「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

さかさまの空のさかさま水水母 阿部風々子 「滝」7月号<渓流集>

2012-07-01 04:35:06 | 日記
 「さかさまの空」にNHKの朝ドラ<梅ちゃん先生>の♪
わかってるんだ君は靴紐をずっと直すふりしてるけど、本
当は泣いてたんだ♪と始る主題歌を思った。視点を変える
ことで見えてくる物があるよ。うつむいていては見えない
ものが少し顔を上げることで見つかるかもしれないよ。人
に気づかれないように一人で落ち込んでいないで少し顔を
あげてごらん。幸せの一筋の光が見えるかもしれないよと
励ましているような歌である。その空のさかさまだと言う
のだからややこしい。仰ぎ見る空ではなく覗き込む海とい
うことでしょうか。そこには水水母がいる。存分に海をと
りこんで、ふわふわゆらゆら生きるのもいいのでは・・・。
と言っているのだろうか。「さかさまの空」の、人知れず流す
涙を思えば、水母は、隠しようもなく流れる海ほどの涙のよう
にも思えて、身の透くまで泣くのも一案と言っているようで
もある。作者の詠みたい事と遠く離れてしまったような気も
するが、私の心に見えたものとして許してください。(H)