いつもの三谷さん映画のシチュエーションコメディではなく、
どちらかと言えば「組!」系の、
史実をそのまま使いつつ、それを面白い方向に
ゆるーく曲げる感じの話です。
流れは原作小説ほぼそのままですが、
領地分配のシーンと(私の好きな)イノシシ狩りのシーンはカット。
まあ…イノシシ狩りを入れるとロケ地の手配や
撮影期間の延長で製作費が嵩んだでしょうから
仕方ないのは分かりますが…
佐藤さんのコメディシーンが増えたからいいですが…
イノシシ…。
光秀を討取ったあと、織田家の跡取りを誰にするか、
古参の家臣や成り上がり者の家臣、
仇討で功をあげたもの、あげられなかったものが一堂に会し
城の中に籠って協議をするという、いわば密室劇です。
皆さん楽しそうにのびのびと演じられていて実にいいです。
特に寧役の中谷さんがキュートだった。
原作では秀吉に対してもうちょっとニュートラルだったのですが
映画では明るく献身的な、ツキを運んでくる女性という感じ。
柴田勝家の役所さん、丹羽長秀の小日向さん、
秀吉の大泉さん、池田恒興の佐藤さん、このあたりは安定した演技で
芝居と笑いを回してらっしゃいました。
しかし西田敏行さん、松山ケンイチさん、天海祐希さんはすごいチョイ役で
それでよかったの!?本当に!?と聞きたくなりました。
内容ばれ
妻に関する丹羽のアドバイスとか、
原作にないシーンがちょいと足され、
逆に勝家の空涙などが削られて、
円満なラストになるよう、映画っぽいカタルシスが得られるよう
工夫がしてありました。
麿眉と鉄漿が殊の外お似合いだった剛力さんの例の告白も
寧さんが受け手だったのでちょっと丸くなった。
1人称小説って映像化は難しいと思うんですが、
さすが作者だけのことはあります。
(原作・脚本・監督=三谷さん)
最後に「さまざまな声:山寺宏一」って出たんですが
さまざまな声ってなんだろう…。