映画の豆

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「ヴィジット」

2015年10月26日 | ホラー映画

シャマランの新作。彼の作品の中では一番ホラー寄りです。
前評判が良かった。
適度に引かれた伏線と、きちんとした回収、
扉を開けるたびに展開する恐怖、ホラー映画としてとても出来がいいです。
そこにシャマランの持ち味である、自分の傷を自分で修復しようと試行錯誤する人々、
味のある人物描写が加わって、なかなかいい感じでした。
ただ割と怖いので(しかも嫌な怖さ)、ホラーが苦手な人には絶対無理なのと、
あと本格的な恐怖シーンに到達するまで30分以上を要したりとか、
地味な人物描写が嫌いな人には向いてないという、2つの理由で人を選ぶ映画です。

見に行くつもりの人は、下記は読まずに、
ネットでねたばれを踏む前に見に行った方がいいと思います。
(上映館が少ないようですが)

主人公の姉弟は、父親が昔女と逃げたため母と3人家族。
母とその彼氏を旅行に行かせるために、
祖父と祖母の家に一週間滞在する事にする。
過去に母は両親と諍いをして、それ以来絶縁状態で、
姉はそんな彼等の復縁を計画していた。
迎えにきた祖父母は穏やかな人達で、姉弟は田舎暮らしを楽しむが、
夜に自分達の部屋の外に出た姉は、異様なものを目にする。
というあらすじ。
姉が、ドキュメンタリー映画を作成しているという設定なので
POV方式です。
日本の配給会社が適当に付けたあの3つの約束とかは忘れた方がいいです。
話にはあまり関係ないです。

おちばれ…?

お姉さんと弟の描写がよくて、弟くんは生意気なんだけど
おねいちゃんの命令には渋々従うし、
お姉ちゃんは辛辣だけど、弟が発作を起こしたら気長に付き合ってあげる。
2人とも父親に捨てられた件がトラウマになって、
お姉ちゃんは鏡が見られなくなり、弟くんは潔癖症を発症しています。
なので2人とも他人の弱さにとても優しいです。

電車での出発を見送るお母さんが、最初はふざけて本気走りの真似とかしているけど、
段々泣き顔になるのとか、ああいうちょっとした描写がシャマランぽいなーと思った。

最初の夜の恐怖シーンとか、ホラーではツカミに当たりますが、
人が歩きながらゲロを吐いているってかなりショッキングでした。斬新だな!と。
ていうか役者さんすごい熱演でした…。
ただ、病理的なものを誇張して、一種のクリーチャーとして撮っているので
抗議が来ないのかなこれ……と、ちょっと心配にはなった。

POV方式なので、余計な音楽や、あのホラー映画独特の
やかましい効果音がなかったのがよかった。
エンディングが微笑ましく、かつさりげなく2人の再生と傷の克服を表現していて
とてもとてもよかった。あれがあるとないとでは大違いだ。



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