行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

魔境に惑わされない

2017年10月20日 | 禅の心
○一休さんが琵琶湖で船に乗っておると、同乗していた山伏が、

「ワシは神通力をもっておるんじゃ。今から奇跡を起こして進ぜよう」

と自慢げに言うておった。

○山伏は船の舳先に不動明王を出したんじゃ。

○船の乗客はみんな驚いて拍手喝采を送ったんじゃと。

○それを見ておった一休さん、不動明王の前に歩み寄ると、

こともあろうか一物を引き出して、不動明王に小便をかけてしもうた。

○不動明王は消えてしもうた。

○一休さんいわく、これはそなたの迷いのなせるわざ、魔物は消しておかにゃあ。

○一休さんの弟子となった蜷川新右衛門の臨終の折に、お迎えの仏様が現れたんじゃと。

○新右衛門は最後の力を振り絞ってお迎えの仏様に弓矢を放ったんじゃ。

○仏様はすっと消えて新右衛門は息を引き取ったんじゃ。

○一休さんの弟子らしい最後じゃった。

○江戸時代の禅僧、鈴木正三にも同じような話があるが、奇跡は人間の迷いが作り出すものなのじゃ。

○魔境に惑わされてはならぬ。


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