゾフの兄弟、
フランケンシュタイン等の小説の登場人物や実在の人物が入り乱れて、
英国やアフガニスタン、日本で冒険を繰り広げます。

この作品世界の19世紀末は屍体の蘇生が行われており、
安価な労働力、戦時下には兵力となって社会を支えていた。
親友のフライデーを亡くした医学生のジョン・ワトソンは、
禁忌である無許可の死体蘇生に手を染める。
親友の魂を再び取り戻すために、彼は死体蘇生技術の祖である
フランケンシュタイン博士の「ヴィクターの手記」を探す旅に出る、というあらすじ。

データのアウトプットがパンチカードで行われていたり、
蒸気が動力のコンピュータ、ギアで構成されたマシン、僧侶の脳を並列繋ぎ等々、
それ系テクノロジーの好きなかたにはたまらない描写の連続です。
私的には、知能がなくて天使のような容貌の受の権化のようなフライデーさんが
生前はめっちゃ攻っぽかったのに「うむ、非常にいいね!」と思っていました。
あと、命令が大雑把だと理解されず、
小分けにして言ってやらないと屍者が反応しない描写が面白かった。

エンドロールの後に映像がありますのでご注意。

ラストばれ

「ここは俺達が食い止めるから、頼んだぞワトソン!」
って仲間たちが命懸けで戦っているのに
「フライデー……!僕は……!」
ってワトソンのBLタイムのせいでチャンス台無しになるパターンが
2回ほど繰り返されて、い い か ら さ っ さ と や れ !
ってずっと思ってました。

あとザ・ワンが世界中の屍者を蜂起させ、人間を襲わせる→主人公たちが阻止する
Mが世界平和のために屍者に人間を襲わせ弱った所で人間を屍者化する→主人公たちが阻止する
ザ・ワンが……っていう流れは、いくらなんでもグダグダすぎるだろうよ…。
ザ・ワンとMのやろうとしている事の差異が分からない。
あと、ザ・ワン、すごい老成して大物の風格漂わせているのに
行動原理は「女ほしー!」なのかよ!そこのところは原作(メアリ・シェリーのほう)通りかよ!
ってちょっと笑った。

それでラスト、ああ、フライデーの意識がとうとう戻らなくて絶望して自分も屍者化かー。
って思っていたら突然のホームズエンド!
「あれほど執着したフライデーを捨てて違う男とコンビを組んでヒャッホー!?」
と、めっちゃ混乱したのですが、
原作ではフライデーはワトソンの親友じゃないんですね…納得。
BLアレンジは、ワトソンの行動に目的がついて分かり易くて良い改変だったので、
ラストもそれに合わせて変えるべきって気もします。
フライデーがドイルになって、3人が出会うところで終わるとか。

原作は意識とは何かの追及の話で、かなり独創的なアンサーも用意されているようで、
うーん、面白そうだなって思ったんですが、
映画的な見栄えとしては屍者一斉蜂起、都市壊滅のピンチ!みたいなのが
求められるんですかね矢張り。

食べ物がおいしそうでした。
カラマーゾフさんの家のパンケーキのようなものが特に気になった。
どうして誰も食べないのだ!


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「バクマン。」

2015年10月05日 | 成長モノ

切るエピソードや切るキャラクターが丁度いい感じでした。
公開前から逆だ逆だと言われ続けていて、私も「逆だ!」と思っていた
主人公2人の配役も、意外に合ってました。
(サイコー=佐藤健さん、シュージン=神木隆之介さん)
ラストも(反転「金知恵」連載終了までで)妥当だった。
亜豆さん以外の女性キャラクターが全員消去で、
男子ばかりになったため、熱血度が上がったように思います。
そして亜豆さんも途中からちょっと存在が希薄になるので、
サイコーとシュージンが約束を果たす話になってました。
監督曰く「BLを意識した」そうです。

内容ばれ反転

コンビ結成で握手しようとしたら
サイコーが「ジャンプ連載が決まってからだ」
ジャンプ連載が決まって握手しようとしたら
シュージンが「エイジを抜いてアンケート1位を取ってからにしないか」
って感じで、結局サイコーとシュージンが互いの手に触れるまでの道のり…
って内容だったんですけど!

原作の登場人物が時々見せた、天然の上から目線、人間の値踏み、
ミソジニーはなくなってたのでよかった。
蒼樹さんが登場しなかったので、
中井さんもちょっと濃いだけの気のいいひとになってた。
編集服部さん役の山田孝之さんは、漫画じゃなく本人にちょっと似てた。
新妻エイジの染谷さんは、イメージとはちょっと違った。
(というか、最近変わった若者役は全部染谷さんに回される印象/笑)
川口たろうはクドカンでした。

登場人物がラインでやりとりしてるし、
ソーマや進撃の話が出たので、あの世界は2008年じゃなく
現在の設定だと思うんですが(カレンダーなどが出たかもですが記憶にない)、
なぜか全員作画をオールアナログで作業しています。
しかし作品名は挙がったのにアンケート上位にワンピの名がなかったので、
あの世界はワンピの連載が終了している別世界で、
実はデジタルツールが発展していないのかもしれない。
でもお陰でペン先の滑る音がたっぷり聴けるし、
サンプリングした音楽にもなっているので、
あのシャッ、シャッという音が好きな人は劇場で聞くべきです。
あと小畑先生の絵が大画面で見られます。
紙から主線や擬音が浮かび上がって宙を舞うCG、
表現として面白かったです。

エンドロールがすごく凝ってる。(エンドロールばれ反転)
ジャンプコミックスの背表紙に、スタッフの名前が書いてあるのですが、
「ランプ・ランプ」が照明係さんだったのにニヤリとした。

関係ないけど尾田栄一郎先生の家に川が流れているというのは
帰ってから検索しましたが本当みたいですね。
あとご自宅にATMがあるというのも…スゲエ!



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