映画の豆

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「憐れみの3章」

2024年10月02日 | 淡々と暗い系
監督ヨルゴス・ランティモス

ほぼ同じ役者さんで、3つのお話を撮っておられます。
各話に特に繋がりはないけどRMFという人物だけは共通していて章のタイトルにもなっています。

1話目は、雇用主である資産家の命令は絶対で、食べるものから体型、妻との性交渉まですべて言いなりになっている男の話。
2話目は、行方不明になっていた妻が何か別の存在と入れ替わっていると疑う警官の話。
3話目は、新興宗教の信者が、教祖の命令で聖女を探す話。

注意
・きつめの人体損壊があります。
・動物を傷つける描写があります。
・げろを吐きます。
・薬物を使った性加害表現があります。

毎回巧いなと思います。
好きにはなれないけども。

ラストまでばれ

性加害表現があっても、それどころではない展開が続き、また非常に技術が高く、人の判断力を眩ましてくるので、アンチポリコレ勢はお手本にするといいかもですね。

どの話にも支配者がいる。1話目は100%支配の話だし、2話目も警官が望んだことすべてを妻(?)は叶える。 3話目の教祖の言葉は絶対である。
今回やっと気付いたけど、これまでに私が見たランティモス作品全部、支配・被支配の話だった。
ロブスター、聖なる鹿殺し 、女王陛下のお気に入り、哀れなるものたち。
(あと何故か女性が動物を虐待するシーンが多い。監督の萌えなのか)
今回は監督の大好きなものだけで構成した、究極のフルコースなんだろうな。
支配、支配、支配の3章。
支配を逃れる内容だった前作「哀れなるものたち」が希少なんだな。

経営者のドミナントの話、メインプロットは世にも奇妙なでもありそうなものだけど、経営者からのプレゼントとか、主人公のナンパ方法が自傷とか、細部にじわじわと嫌なオリジナリティが満ちていた。

警官の話が一番一般向けではないと思うが、まな板指切りなら「ダーク・アンド・ウィケッド」のほうがリズムと圧迫感ともに優れていると思います(まな板指切り評論)。
最悪なのとユーモアが同居している予測不能な展開が本当に上手くて、行方不明の妻を待つ夫の家を訪れた友人夫妻が、「過去の記録映像を一緒に見てくれ」って懇願されて、自分たちのスワッピンク定点撮り映像を見せられている顔とか、どうやったら思いつくんだこれ?って感じなんですが、ちょっと今回、無意味な裸が増えたかなという気はした。
監督の加齢と地位の上昇により今後どんどん箍が外れていく危険性はある。田舎の宴会みたいな、パイかチンを出しときゃエンタテインメントじゃー!てノリは勘弁してほしいモス。

聖女の話、監督が嫌いそうなこんな善良な女性は酷い退場をするだろうな…と思ったら案の定だった。エマ・ストーンのスーパードラテク、笑い所かと思ったら伏線だった。あの水とセックスを使った新興宗教は、いかにも存在してそうだった。



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