2015年の夏に起きた、フランスの高速鉄道内で
自動小銃で武装したイスラム過激派男性を、
旅行中のアメリカ空軍兵士と州兵と大学生の幼馴染3人組が制圧した
タリス銃乱射事件をイーストウッド監督が映画化したもの。
なお、主役3人や乗客などを本人が演じるという
異色の作品になっている。
しょっぱい感想になりますのでご注意。
列車のテロリスト制圧はごく短い時間の出来事だったので、
映画は3人の幼少時代の話と、軍人になる経緯、
それとヨーロッパ周遊の話をたらたらやります。これが結構だるい。
旅先で女子をナンパしたり、撮影禁止の場所でバッシャバシャ写真撮って、
展示物をdisったりとか、
フロントの女性が階段をのぼる時スカートの中が見えたり、
ナイトクラブで美女と踊ったり、いやもう、
どうでもいいオブ・ザ・イヤー受賞ですよ。
結局のところ、敬虔なクリスチャンのシングルマザーに育てられた白人の少年が、
周囲からだめな人間とみられつつも
主よ、私をあなたの平和の道具としてお使い下さいと祈り、
銃と軍への健全な憧れを持ち続け、
愛国心と友情と、神の導きによって虐殺を阻止するという、
過去パートはその筋立ての補足なんですが、
まあこれ他の監督なら20分で済ませると思います。
白人男性のクリスチャンの軍人がヨーロッパで身を挺して大勢の命を救い
イスラム過激派を倒すという内容、最初に予告を見た時
ああ、イーストウッド監督(と年配の男性)がお好きそう…って思いましたけど、
感情移入しすぎて客観性を見失うほど好みのテーマって、
撮らない方が賢明じゃないかしらと思いました。
3人の男性の演技については自然だったなと思うし
あと自動小銃を構えている相手に向かっていくのは、
ものすごい度胸と滅私の精神で、そこは本当に尊敬します。
というか一番すごいのはトイレのドアが開いて、
半裸の男が自動小銃を持っているのを最初に見た男性が、
後退せずに前進したところだと思うんですよね。
確かに狭い空間で決着をつけるのが正解と言えば正解なんですけど、
そんなの咄嗟に計れないし。
恐いものが突然出てきても、白色人種は突進する人が多いのか?
さすがは狩猟民族だぜ…。
あと興奮している人間を気絶させるのって難しいんですね。
銃底であんなに殴ってるのに、あんなにギンギンに抵抗してくるとは。
イスラム過激派のテロリストを、偶然居合わせた
屈強なアメリカの軍人が制圧して終了!力こそパワー!
対話など無意味!女子供の出る幕など当然なし!というのが現実だけど、
私は非現実世界をこれからもずっと愛します。
多様性と対話の重要さを説く物語を見て育つ子らは、
今よりもっと遠くまで行けますように。