MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『理系の子』

2012年09月20日 | BOOKS
 『理系の子  高校生科学オリンピックの青春』
  ジュディ・ダットン・著 横山 啓明・訳 文藝春秋 1,785円(本体1,700円)


 まず……、この本は、もっと手に取りやすい表紙で値段でタイトルで、中学生や高校生に読んでほしい!!
 「ライトノベル風の表紙とタイトルで文庫にならないかなぁ」と、真剣に考えてしまいます。
 実話・ノンフィクションなのに、ラノベや、YA(ヤングアダルト)文学に負けないぐらい面白いです。

 もちろん、少年少女だけでなく全ての年代の子どもを育てる大人にも……その家庭の子どもが全く「理系」とは縁のない子どもであっても読んで楽しめると思います。

 そう、たとえば『高校生クイズ』や映画『サマーウォーズ』を見るような感覚が近いかな。
 文系の私の場合は、理系への憧れがますます増大しちゃう本です。



 原題は『Science Fair Season』。
 アメリカで開催されている「国際学生科学フェア」の出場者への取材を元にした本なのですが、日本の自由研究コンテストとは、規模もレベルも違います。特許を取るような研究や、スポンサー企業がつくような研究、優秀な研究には大学への奨学金が出ることも当たり前。それだけでも「すごーい!」と思うところですが……、この本には「頭の良さ」だけでない理系高校生たちの魅力が満載なんです。

 夢中になれることがある青春。
 苦しんでいる人を助けるヒラメキ。
 支え合う家族。
 過去の呪縛から解き放ってくれる友情・愛情。
 人生を変える出会い。
 特許をとって、会社を作って、地球環境を守ったり、恋もする、理系高校生。

 どの子もちょっと変わっているかもしれない、でも本当にワクワクさせてくれる輝きを持っている子たちばかりです。


 巻末に載っている日本人出場者、田中里桜さんの特別寄稿も必読です。
 ともすれば「日本の教育制度じゃ無理でしょう」と言いたくなるところを、彼女の存在が「日本人だってスゴイ!」と思わせてくれます。


 親として、大人として考えさせられたのは、「周囲にサポートしてくれる大人がいたこと」と同時に「周囲に足を引っ張る大人がいなかったこと」が彼らの研究の大きなプラス要素であったということ。
 自分が親として、どこまで自分の子どもをサポートできるかは分からないけれど、せめて足は引っ張らないようにしなくっちゃいけませんね。

 
コメント
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