「指輪物語」の著者J・R・R・トールキンの伝記的映画。
父親が急死し、母親もその後病死したため
12歳で孤児となったトールキンは、
教会の保護を受け名門校に入学する事ができた。
そこで出会った3人の少年たちと、
階級の違いを越えて友情で結ばれるが、
成長した彼等は従軍する事になる…というあらすじ。
トールキンの生涯の出来事、
幼い頃に母の朗読してくれた「ヴォルスンガ・サガ」の
シグルズの竜退治の伝説や、幼少期のラテン語教育、
遊んだ森の記憶、少年の頃に結んだ友情、
初恋の相手への敬愛、戦場で見た悲惨な死、
すべてが彼の著作の元となっているように表現されています。
戦場パートがやや長く、残酷なのでPG12となったようです。
英国的なものが好きなひとにおすすめ。
名門校、紅茶文化、階級社会、衣装。
逆に「オッ、オメェすげぇホモソーシャルりょくだな!オラわくわくすっぞ!」
って部分もあるので(サロンの給仕さんにふざけて求婚するところとか)
そういうの苦手なひとにはすすめません。
あれの負の面が「ライオット・クラブ」なんですよね。
トールキン財団とトールキンの一族は、
この映画化に許可を与えていない旨を表明しておられます。
私はC・S・ルイスとの愛憎の話だと思って見に行ったんですが
彼、登場しませんでしたよ…。
内容ばれ
どう考えてもお母さんは高い教育を受けた裕福な家の人の筈なのに
何故急に困窮するんだろうと思って調べたら、
一族郎党バプテストのなか、突然カトリックに改修したから
援助を打ち切られたんですね…なるほど。
しかし当時は(現在も?)
教会が国の行うべき福祉の代行のようなことをやっていて、
それでトールキン兄弟は路頭に迷わずに済んだ。
負の面も大きい宗教ですが、正の面ももちろんありますね。
C・S・ルイスが異教徒と結婚したとき大層怒って
喧嘩別れの大きな原因になったと聞いていますが、
自分の奥さんも異教徒だったんか…(改宗なさってますけど)。
しかしトールキン先生、生涯で何人のひとを改宗させたんだろう。
事実かどうかは分かりませんが、
言語が専門のトールキン先生、
まず最初に架空の名詞の音の響きがあって、
それにインスピレーションを受けて
物語を構築していく、というのは面白かったです。