リドリー・スコット監督。
奴隷階級として酷使されるヘブライ人を率いてエジプトを脱出し、
約束の地へと向かう預言者モーセを描いた大作で、画面がとてもゴージャスです。
1956年の「十戒」がお好きな年配の方とご一緒したりすると
新旧比較で話に花が咲くかもしれません。
王の息子ラムセスと、血の繋がりこそないが兄弟同然に育ったモーセは
共によく武芸を修め、やがて助け合ってエジプトを治めていくだろうと期待されていたが
過去に殺されていた筈の予言の子がモーセだと分かり…という内容。
この映画の神は、人間に対して激しく怒り、血を望む旧約聖書のかたなので、
神に対して慈悲深く大きな存在のイメージをお持ちの人は少々戸惑われるかも。
内容ばれ
エジプトを襲う大規模災害の数々や、大軍が動くシーン、
特に戦車が崖からブワーって落ちるところとかすごかったですね。
まさに人がゴミのようでした。
製作費2億ドル越えたな…って思ったんですが、越えてなかった。
1億4千万ドルだった。あれえ?
神との対話後のモーセがちょっと電波入っちゃってるので
(そんな突然戻って刀を抜いたらラムセスくんだってパニック起こすよとか)
もうちょっと現代っぽいハト派の性格設定にしてもいいんじゃないのと思いました。
ラムセスくんの対応に対して次にモーセのとった行動は軍事訓練だし…。
そして
「エジプト人の財産と食料と安全を脅かし、ラムセスに圧力を掛けさせる」
って船を襲ったりするんですが、それって完全にテロリスト根性…
公開時期がちょっと…。
しかもモーセはその抗戦を一世代にわたり続けるつもりだった…。
厄災や奇跡が、一応科学的に説明がつくようにも撮られているところは
面白いなーと思いました。
子供が死ぬところ、長子のみが死んだという表現はなかったし、
まず火が消えていったので、ガスかな?と。
扉を閉ざした家は、空気より重いガスが入ってこなかったとか。
あと、海が割れるところは左右に割れる表現ではなく、完全に津波の予兆として撮られてました。
それで地図を見てみたのですが、
モーセが渡ったかもしれないとされている位置がアカバ湾というところで
紅海の隅にある細長ーい一角なのですね
(対岸までだいたい20キロ、たしかにここなら徒歩で渡れそうです)
(ガチの紅海は向こう岸まで200キロくらいあるので、民族移動は無理)
これならモーゼから見て右のほうに、
方向的には南に海水が引いていったのも理解できます。
出エジプト記って映画の脚本として書かれたのか?って言いたくなるくらい
起承転結のオリジナリティといい、視覚的なインパクトといい、
空前絶後のクオリティですが、
とくにラスト、モーセ自身は約束の地に入らない所が完璧だ。