東北の瓦礫は受け入れたくないという市町村はまだまだ多いようだ。
「放射能が検出されなくても、遠く離れた被災地から大災害の証拠とも言うべき瓦礫が運ばれてくることに、できれば遠ざけたい」というのが現実にあり、
放射能と瓦礫処理が混然としている。
日本は広島と長崎が原爆投下によって甚大な被害を被ったので、放射能に対する過敏な反応は致しかたないが、
長崎には知合いも多いし、原爆の威力も知っているが、長崎が危険な街のままで誰も寄りつかなかったとは一度たりとも聞いた事はない。
昨日(20日)には、世界最大級のクルーズ客船「クイーン・メリー2(QM2)」号が長崎観光に訪れている素晴らしい街だ。
そこで、今問題となっている低線量の被爆程度についての知識がなかったので、
放射能の危険性について長い経験と研究を継続してきた長崎大学の公表資料から調べてみた。
長崎大学は東京電力の寄付口座申し出を拒否した大学である。
低線量被爆危険性の度合いについて、長崎大学の「国際被爆者医療センターの福島原発に関するQ&A」では、
100ミリシーベルト以下の放射量についての危険性は殆ど見られないと意見(専門家の意見では一致していないと但し書きはあるが)があった。
また、同大学の「原爆後障害医療研究施設の放射能Q&A」では、
「地球上に住んでいる以上、だれでも年間2.4ミリシーベルトの放射線を被ばくします。
といっても、だれもこの自然放射線で害を受けてはいません。
500ミリシーベルトを超えると放射線の影響があり、発がんの心配が出てきます。
ちなみに、科学技術庁が決めた年間許容量は50ミリシーベルトです。これは、放射線の害から守るために、法的に定められた値です。」
一方、このQ&Aには、温泉と放射能との効用について、このようにも記述している。
「ラドン温泉をご存じでしょうか。鳥取県の三朝温泉、兵庫の有馬温泉などが有名です。
これらの温泉には放射性物質が含まれていますが、放射線が出ているから体に悪いかと言うと、そんなことはありません。
逆に有馬温泉などは病気を治す湯治で有名です。
実際、三朝温泉の住人とその他の地域の住人とでがんの発生率を比べた研究者がいますが、
その結果は、三朝温泉の住人の方ががんになる人が少なかったということでした。
このことから、「少ない量の放射線は体にいいんだ」と早急に決めつけることはできませんが、
少なくともある程度の量の放射線ならば、体に悪くない、ということが分かっていただけるでしょう。」
「遠く離れた被災地から大災害の証拠とも言うべき瓦礫が運ばれてくることに、できれば遠ざけたいという人がいる」という現実もあって、
放射能がもたらした風評被害はとてつもなく大きい。
そこで、福島原発の低線量放射能に関して、日頃から注視している論説家のブログ投稿意見を若干読んでみた(以下抜粋)。
●「低線量被爆は調べてみると健康に良かった?・・・大西 宏のマーケティング・エッセンス」
「年間100ミリシーベルト以下の低線量被爆については、広島、長崎の被爆者では、むしろ一般よりも発ガン率も低いという結果が得られているのですが、
統計的な誤差を加味すると、必ずしもそうだと断定できません。そのことが、低線量被爆の影響について、さまざまな議論を呼び起こし、混乱が生じています。
それらの議論はすべてデータをどう見るかの仮説にもとづくものであり、いわば抽象的な世界での議論で、なにかの根拠があるわけではありません。」
「不幸なことに、原子力安全委員会、また電力ムラへの不信感や批判が重なってしまい、
その影響もあって、どちらかというと、たとえ低線量被曝でも危ないとする一方の考えが報道の基調となってしまいました。
とくにNHKの偏りが気になるところです。」
「こういった論争に一石を投じそうなコラムが、ウォール・ストリート・ジャーナルにでています。
1980年代初め、台湾の鉄鋼会社が誤って放射性元素コバルト60を鉄筋に混入させ、それを使って1700棟のアパートがつくられてしまったのです。
それが発覚したのが15年後。住民は、その間、最大で自然環境の30倍の放射線、福島の避難区域の10倍もの放射線を浴び続けて暮らしていたのですが、
慌てた当局が当時と過去のアパートの住人について健康調査健康調査を実施すると、意外な結果だったのです。
