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「星へ行く船」シリーズ

2014年09月12日 | BOOKS
 自分にとって、とても大切なシリーズなので、ブログで紹介していないことに今まで気が付きませんでした。

「星へ行く船」シリーズ
 著者:新井素子
 集英社文庫コバルトシリーズ(のちの 集英社コバルト文庫)
 出版:集英社 1981年〜     2016年刊行開始の新装版(完全版)については別記事。"決定版" 星へ行く船シリーズ - MOONIE'S TEA ROOM



 私が小学生の頃、初めて夢中になった文庫本のシリーズです。
 小学生で読み、中学時代も高校時代も、一人暮らしの大学時代も、結婚して大人になってからも何度も読み返している「座右の書」ともいえるシリーズで、3回の出産の入院にもこのシリーズを持っていってました。
 ただ、今では出版されていないので、新しく「読みたい」と思った方は、図書館で読むか、古本で買うしかない現状です。
(※2016年秋、修正加筆+書き下ろし短編収録で本編の復刊が開始されました!詳しくは下の方に書いてます。<2016.09.16.追記>)


 物語は、宇宙に家出してしまった女の子が様々な出会いを通して成長していくというストーリー。
普通に地球外の惑星に住むことができるようになっている未来という時代設定で、主な舞台は火星です。(「中学の修学旅行の行き先が月だった」なんていう話も出てきます)
 とんでもない事件に巻き込まれながら成長していく主人公と、それを見守る年上の男性の恋物語でもあり、人間の善と悪を考えさせられる物語でもあります。
 主人公である「あゆみちゃん」のまっすぐで一生懸命なところに憧れ、「太一郎さん」の優しさと格好良さに惚れ、「レイディ」や「所長」などの仲間たちの個性豊かなキャラクターに惹かれ、ついつい何度も手に取ってしまうシリーズなのです。

 本編5冊の表紙イラストは、なんと竹宮惠子先生。
今は京都精華大学の学長さんですね!(学長任期は「2014年4月1日~2018年3月31日」だそうです)当時はまだ「恵子」の字だったと記憶してます。
 挿絵は、イラストレーターの長尾治さん。コバルト文庫で赤川次郎さんの「吸血鬼」シリーズの絵も描かれていた方です。可愛すぎないイラストが、挿絵として、私の想像の邪魔をしないでくれるので好きでした。

 第1作の『星へ行く船』は、1980年に学研の『高一コース』で連載されていたということで、中高生にとても人気があったそうです。
 実を言うと私の持っている本編5冊は、当時高校生だった従姉が田舎に帰省しているときに読んで置いていったもの。(「家のほうで買い直すからあげるよ」と言って私の姉にくれたのを、さらに私がもらい受けたのです
 たしか、私は小学校の高学年。シリーズ本編の最終巻『星から来た船』が出版された年だと記憶しています。
 天と小口の日焼けと、「定価260円」(消費税なし!)に時代を感じます。



 今も変わらず大好きなシリーズですが、読むたびに時代が大きく変わってきたことを感じます。
 登場人物が年齢以上にしっかりし過ぎていると感じるのは、私が年月を経ても成長していないからというだけではないはず。20代の男性がこんなに「一人前」なんて、時代物のようです。
 身長の設定も、若者の平均身長がぐーんと伸びてしまった今、「低い!」と驚いてしまいます。小学生のころは違和感なく読んだんだけど、自分の身長が160センチを超えた時に「あれ?」と思ったのを覚えています。
 なによりも、<昭和すぎる未来>があちこちに。
 スマートフォンも携帯電話もない、パソコンもインターネットも一般家庭には普及していない、GPSの位置情報なんて想像もできなかった昭和<1980年代>からみた未来。このシリーズの中では、グローバル化や男女の働き方や結婚のあり方も、なんとも<昭和>なのです。
 つくづく「リアルタイムで読むことができて良かった」と思う作品です。その後の時代の流れの速さと言ったら……。
 なかなか恋が進展しない&ラブシーンがほとんどないのも、きっと今だとまだるっこしいですよね。(でも、いまでも太一郎さんの「莫迦」にときめいちゃったりするのよね

