アレクサンドル・ソクーロフ監督
権力者4部作最終章。
ゲーテの「ファウスト」を下敷きにした物語です。
全てのシーン全ての瞬間が絵画のモチーフのようでした。
狼藉者が洗濯場から若い娘をかどわかそうとするのを
張り手で阻止しようとするおかみさん方、
なにかに気を取られている若い娘のスカートをめくって
パンツを見るおっさんたち、
押し合いへしあいする葬儀の列、
酒屋での軍人たちの喧嘩、
薄暗く埃っぽい店の中に差す光。
しかしながら割と序盤のシーンで気持ち悪くなってしまって
監督には申し訳ないですが「早く終われー早く終われー」
とずっと念じていました。うん…ちょっと夏バテ気味かも…。
難解、というのではないが、
なんとなく納得できない不可解な展開が続きます。
私は物語の中の暗喩は、よほど興味が持てない限りは一切スルー派なので、
誰かの夢の世界を見ているようでした。
常に飢えていて、常に金に困っていて、常に怒っている。
男が恋をしているが、発情期の犬のようなそれである。
私が眠っている時に見る夢は全然あんな風ではないし、
ああいう夢を見たいとも思わないけど。
内容ばれ(気持ちの悪くなる話)
死体の解体で内臓ドベチャァァァー!とかは平気だったんですが、
ゆでたまごを食べるところがね…。
私、体から出たものを再度口に入れるのがどうも苦手っぽいです。
監督のインタビューを読むと、
「最後にファウスト博士は、魂を要求する存在を打ち倒し、
自由を得て権力者になった」
というような事が書いてあり、えええーっ!ってびっくりしました。
最後ファウストは破滅したんだと思ってた…。
やたら狭い所にぎゅうぎゅうおしくらまんじゅう状態になるのと
男同士の過剰なスキンシップのシーンが多かった。
監督の萌えなのかしら。