PLANETÁRIUM PRAHA Carl Zeiss Jena Universal 23/2 (UPP 23/2)
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チェコ共和国の首都プラハ。
かつてハプスブルク帝国の王城が置かれ、当時世界最先端の宇宙科学に傾倒していた神聖ローマ皇帝ルドルフ2世によって召集されたティコ・ブラーエやヨハネス・ケプラーといった名だたる天文学者が観測を行った“星の古都”であり、旧市街には天文時計オルロイが数百年の時を超えて今なお、刻一刻と変わりゆく宇宙の姿を表わし続ける。
近年では2006年の夏にこの街で開催された国際天文学連合 (IAU) 総会で冥王星が太陽系の惑星としての地位から追放されたことが記憶に新しい。
中世から21世紀まで、その歴史は常に星と天文とともに在ったプラハ。
そんなプラハの街外れの公園の森の中に、プラネタリウム・プラハ(PLANETÁRIUM PRAHA)はある。
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2015年4月より、プラネタリウム全天周映像作品「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」(チェコ語ではHAJABUSA-příběh sondy, která se vrátila)の上映も始まったプラネタリウム・プラハ。
遠く日本のフルデジタルCG全天周映像作品も上映する気鋭のプラネタリウムは同時に、非常に充実した展示内容を持つ宇宙科学とプラネタリウム投影機そのものの博物館の機能も持っていた。
「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」の鑑賞前に見学したプラネタリウム・プラハの博物館の展示を、ここで紹介したいと思う。
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展示スペースが限られるので、宇宙科学関連はモニター画面を使用したパネル展示がメインとなるが、それでも宇宙科学の各ジャンルを網羅していて大変見応えがあるデータベースとなっている。
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世界各国の太陽系惑星探査を紹介する展示では、しっかり日本の「はやぶさ」も取り上げられている。
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人類初の有人宇宙飛行を果たしたガガーリン少佐の立派な胸像が飾られていた。
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こちらは宇宙食各種。最近のフリーズドライ食品から、食欲をそそらない無機質な缶詰やチューブに入った初期のソ連製のものまで。
かつてここが共産圏チェコスロバキア共和国の首都だった頃の名残りか、ソビエト連邦の宇宙開発に関する資料が非常に充実している印象を受けた。
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プラハのシンボルである、旧市街の天文時計オルロイを詳しく解説したコーナーも。
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そして、展示フロアで一際存在感を放つのが“御本尊”ことプラネタリウム投影機本体。
恐らく引退した先代の投影機だと思うが、この独特のフォルムとシルエットは…
そう名機カールツァイス・イエナ!!
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機体に輝く銘板に刻まれた製造番号は65番。
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カールツァイス・イエナ投影機本体のみならず、制御装置や各種パーツ類も丁寧に並べられ展示されている。
これはプラネタリウムファン、カールツァイスファンには堪らない…!
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モデル番号は23/2とあるが、これは日本国内で最古のカールツァイス・イエナとして知られる明石市立天文科学館の御本尊であるUniversal 23/3の姉妹機ということだろうか?
確かに、2つの恒星投影球を持つ投影機の独特で美しいシルエットが無骨に組み上げられた脚部の上に載っている独特のフォルムは明石のカールツァイスに酷似しており、恐らく同型式だと思われる。
(ちなみに明石のカールツァイスの製造番号は天文科学館の公式サイトによると38番らしいが…)
そしてカールツァイス投影機本体の全体図を見ると、この投影機は台枠の上に載っていて何と車輪があることが分かる。
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実際に車輪を見ることも出来る。
…僕も、結構長いことプラネタリウム巡りをしていてカールツァイスもそれなりに見ていたつもりですが、御本尊にこんな隠された仕掛けがあるなんて知りませんでした。
(後日、明石市立天文科学館のプラネタリウムが大好きで足繁く通っている宇宙ファン仲間に教えてもらったのだが、明石の御本尊にも外からは見えないがちゃんと車輪があるとのこと。し、知らなかった!)
…それにしても、隠された脚部に車輪を持つカールツァイス・イエナ、実は自走式だなんてますます格好いい機械じゃないか!!
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プラネタリウム・プラハの展示フロアにはもう一つ別のカールツァイスもあった。
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こちらは小型の投影機で、製造番号は72番。
小さなドーム天井のある専用の部屋に置かれていて、御本尊の展示用であると同時に投影能力も持っているように見える。
今でも実際に星空を投影することがあるのだろうか。
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かくして、プラネタリウムの投影が始まるまでたっぷり楽しめるプラネタリウム・プラハ(PLANETÁRIUM PRAHA)。
もしあなたがプラハの街を訪れて、森の中のプラネタリウムに「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」を観に行くことがあれば、投影開始時刻まで充分に余裕を持って行かれることを強くお薦めする。
館内に並ぶ魅惑的な展示類に見入っているうちに、すぐに時間が経ってしまう筈だ。
お目当てのHAJABUSA-příběh sondy, která se vrátilaの投影を告げるどこかノスタルジックなチェコ語のアナウンスが聞こえたら、さぁ階段を上がってドーム天井のプラネタリウム投影室へと急ごう。
そこには現役機種のカールツァイス・イエナと素晴らしい画質の全天周映像が、遥々訪れた旅人のプラネタリウム鑑賞者を待っている…!
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→5:星の街プラハ散歩 ヨハネス・ケプラー博物館に続く