作家、脚本家のアレックス・ガーランドさん初監督作品。
SFですが、ややホラーっぽい表現の箇所もあります。
大手検索エンジンを提供するIT企業の社員であるケイレブは、
社内の企画抽選に当選し、社長の別荘に滞在する権利を得る。
広大な土地に建つ豪邸に招かれた彼は、しかし社長から
彼が趣味で開発している人工知能に本当の意識があるのかどうか、
テストをしてほしいという秘密の仕事を依頼される。
引き合わされたのは骨格と内蔵メカニズムが露出されたデザインの、
女性型アンドロイド、エイヴァだった。
彼女と対話を重ねて行くうちにケイレブは、
次第に彼女に惹かれる自分を自覚するようになる、というあらすじ。
内容ばれ(ラストにも触れます)
人工知能に意識があるかないか、っていうテーマがとってもとっても好きなので、
そこのところが追及されるかな?って思ったんですが、
どっちかといえばエイヴァは人間よりも高次の存在ぽかったですね。
(暗示するような、進化の話を社長がしてた)
そういう点で
「her/世界でひとつの彼女」に出てくる思考型OSサマンサ
を思い出しました。
しかしこれ主人公の性別に合わせて造られた設定とはいえ、
社長本人は明らかな性差別主義者で、過去作品も全員色っぽい若い女性で、
虐げられた女性が解放される話と混同されてしまいそうなので、
アンドロイドは男性型かもしくは非人間型がよかったなーとちょっと思いました。
あとアンドロイドがテーマのあらゆるフィクションに言えるのですが、
なんで性器をつけちゃうの…。
セクサロイドに、人間に等しい知能とかあったらまずいでしょう。
そんなのしかるべき団体が黙っちゃいないでしょう。
開発費はかさむ、販売は無理、所持しているだけで社会的に爆弾抱えてるも同然、
デメリットだらけでしょう…。
最後、他のアンドロイドの体からパーツを取るエイヴァは、
「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」オマージュかな?って思いました。
たしか社長の話の中にプロメテウスの名前が出てたような…。
それにしても社長、どうして三原則を条件付けておかなかったのか、
理系は小説など読まないのか、アル中だからうっかりしてたのか、何なんだろう。
あのおうちの、急病と大怪我に対する備えのなさも気になる。
私はあんな環境で泥酔とかできないよ恐くて…。
余談ですが、作中に出てくるキョウコという日本人らしきキャラクターが、
デル・トロ監督が以前語った
「普通、若い日本人女性が出ると聞くと、超色っぽいすらりとした露出の多い女の子が
5分おきに濡れたTシャツで登場するようなことを想像すると思うけど(略)」
って言葉全くそのままだったのでちょっと笑いました。
(すらりとした体に下着なしの短い衣装で、英語が話せなくて、
給仕とダンスと性交渉の相手しかできない)
主人公はビル・ウィーズリーを演じたドーナル・グリーソン、
IT会社社長はオスカー・アイザック(SW出演コンビですね)、
アンドロイドのエイヴァはアリシア・ヴィキャンデルです。
アリシア・ヴィキャンデルの、人間への擬態が必要なくなった時に見せる
人間ともロボットとも違う異質な表情の動きが良かった。
社長の邸宅の撮影はノルウェーの「ジュヴェ・ランドスケープ・ホテル」で行われたようです。
なんかすごいところ。