一般的なガンの発症率からいうと、住人1万人に対しガン患者は160人と推定されていたのですが、
しかし、実際には、ガンの症例はそれを上回るどころか、わずか5件しかなかったのです。
この研究結果は、2004年の米医学誌ジャーナル・オブ・アメリカン・フィジシャン・アンド・サージョンズに発表されているそうです。
この台湾の事例だけではにわかに信じがたいのかもしれませんが、広島・長崎のケースとまったく同じなのです。」
「それが真実だとするとこういえます。低線量被曝は健康にいいとまでは断定できなくとも、少なくとも有害とはいえない」
「黒砂ビーチで保養地として人気の高いブラジルのガラパリは年間で平均5ミリシーベルト、最高値では35ミリシーベルトですから、日本ならパニックが起こりそうです。
またこういった世界の高線量地域の人たちを対象とした疫学研究でも、まったく健康への悪影響は認められなかったといいます。」
「低線量被爆でも健康被害があると考える人のなかには、健康に害があるという証拠を探し、確信を高めようとします。
おそらくいくらこういった事例がでてきても、広島・長崎のデータは原爆を投下した占領軍がデータを捏造していると主張するように、おそらく信用しないのでしょう。」
「こういった混乱も福島第一原発事故後遺症として、時の流れを待つしかないのかもしれません。
しかし、うまくこの後遺症から抜けださないと、そのために除染などにも何兆円もの膨大な費用をかけ、
事の次第によってはもっと多くの費用負担になってしまいかねません。それが本当に必要だという根拠もないのにです。
しかもそれでも放射線被爆の恐怖は消え去らないのです。」
●「チェルノブイリ原発事故で最大の被害をもたらしたのは放射能ではない。・・・池田信夫(Newsweek誌 エコノMIX異論正論)」
「ロシア政府の報告書は次のように結論している。
「事故に続く25年の状況分析によって、放射能という要因と比較した場合、精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、
経済活動の制限、事故に関連した物質的損失といったチェルノブイリ事故による社会的・経済的影響のほうが
はるかに大きな被害をもたらしていることが明らかになった。」
福島で起こっていることも同じである。放射線量はチェルノブイリよりはるかに低く、年間20ミリシーベルトを上回る地域はもうないのに、
政府は住民の反発を恐れて避難民を帰宅させない。「除染してから帰宅させろ」という要望に応じる財源も要員もなく、
除去した土を移動させる場所もないため、11万人以上が10ヶ月近く不安な避難生活を強いられている。
ロシア政府は「チェルノブイリ事故の主な教訓の一つは、社会的・精神的要因の重要性が十分に評価されなかったことである」と指摘し、
「この教訓は福島第一発電所の事故にとっても今日的なものだ」と述べている。事故対策の最終目的は放射能を減らすことではなく、
人々の被害を減らすことである。微量の放射線にこだわって、これ以上彼らを隔離したままにすることは人道上ゆるされない。」
長崎大学原爆後障害医療研究施設の放射能Q&Aの中に、下記コメントもあった。
「大切なことは寺田寅彦の言葉にもあるように「ものを怖がらな過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることがむずかしい」ということです。
「正当に怖がる」ために、まず正確な知識を得て、どのように対処すれば安全なのかを知ることが重要だと思います。」
国際基準は50mシーベルトに安全基準を設定しているが、瓦礫処分の当初基準値は確か20mシーベルトだったと記憶している。
それがいつの間にか一般的に日本国内で受ける平均値1mシーベルト以下の瓦礫受け入れをも拒否されている現実は、放射能をうつると冗談を言った大臣や
放射能安全基準の敷居値を何回も変更したこと等が風評被害を助長しているように思えるのだが・・・・。
総理の「国は一歩も二歩も前に出て行かなければならない。日本人の国民性が試されている」というセリフ、言われなくとも大多数の国民は瓦礫処理に賛成である。
ただ、瓦礫受入判断を国民性に求める前に、国の瓦礫処理に関する安全対処基準が明確に公表されていないことが住民の不安を一掃出来ずにいる主因だと思う。
