「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

梔子の花や宗家の鼠木戸 及川原作 「滝」7月号<滝集>

2012-07-04 05:23:49 | 日記
梔子は甘い香りのする、透くことを許さないような真っ白
な花だけれど、
口なしの花はや文の褪せるごと 中村草田男
と詠まれているように、直に色褪せたものになってゆく。片
や、どんな芸道を承継しているかは分からないが、宗家とい
うのですから家元のこと。そして、鼠木戸を辞書で引くと 
①戸や門扉の一部を小さなくぐり戸としたもの。②近世、
芝居・見世物などの興行場の、観客の出入り口。無料入場を
防ぐため、狭くしたもの。③民家の台所などで、鼠がはいれ
ないように細かく桟を打った格子戸。と意味が出てきます。
しかし、現在では、①や茶室の躙口のこととして使われてい
るそうなので、茶道の家元かと想像しましたが、どんな芸道
かということはさて置き、美しい口なしの花が、直に色香を
失い萎れてゆくという事と、何代にもわたって受け継がれた
て来た物を対比させた見事な句ですね。(H)