映画の豆

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「セルフレス/覚醒した記憶」

2016年09月05日 | SF映画

ターセム・シン監督最新作。
癌で余命半年を宣言された大富豪が、
断絶した娘との関係を修復しようとして失敗し、
焦りを感じていたところ、
ある医学研究所の存在を偶然知り、
そこで人工培養した健康な肉体に、
意識を移植できるという説明を受ける…というあらすじ。

ゆるい構図やマッチしていない色など、
俺の映画では1秒たりとも映さぬ!という、
あの美への偏執みたいなものが薄まって、
逆にこれまでは控えめだった感情描写が前面に出てきて、
その点でちょっとターセム映画じゃないみたいでしたが、
主要登場人物がみんな誰かのことを深く愛している、
優しい切ない系微SFで、こういうの好きです。

マシュー・グッドは頭が小さく手足が長すぎてこわい。
デッサンが狂ってる。

内容ばれ

富豪と娘の愛情と、富豪と親友の愛情、
親友の家族への愛情、
肉体の持ち主である軍人と家族との愛情、
あとマッドサイエンティストの妻への愛情。

老いた最愛の妻に、毎週バタースコッチを届ける美しい男、
中身は老人でマッドサイエンティストでラスボスって
萌えSF設定にも程があると思います。
主人公に対して「彼女を傷つけたのか?」って言ったシーンの
固い声と表情もよかったですね。

富豪と親友の、おじいちゃん同士の友情もかなりかわいかった!
2人とも昔の出来事とか互いの言葉とかすごく記憶してますね。
(ただあのシーン、あんなに念入りに疑って、
警察を呼ぶとまで言う必要はない筈なのですが、
でもまあおじいちゃん友情シーンどうしても入れたい!という気持ちは分かる)
それと生き馬の目を抜く業界で弱者の血を吸って生きてきた2人の、
あの異様な倫理観の高さは何なのだと思う。
あんなにかわいいと、陰でアイドル扱いされてそうよ…。

そういえば関係ないですが、ターセム監督の「落下の王国」には、
もとになった「YO HO HO」というブルガリア映画があって、
粗筋はほぼ同じ、ターセム監督もそれを公言していると最近知って、
その映画を見てみたいなーと思ってるんですが、
ブルガリア映画ってあまり日本に来ないですね…1本も見た事がない気がする。



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