「放射能が検出されなくても、遠く離れた被災地から大災害の証拠とも言うべき瓦礫が運ばれてくることに、できれば遠ざけたい」というのが現実にあり、
放射能と瓦礫処理が混然としている。
日本は広島と長崎が原爆投下によって甚大な被害を被ったので、放射能に対する過敏な反応は致しかたないが、
長崎には知合いも多いし、原爆の威力も知っているが、長崎が危険な街のままで誰も寄りつかなかったとは一度たりとも聞いた事はない。
昨日(20日)には、世界最大級のクルーズ客船「クイーン・メリー2(QM2)」号が長崎観光に訪れている素晴らしい街だ。
そこで、今問題となっている低線量の被爆程度についての知識がなかったので、
放射能の危険性について長い経験と研究を継続してきた長崎大学の公表資料から調べてみた。
長崎大学は東京電力の寄付口座申し出を拒否した大学である。
低線量被爆危険性の度合いについて、長崎大学の「国際被爆者医療センターの福島原発に関するQ&A」では、
100ミリシーベルト以下の放射量についての危険性は殆ど見られないと意見(専門家の意見では一致していないと但し書きはあるが)があった。
また、同大学の「原爆後障害医療研究施設の放射能Q&A」では、
「地球上に住んでいる以上、だれでも年間2.4ミリシーベルトの放射線を被ばくします。
といっても、だれもこの自然放射線で害を受けてはいません。
500ミリシーベルトを超えると放射線の影響があり、発がんの心配が出てきます。
ちなみに、科学技術庁が決めた年間許容量は50ミリシーベルトです。これは、放射線の害から守るために、法的に定められた値です。」
一方、このQ&Aには、温泉と放射能との効用について、このようにも記述している。
「ラドン温泉をご存じでしょうか。鳥取県の三朝温泉、兵庫の有馬温泉などが有名です。
これらの温泉には放射性物質が含まれていますが、放射線が出ているから体に悪いかと言うと、そんなことはありません。
逆に有馬温泉などは病気を治す湯治で有名です。
実際、三朝温泉の住人とその他の地域の住人とでがんの発生率を比べた研究者がいますが、
その結果は、三朝温泉の住人の方ががんになる人が少なかったということでした。
このことから、「少ない量の放射線は体にいいんだ」と早急に決めつけることはできませんが、
少なくともある程度の量の放射線ならば、体に悪くない、ということが分かっていただけるでしょう。」
「遠く離れた被災地から大災害の証拠とも言うべき瓦礫が運ばれてくることに、できれば遠ざけたいという人がいる」という現実もあって、
放射能がもたらした風評被害はとてつもなく大きい。
そこで、福島原発の低線量放射能に関して、日頃から注視している論説家のブログ投稿意見を若干読んでみた(以下抜粋)。
●「低線量被爆は調べてみると健康に良かった?・・・大西 宏のマーケティング・エッセンス」
「年間100ミリシーベルト以下の低線量被爆については、広島、長崎の被爆者では、むしろ一般よりも発ガン率も低いという結果が得られているのですが、
統計的な誤差を加味すると、必ずしもそうだと断定できません。そのことが、低線量被爆の影響について、さまざまな議論を呼び起こし、混乱が生じています。
それらの議論はすべてデータをどう見るかの仮説にもとづくものであり、いわば抽象的な世界での議論で、なにかの根拠があるわけではありません。」
「不幸なことに、原子力安全委員会、また電力ムラへの不信感や批判が重なってしまい、
その影響もあって、どちらかというと、たとえ低線量被曝でも危ないとする一方の考えが報道の基調となってしまいました。
とくにNHKの偏りが気になるところです。」
「こういった論争に一石を投じそうなコラムが、ウォール・ストリート・ジャーナルにでています。
1980年代初め、台湾の鉄鋼会社が誤って放射性元素コバルト60を鉄筋に混入させ、それを使って1700棟のアパートがつくられてしまったのです。
それが発覚したのが15年後。住民は、その間、最大で自然環境の30倍の放射線、福島の避難区域の10倍もの放射線を浴び続けて暮らしていたのですが、
慌てた当局が当時と過去のアパートの住人について健康調査健康調査を実施すると、意外な結果だったのです。
