邦画、レベル上がってきたな…と思いました。
ガチのスクールカーストを程よい湿度で撮った群像劇です。
痛快娯楽映画ではありませんが、
色々な立ち位置の子が出てくるのでそれぞれ別方向から見られますし、
複数回鑑賞すると違った発見ができるタイプの映画です。
スクールカーストの垣根を越えた友情を描いた仮面ライダーフォーゼが終わったばかりですが
カーストが違う者同士の友情とか、ファンタジーだ!と思わざるを得ない。
あらすじ
勉強もスポーツもできて、イケメンで、付き合っている彼女も学園一の美女である桐島が
ある日突然部活を辞め、学校にも来なくなり、連絡が取れなくなる。
彼の不在が、周囲に静かに波紋を広げていく。
学生時代を平和に過ごして何も不満がなかった人には刺さるところのない映画だと思います。
そうでない人も、所属していた階層により、感情移入先が分かれると思う。
ところでこの映画における桐島は、映画作法で言うところの「マクガフィン」と呼ばれる存在で
(あらすじを動かす重要な物ではあるが中身はどうでもいい)ほぼ登場しないのですが、
「桐島が出てこないので脳が物語を拒否」
「時間軸に添わずに展開するので脳が物語を拒否」
するか否かで脳筋型リア充かそれ以外かに、まず選別されるような気がします。
内容ばれ
ナードのあの存在全てに滲む残念感。体育の授業のつらさ。
おかしな口調を真似されるつらさ。ナードはつらい。
でも交流関係全てに気を配って誰の顔も立てないといけない。
笑っても怒りを買うし無関心でも怒りを買う。
悪口の枕詞「あの子変わったよね」ジョックスはジョックスでつらい。
男子もつらいし女子もつらい。
同じランクに属している子でも、喋っている内容を聞いていると
「あ、この子は見た目と違って結構考えてるしいい子だ」とか
「あ、この子はゲスだ」とか色々分かってくる。
神木君はきもい系男子の演技がうまかった。
そうか、きもいってこういうことなのか…って逆に分かった(笑)
あとルックスは完璧に可愛いNO2の女子なんだけど感受性が猿っぽい女子役の子も
異様に巧かったな。
あれ同タイプの女の子がもしデートか何かで見に来たら、
皮肉られてる事って気付くんだろうか。
それとも「この子の事分かる~私みたい~」って思うんだろうか。
私の周囲にはあのタイプのひとがまったくいないので分からない。
ひろきくん、格好良かったけどまゆ毛が濃すぎるのでもうちょっとカットしなよ。
(この子、だれと並んでも巨人だった。187cm。男子の格好良さは身長と密接な関係がありますね)
というか人によって笑うところが違うだろうな。
ナードのみっともないポイントで笑う人もいれば
「タランティーノ作品でなにが好き?」「人がいっぱい死ぬやつ」のところで笑う人もいるだろう。
私は神木くん演じる映画部部長の気持ちがすごく分かりすぎた。
タランティーノだったら誰でも何本か見てるし印象に残ってるだろうって思っちゃうし、
ロメロは全然マニアックじゃないし、
恋愛ものや進学問題もの映画なんか撮っても、救いにもなんにもならない。
ラストがねー。人によっては「えっ!?終わり!?」ってなるかもしれないけど
カーストの断絶がすごく丁寧に描かれた後でのあれだから、
あの内容にもかかわらず、救いがあって希望があって、
嫌な感じがしないというのが、この映画すごいなあと思う所です。