 本編5冊の他に、番外編があるのですが、『星から来た船』(全3巻)は太一郎さんの過去のお話で、「うわー、好きな人の過去の恋愛なんて知りたくなーい!!」というタイプの人にはおススメしません。
 「αだより」は、たしか雑誌「Cobalt」に掲載された後、残念なことに別シリーズの文庫本に収録されてます。これは、本編の続編、あゆみちゃんと太一郎さんの「近況」という感じです。これが、ちゃーんと「星へ行く船」シリーズの短編集として出てくれることを祈っていたんですけれど、もう20年も経っちゃってるのですよね。



「星へ行く船」シリーズ リスト
 すべて集英社文庫コバルトシリーズ(コバルト文庫)
<本編>
1.『星へ行く船』(1981年3月)
2.『通りすがりのレイディ』(1982年1月)
3.『カレンダー・ガール』(1983年1月)
4.『逆恨みのネメシス』(1986年9月)
5.『そして、星へ行く船』(1987年5月)

<番外編>
 『星から来た船』上(1992年4月)
 『星から来た船』中(1992年5月)
 『星から来た船』下(1992年6月)
  短編「αだより」 <「ブラックキャット」シリーズ『キャスリング』後編(1994年12月)に収録>


■完全版(新装版)刊行という情報について
新井素子研究会 MOTOKEN
新井素子さんの『星へ行く船』シリーズが復刊、出版芸術社から夏ごろより全五巻で刊行、書き下ろしもあり - 新井素子さん最新情報 by 素研(2013-02-08)
 素研(新井素子研究会)のホームページによると、「『星へ行く船』完全版が出版芸術社から刊行予定(星へ行く船シリーズ全話+書き下ろし短編/全5巻)」だそう。今のところ、時期は未定・書下ろし短編待ちのようですが、うーむ。これ、単行本で出るんでしょうか?
 今持っている文庫をとっても愛している私としては、「αだより」と書下ろし短編をまとめて1冊にして、コバルト文庫から出してもらえたら、一番うれしいんだけどなぁ。愛蔵版だとか単行本だと「なんだか違う」と感じてしまうのはワガママかなぁ。
 ただ集英社さんも、もう出版していない20年以上も前に完結しているシリーズの短編を出してはくださらないだろうし。
 これをどう再編集して5冊にするのかも、気になります。

<追記 2016.08.24.>
星へ行く船シリーズ 全5巻 発売決定!(2016.07.29.) - 出版芸術社
出版芸術社の『星へ行く船』シリーズ完全版、ついに発売日決定!(2016.07.29.) - 新井素子研究会 MOTOKEN
 いよいよ9月12日に発売が決まったんですね。(1・2巻同時発売)
 あぁ、でもまだ決心できない……。表紙を見て、手に取ってから?でも、書き下ろし短編は気になる!!
『星へ行く船シリーズ1 星へ行く船』新井素子・出版芸術社
『星へ行く船シリーズ2 通りすがりのレイディ』新井素子・出版芸術社
 完全版「星へ行く船」の表紙イラストは大槻香奈さんだそうです。
 思わず惹かれてしまう、そんなイラストですね。この表紙を見て、ますます購入する方向へ傾きつつあります。
 うーん、置く場所考えないと……。

<追記 2016.09.12.>
 『星へ行く船』と『通りすがりのレイディ』の発売日、少しだけ延期されたんでしょうか。
 さっき出版社のページを見たら、「出版年月日 2016/09/16」になってました。
 まぁ、出版年月日には既に書店に並んでいることも多いですけれど。
 わが家からは書店が遠いので、行くなら16日以降かな?

<追記 2016.09.16.>
 新装版「星へ行く船シリーズ」、第1巻と第2巻を購入しました&読みました。
"決定版" 星へ行く船シリーズ - MOONIE'S TEA ROOM
 感想というほどでもないですが、記事にしてます。
 

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