行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

三日(さんじつ)相見わざれば 旧時の看を作す(なす)こと莫かれ( なかれ)

2010年04月13日 | 禅の心
「三日、その人に会わなかったら、その間に進歩をしているかもしれないので、昔のままに評価してはならない。」
以前にも述べたと思いますが、福澤諭吉が徳島の若殿様に会いに行った時、若殿様の行儀が悪くて諭吉は気分を害した事がありました。しかし、そんな若殿様でも、年齢とともに立派になり、明治維新で活躍したということが福沢諭吉の著書である福翁百話に残っています。
結婚相手を探したり、会社の新入社員の採用をする時などに、結婚相手や志願者についての情報を、その人の昔の知り合いからあくまでも参考として得るのは悪い事ではないのかもしれませんが、やはりその人の現在の姿を見る事が大切だと思います。

人は常に進歩したりあるいは逆に後退したりしているものです。特にこの事は教育関係者は心して行かなければならないことだと思います。

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愚かさを知るは賢く

2010年04月09日 | 禅の心
愚かさを 知るは賢く
賢しと 思ふは我の 愚かなれ
(法句経63)

ワイドショーや週刊誌などは、怒り、批判、叩きで満ち溢れています。私自身は、他人が攻撃されている不幸な姿を見て楽しむようなことはしたくないので、なるべくワイドショーや週刊誌は見ないようにしているのですが、ついつい目に入ってしまう事もあります。
私は、自分はまともで、他人がおかしいと思わないように気をつけなければならないと思っています。
私は時々「自分は他人を批判するに値するだけの事をいつもやっているのだろうかと」自問してみます。
芸能人などの失言に対して、世間は厳しい非難の声を浴びせますが、失言をしているのは特定の人ばかりではありません。インターネットの掲示板などをみても、汚い言葉で溢れかえっているのをみることがあります。
建設的に意見を述べる事は大切だと思いますが、叩き、愚痴、悪口などマイナスの感情は結局は自分に跳ね返って来る事を心得ておかなければならないと思います。
他人の非を挙げて責めるのではなく、自分自身の愚かさに気付かせていただくことが大切だと思っています。
コメント (2)
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動静にもとらわれず

2010年04月06日 | 禅の心
寂を喜み(このみ)喧を厭う者は 往々にして人を避け 以て静を求む。
意、人無きに在れば 便ち我相を成す。
心、静に着せば 便ち是れ 同根なるを知らず。
如何ぞ、人我一視、動静 両つ(ふたつ)ながら 忘るるの境界に到り得んや。
(菜根譚より)

菜根譚の著者、洪自誠は、静寂を求め、人を避けて暮らすのは、わがままだというのです。
何だかんだと言っても、人間は社会的な動物です。一人では生きていくことはできません。
現代、街に出れば、自動車の騒音をはじめとして、店に鳴り響くBGMや有線放送の音を騒がしく思う人は多いと思います。あるいは、年末年始に、親戚の子供たちが集まってきて騒ぐのをうっとうしく思うこともありましょう。
しかし、人間社会に生きている限りは、それらはある程度仕方のないことだと割り切ることも必要です。

静かさに執着し、とらわれていくのも大きな迷いなのです。

鎌倉時代の宗峰妙超(大灯国師)は、騒がしい京都の四条大橋の下で修行しました。
その時のうたが、

坐禅せば、四条五条の橋の上
 行き来の人をそのままに見て

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天の気持ち

2010年04月02日 | 禅の心
菜根譚から
天は一人を賢にして、以って衆人の愚を誨(おし)えんとす。而るに世は反りて長ずる所を逞しくして、以って人の短を形す(あらはす)。
天は一人を富ましめて、以って衆人の困(くるしみ)を済はんとす。
而るに世は反りて有する所を挟みて(さしはさみて)以って人の貧を凌る(あなどる)真に天の戮民(りくみん)なるかな。
まさに、菜根譚の著者、洪自誠の現代人へのメッセージであります。
他人を教え導くために、天は人に才能を授けているのに、才能を授かった人は、その才能を鼻にかけて他人を見下して威張っている。
貧しい人を救うために、人に富を与えているのに、富を与えられた人は、自分だけ豪華な生活をして、貧しい人たちを見下している。
そのような人は死刑に値するとまで、洪自誠は、いつになく激しい論調で語っています。
才能があっても、お金があっても、人徳のない人は、かえって危険です。現代、才能や収入だけで人の勝ち負けを決めてしまう世の中に警鐘を鳴らしていると言っていいかもしれません。

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