行雲流水

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心頭を滅却すれば火も自ずから涼し

2013年08月20日 | 禅の心
『碧巌録』より

夏日題悟空上人院詩  杜荀鶴

三伏閉門披一衲
兼無松竹蔭房廊
安禅不必須山水
滅却心頭火亦涼


夏日(かじつ)悟空上人(ごくうしょうにん)の院に題するの詩  
 杜(と)荀鶴(じゅんかく)

三伏(さんぷく)門を閉ざして一衲(いちのう)を披(き)る
兼ねて松竹の房廊(ぼうろう)を蔭にする無し
安禅(あんぜん)必ずしも山水を須(もち)いず
心頭(しんとう)を滅却(めっきゃく)すれば火も亦(また)涼し





夏の暑いまっさかりに、悟空上人という方は相変わらず一枚の破れ衣をキチンと身に着けて坐禅をしておられます。しかも炎熱を避ける一株の松も一本の竹もない、まったくの炎天下と同様です。この方を見ていると、坐禅をするのに静かな山中か水辺に居を求める必要はなさそうです。上人のように心頭を滅却し寒熱を超越された方は、暑さに心を 煩 ( わずら ) わされることもなく、炎熱もまた楽しといった様子です



○甲斐国(山梨県)の快川という坊さんが、織田信長の子供の織田信忠に攻め滅ぼされる時に、火の中でこの「心頭を滅却すれば火も自ずから涼し」という言葉を言って死んでいったそうな。



○野球部の監督が偉そうに、「心頭を滅却せい!。涼しゅうなるんじゃ」と言ったが、暑いもんは暑いんじゃ。

○快川のように修行のできた坊さんでも暑いもんは暑い。

○ゴルフに夢中になっている人は暑さを忘れておるし、スキーに夢中になっておる人は寒さを忘れておる。

○楽しいと思えば暑さや寒さを忘れるんじゃ。

○しかし、暑いもんは暑いし寒いもんは寒い。

○暑いときには「暑い」と言えばいいし、寒いときには「寒い」と言えばいい。

○苦しい時には苦しいと言えばいい。

人間なんじゃから。
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