一般的なガンの発症率からいうと、住人1万人に対しガン患者は160人と推定されていたのですが、
しかし、実際には、ガンの症例はそれを上回るどころか、わずか5件しかなかったのです。
この研究結果は、2004年の米医学誌ジャーナル・オブ・アメリカン・フィジシャン・アンド・サージョンズに発表されているそうです。
この台湾の事例だけではにわかに信じがたいのかもしれませんが、広島・長崎のケースとまったく同じなのです。」
「それが真実だとするとこういえます。低線量被曝は健康にいいとまでは断定できなくとも、少なくとも有害とはいえない」
「黒砂ビーチで保養地として人気の高いブラジルのガラパリは年間で平均5ミリシーベルト、最高値では35ミリシーベルトですから、日本ならパニックが起こりそうです。
またこういった世界の高線量地域の人たちを対象とした疫学研究でも、まったく健康への悪影響は認められなかったといいます。」
「低線量被爆でも健康被害があると考える人のなかには、健康に害があるという証拠を探し、確信を高めようとします。
おそらくいくらこういった事例がでてきても、広島・長崎のデータは原爆を投下した占領軍がデータを捏造していると主張するように、おそらく信用しないのでしょう。」
「こういった混乱も福島第一原発事故後遺症として、時の流れを待つしかないのかもしれません。
しかし、うまくこの後遺症から抜けださないと、そのために除染などにも何兆円もの膨大な費用をかけ、
事の次第によってはもっと多くの費用負担になってしまいかねません。それが本当に必要だという根拠もないのにです。
しかもそれでも放射線被爆の恐怖は消え去らないのです。」
●「チェルノブイリ原発事故で最大の被害をもたらしたのは放射能ではない。・・・池田信夫(Newsweek誌 エコノMIX異論正論)」
「ロシア政府の報告書は次のように結論している。
「事故に続く25年の状況分析によって、放射能という要因と比較した場合、精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、
経済活動の制限、事故に関連した物質的損失といったチェルノブイリ事故による社会的・経済的影響のほうが
はるかに大きな被害をもたらしていることが明らかになった。」
福島で起こっていることも同じである。放射線量はチェルノブイリよりはるかに低く、年間20ミリシーベルトを上回る地域はもうないのに、
政府は住民の反発を恐れて避難民を帰宅させない。「除染してから帰宅させろ」という要望に応じる財源も要員もなく、
除去した土を移動させる場所もないため、11万人以上が10ヶ月近く不安な避難生活を強いられている。
ロシア政府は「チェルノブイリ事故の主な教訓の一つは、社会的・精神的要因の重要性が十分に評価されなかったことである」と指摘し、
「この教訓は福島第一発電所の事故にとっても今日的なものだ」と述べている。事故対策の最終目的は放射能を減らすことではなく、
人々の被害を減らすことである。微量の放射線にこだわって、これ以上彼らを隔離したままにすることは人道上ゆるされない。」
長崎大学原爆後障害医療研究施設の放射能Q&Aの中に、下記コメントもあった。
「大切なことは寺田寅彦の言葉にもあるように「ものを怖がらな過ぎたり、怖がり過ぎたりするのはやさしいが、正当に怖がることがむずかしい」ということです。
「正当に怖がる」ために、まず正確な知識を得て、どのように対処すれば安全なのかを知ることが重要だと思います。」
国際基準は50mシーベルトに安全基準を設定しているが、瓦礫処分の当初基準値は確か20mシーベルトだったと記憶している。
それがいつの間にか一般的に日本国内で受ける平均値1mシーベルト以下の瓦礫受け入れをも拒否されている現実は、放射能をうつると冗談を言った大臣や
放射能安全基準の敷居値を何回も変更したこと等が風評被害を助長しているように思えるのだが・・・・。
総理の「国は一歩も二歩も前に出て行かなければならない。日本人の国民性が試されている」というセリフ、言われなくとも大多数の国民は瓦礫処理に賛成である。
ただ、瓦礫受入判断を国民性に求める前に、国の瓦礫処理に関する安全対処基準が明確に公表されていないことが住民の不安を一掃出来ずにいる主因だと思う。