MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『ファミリー デイズ』

2019年06月02日 | BOOKS
『ファミリー デイズ』
著者:瀬尾まいこ
集英社


 2019年本屋大賞受賞作『そして、バトンは渡された』の著者、瀬尾まいこさんの2017年11月発行のエッセイです。

 教職からの離職、結婚まで、結婚・妊娠・出産・育児。
 人生の大きな転機であったであろう数年間を、今までの小説と同じように、優しい、あたたかい、ほんわかした文章で書かれています。

 号泣する旦那さん、元気なお嬢さん、そして不可思議な占い師さんに、面白い校長先生。
 結婚までのエピソードも、育児の悩みも、こうやって残しておけるのは羨ましいことに思えます。
(結婚前のこととか、育児中のことって、うろ覚えになってしまうので……)

 あんまり優しすぎて良い人が多すぎて「ファンタジー」のような小説世界も、著者自身の、世界をとらえる目が穏やかだからだということに気づかされます。
 そして、素敵な人に出会ったときに、その素敵なところをしっかりキャッチするということは、誰にでもできることじゃないということにも。
 「出会う人々に恵まれていた」そう言えるのは、出会う人たちの素敵なところをキャッチする能力があればこそ。

 現実世界は決して幸せなことばかりではないけれど、それでも多くの「素敵なこと」「優しさ」「あたたかさ」を、ひねくれないで受け止められる人間でいたいものです。

 『さんびきのくま』のような、布川愛子さんの表紙イラストも、読み終えた後に見ると「ふふふ」と微笑んでしまうこと間違いなしです。
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