しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

松根油の大増産

2020年09月02日 | 昭和16年~19年
「新修倉敷市史 第6巻」 倉敷市 平成16年発行


松根油の大増産

松根油は「肥松」と呼ばれる老松の根が原料。
倉敷市では町内会単位に割り当て、市街地周辺の向山・足高山・酒津山などで掘ったが、
割り当て事務の途中に次の割り当てが届く性急な増産要求だった。
おまけに老松は間もなく底をついたが、増産要求は容赦なかった。

翼賛壮年団・警防団・在郷軍人会の会員らを動員し松の根を掘っている。
農家・疎開者・失業者・国民学校高等科の生徒らが動員された。
山の中から松の根を掘り出し、硬い根を割り砕いて乾留する重労働だった。
戦争末期には予科練習生も松根掘に従事した。
それでも生産はなかなか増えなかった。

さらに岡山県は昭和20年4月から、航空機の潤滑油の原料になるヒマ(トウゴマ)の緊急増産に乗り出し、
農家は一戸平均40本以上を栽培するよう割り当てた。
街路樹帯や墓地にまで植えざるを得なかった。



繊維資源

昭和19年夏から野生植物を繊維資源として採集した。
採集したのはクワやフジやアベマキの樹皮・野生チョマ(カラムシ)や竹の皮・ススキの穂・イ草の屑などだが、
翌20年春までには、クワやカラムシなどは目標以下しか集まっていない反面、
フジの樹皮は120%、ススキの穂は6倍に達した。
ススキの穂は航空用胴衣に入れるため特に学童が励んだという。




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