厳格な母親と身体不随の父親、
3人で暮らすパールはダンサーを夢見る人妻。
夫は第一次世界大戦に従軍し戦地からまだ帰らず、
農場での労働に不満を持つパールは
日々鬱憤をつのらせていく、というあらすじ。
「X/エックス」の前日譚。
認知症殺人老婆の若かりし頃の話。
「X/エックス」の出来がよろしくなくて、
もうこの監督の作品、特にホラーは二度と見るまいと思ったが、
たいへん評判が良く、鑑賞。
確かに前作よりはよい。
この監督さんは普通の人視点よりは
普通じゃない人視点のほうが合ってるみたい。
エスターさんもですけど、最近
オカルトや毒などといった眠たい手段に頼らず
物理で攻める女性殺人鬼が増えてきて個人的には嬉しい。
恋愛で発狂しない殺人鬼さんの登場が待たれる。
虫がすごい。
人間以外の動物も死ぬ。
性的な描写がちょっとある。
前作を見てなくても話は分かるけど、
つながってるところはあるので、
「ああ、あれね」みたいなのはなくなる。
ラストまでばれ
往年のミュージカル映画のテイストとホラー、相性が良い。
純粋なパールが徐々に狂っていく内容かと予想してましたが
元々サイコパスで、しかも母親のセリフの端々から
どうも母からの遺伝っぽいのが分かって、
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」といい、
A24、母娘がブームかよ…と思いました。
他人を操れるタイプのサイコパスもいるそうですが
パールは共感能力がなく衝動的で、出まかせを言うそばから忘れ、
認知がゆがんでいるという、生き辛そうなタイプ。
ミア・ゴスさん大熱演で、とくにラストの笑顔は夢に出てきそうです。
(体を動かせない設定のお父さんの恐怖の表情もよい演技だった)
三部作だそうですが、エンドロール後の映像は今回はなし。
次はおじいちゃんの事情が語られるのかな?