MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『空棺の烏』

2015年09月24日 | BOOKS
『空棺の烏』(クウカンノカラス)
阿部智里 著
文芸春秋


 前回の『黄金の烏』も難読でしたが、今回も「からひつぎのとり」とか読んでしまいそう。
「八咫烏」シリーズの第4弾です。

 『烏は主を選ばない』『黄金の烏』にも登場の雪哉がこの本のメインキャラクターです。
 金烏を守る近衛になるための優秀な人材(烏材?)を育成するための訓練施設「勁草院」を舞台に、思春期男子の成長物語としても楽しめますが、ますます奥行きが広がる物語を彩り動かすために必要なキャラクターが揃えられていく課程を見るようで、わくわくします。

 雪哉の優秀すぎるがゆえの孤独は相変わらずですが、それぞれ悩みを抱えた少年たちとの生活が少しずつお互いに影響を与えていきます。

 巻末には次の巻・「八咫烏」シリーズの第5弾『玉依姫』の予告もあります。
 『玉依姫』っていうと、古事記の「豊玉毘売命」の妹の「玉依毘売命」ですよね。
 もちろん、「八咫烏」ですから「神武天皇の東征の熊野行に出てきたっけ?」とは思っていたのですが、今回久しぶりに古事記を読んでみて「尾のある人」と「光る泉」だとか、気になる言葉があちこちに。
 著者がどう物語を紡いでいくのか、次巻以降も本当に楽しみです。

<関連サイト>
勁草院で学ぶ若人たちの群像劇 - 『空棺の烏』 (阿部智里 著)本の話WEB
 著者インタビュー(聞き手「オール讀物」編集部 )

<追記 2016.05.31.>
 「八咫烏」シリーズの最新刊、第5弾『玉依姫』の発売日は、2016年7月21日の予定だそうです。
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