「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

都踊同じかんざし同じ揺れ 中川浩子 「滝」7月号<滝集>

2012-07-05 06:03:40 | 日記
 都をどりは毎年4月1日から30日にかけて祇園甲部歌舞練
場で開催される舞踊公演。祇園甲部は京都で最大の花街で、明
治5年の博覧会の余興として上演されたのが始まりで、左右の
花道から10人ずつ、おそろいの衣装を着けた舞妓さんたちが
桜の小枝を持って踊り出て、華やかな「都をどり」の舞台が始
まる。「同じかんざし同じ揺れ」に、その美しさとお稽古の厳
しさが読み取れる。私は、「大きくなったら何なるの」と聞か
れると「舞妓さん」と答えていた。それは、当時一緒に暮らし
ていた叔母が見ていた雑誌の都をどりの写真を見たからだった。
まだ4歳だった私がその美しに心を奪われたように、作者の観
た感動は省略の効いた句となって、春爛漫の京都まで見えてく
るようですね。(H)