大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

國奧4國賽 朝鮮 1-0 中國 ~中国人のブーイングは何に基づくか~

2007-08-07 13:36:23 | サッカー全般
昨日、瀋陽から長春に移動する列車を待合室で新聞を読みながら待っていると、横の男性が新聞を見せてくれないか、と話しかけてきた。彼と話をすると、彼は前日の試合を観に来た後に大連に帰る予定だという。彼は新聞を読み始めると、いきなり、「太臭了(へったくそやなあ)」と叫んで見せた。そう、この一言が日本戦の後に行われた中国・北朝鮮戦で自国の選手たちに、日本選手に対してとは比べ物にならない程強烈なブーイングを浴びせた中国人観客らの深層心理を解くカギなのである。

あの日の日本戦のあと、場内がしばらく落ち着き、自国の試合目当てに観客が続々と増えていく中、我々日本人サポもユニから普段着に着替えてまったり観戦を決め込んだ。まあ、普段着に戻れば我々も日本人であるということに気づかれることもないから、私も食べ物と飲み物を買って次の試合を楽しむことにした。

試合は全く意外な方向に進む。中国が例によって縦ポンで攻撃を仕掛けること自体は別段驚きではないものの、シュートをふかしたり、トラップをミスしたりすることにさえ観客は強烈なブーイングを自国の選手らに浴びせる。逆に北朝鮮がパスをつないだり、サイドから仕掛け(中国が3バックだからサイドは攻め放題)たりすると大歓声が起こる。この試合前半中国は2度もオフサイドの判定で助けられた。うち一度は明らかに後ろから飛び出しているにも関わらず副審が旗を揚げていたのであった。

こうなってくると、北朝鮮頑張れ、という気持ちで見てしまう不思議な自分がそこにいたということを告白しよう。純粋にサッカーの内容だけ見てみると、先ほどの日本との試合よりも面白いと感じる。北朝鮮はW杯予選でもそうであったように結構パスをつないでくるので見ていて面白い。こんなチーム相手によく日本は勝てたな、と思ったが、このチームの選手たちを見ていると高さがない。日本はセットプレーを最大限に利用して森島の頭で先制したのが効いていたのだろう。

となると、中国にパワープレーをやられると北朝鮮は持たないだろうな、と思いながら見ていたら逆に北朝鮮が中国のお株を奪うように、あまり得意ではないパターンで先制してしまう。スローインを頭で後ろに流したところを頭で飛び込んで先制ゴール(実はスタジアムでリプレイがなかなか流れてこないのには笑ったけど、このゴールシーンはリプレイで確認)。このゴールの後には、大歓声と中国チームに対するブーイングが飛び出した。その後中国がパワープレーでゴールに迫るものの高さがあるとはいえない北朝鮮相手にクロスがことごとくはじき返され、サイドをえぐって決まった!と思いきやシュートが枠に行かない、という拙攻を続けて結局1-0で北朝鮮の勝ち。試合終了直後にはブーイングが飛びかったが、ほとんどの観客が一目散に席を立って帰っていったのだった。

この試合でのブーイングを聞いて不思議に思った。自分ところの国を勝たせるためにボツワナを応援して日本にブーイングを浴びせるというならまだ一本筋は通っているしこちらも我慢できる。しかし、自国の選手たちの不甲斐なさにブーイングするというのはどうか?確かに拍手できる内容ではなかったが、試合中にはブーイングではなく、応援で後押しすべきではないのか(その応援も途中で止んでいたのだが)?

ただ、ブーイングする対象が日本と中国のチームであったということにはある種の傾向を感じ取れるかもしれない。日本はかつて戦争で多くの中国人を殺した憎むべき相手で、中国のサッカーはどうしようもない下手クソレベル、といった先入観があればこそ観客らはこの2つのチームにブーイングしていたのかもしれない。

つまり、ブーイングが出たのは確かに潜在的な反日感情の発露には違いないが、自分から見ればそれほど深刻なものではなく、あくまでも試合中においてのものに過ぎず、彼らのブーイングもその場の気分や自分たちの固定観念に基づいてするものなのだろう、というような気がするのである。