シャマランの新作。彼の作品の中では一番ホラー寄りです。
前評判が良かった。
適度に引かれた伏線と、きちんとした回収、
扉を開けるたびに展開する恐怖、ホラー映画としてとても出来がいいです。
そこにシャマランの持ち味である、自分の傷を自分で修復しようと試行錯誤する人々、
味のある人物描写が加わって、なかなかいい感じでした。
ただ割と怖いので(しかも嫌な怖さ)、ホラーが苦手な人には絶対無理なのと、
あと本格的な恐怖シーンに到達するまで30分以上を要したりとか、
地味な人物描写が嫌いな人には向いてないという、2つの理由で人を選ぶ映画です。
見に行くつもりの人は、下記は読まずに、
ネットでねたばれを踏む前に見に行った方がいいと思います。
(上映館が少ないようですが)
主人公の姉弟は、父親が昔女と逃げたため母と3人家族。
母とその彼氏を旅行に行かせるために、
祖父と祖母の家に一週間滞在する事にする。
過去に母は両親と諍いをして、それ以来絶縁状態で、
姉はそんな彼等の復縁を計画していた。
迎えにきた祖父母は穏やかな人達で、姉弟は田舎暮らしを楽しむが、
夜に自分達の部屋の外に出た姉は、異様なものを目にする。
というあらすじ。
姉が、ドキュメンタリー映画を作成しているという設定なので
POV方式です。
日本の配給会社が適当に付けたあの3つの約束とかは忘れた方がいいです。
話にはあまり関係ないです。
おちばれ…?
お姉さんと弟の描写がよくて、弟くんは生意気なんだけど
おねいちゃんの命令には渋々従うし、
お姉ちゃんは辛辣だけど、弟が発作を起こしたら気長に付き合ってあげる。
2人とも父親に捨てられた件がトラウマになって、
お姉ちゃんは鏡が見られなくなり、弟くんは潔癖症を発症しています。
なので2人とも他人の弱さにとても優しいです。
電車での出発を見送るお母さんが、最初はふざけて本気走りの真似とかしているけど、
段々泣き顔になるのとか、ああいうちょっとした描写がシャマランぽいなーと思った。
最初の夜の恐怖シーンとか、ホラーではツカミに当たりますが、
人が歩きながらゲロを吐いているってかなりショッキングでした。斬新だな!と。
ていうか役者さんすごい熱演でした…。
ただ、病理的なものを誇張して、一種のクリーチャーとして撮っているので
抗議が来ないのかなこれ……と、ちょっと心配にはなった。
POV方式なので、余計な音楽や、あのホラー映画独特の
やかましい効果音がなかったのがよかった。
エンディングが微笑ましく、かつさりげなく2人の再生と傷の克服を表現していて
とてもとてもよかった。あれがあるとないとでは大違いだ。