「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

正座してぼうたんの緋を濃くしたる 谷口加代 「滝」7月号<滝集>

2012-07-02 04:56:44 | 日記
 「正座して」と、かしこまる作者。「濃くしたる」の凝視
に、その美しさに立っているのが無礼なような気がして思わ
ず正座している自分に気付いたような、拝礼さえしそうな気
持が込められたかと思う。緋色の牡丹の殊更の美しさと気品
に目を奪われ、心を過ったものがあるとすればと、私の貧し
い連想は、賢人天子と言われた玄宗を狂わせた楊貴妃という
絶世の美女を思うがどうなのだろう。緋牡丹の溜め息の出る
ような端正な姿は、神々しさを伴って、選ばれた言葉の凝縮
となった。(H)