夫の墜落死を目の当たりにするというショッキングな経験をしたヒロインは、
静養を求め、郊外のカントリーハウスに滞在する。
古い館での暮らしや周囲の森の散策に癒されるヒロインだが、
不審な男が屋敷に侵入しようとする…というあらすじ。
不条理ミソジニーホラーです。
明快な結末を望む人向けではない。評価が分かれそうです。
この作品を好きな人も、前半が好きな人と、後半が好きな人に二分されそう。
私は前半が割と好きです。
すごく痛い描写があります。
ラストまでばれ
男性監督なのに男性の嫌な部分を描くのがうまいな~~~~~!
と思います。
男性の中には、嫌な部分を描写していると認識できないひともいるかも。
それくらい自然。
・客観的に見て加害者側なのに、当たり前に自分を被害者だと思っていて責めようとする
・性被害、暴力被害に遭った女性の落ち度を探そうとする
・隙あらば触る
・隙あらば性的な冗談を言う
・女性への性加害、暴力被害を軽視し、公言する
ミソジニーはミソジニーから生まれる。受け継がれ、連帯し、強化される。
というのがメインプロットだと思うんですが、
それに聖書、グリーンマン、女陰、りんご、アガメムノン(神父の話)、鹿(イーピゲネイア?)
たんぽぽ、など象徴を駆使して
原始から連綿と続く男と女の構造を絶望的に描写したかった感じですかね。
現実レベルの話では、夫の怪我と同じ個所、左手が裂けていて右足が折れているやつは
全員幻覚でいいと思う。
夫の死の衝撃から立ち直っていない状態で、男尊女卑の根強い田舎で
ストーカー被害を受け、ストレスで幻覚を見て管理人を殺してしまったという話が
辛うじて成り立つように思う。
前半のトンネルの雰囲気が繊細で好きです。
窓の外の全裸コントも。
あの全裸おっさんは「イット・フォローズ」由来かと思ったんですけど、
監督さんは「進撃の巨人」の影響を受けたと仰っているらしい。
じゃああの最悪無限出産も進撃のあれですかね。
最悪が一周回って、なんか笑ってしまいました。