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La douce vie

sweetsや美味しいもの,雑貨,映画,art,音楽,本,マンガ,スポーツ観戦,ice show,旅行等ゆるブログです

「柔らかな頬」 桐野夏生

2024-05-06 | book/comic
幼児失踪事件を軸にした物語。

こういう事件のご家族の苦しみようは想像を絶する。ただ、この物語の母親(主人公)に関していえば、事件前からの行動や人間性が丹念に描かれていることで、私個人としてはこの物語に関し、主人公への共感性は生まれず、物語の成り行きを傍観者として読み進めることができる。

この母親にとって、周囲の人は家族すら無自覚であっても利用価値で関わり、相手の気持ちや状況など察したり、思いやりを示したりしようとしない。自分の感情に正直で邪魔になるものは切り捨てる。それが、自分の意志でない時に呆然として、傷付く。その価値観は事件後時間が経っても変わることなく、一生変わらないだろう、と思わせる。

ちなみに結末は私の個人的な考えはあれは母親の夢ではないかと思う。それまでに内海やカスミがいくつか見る白昼夢のひとつだと思う。それは、たとえ物語でも子供が無事である可能性を信じたいという私の願望の表れかもしれない。

「BUTTER」柚木麻子

2024-04-24 | book/comic
男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井。若くも美しくもない彼女がなぜ──。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。

プライドが高く、フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井が里佳に命じる事とは…。
里佳は梶井の影響を受け、どんどん変わっていく…

女性版レクター博士的な話になるのかと思いきや、まぁ、ある意味そうなんですが。

年齢のせいか、バターをたくさん使った料理の話ばかりだとだんだん和食とか新鮮な野菜の話が出てこないかと思ってしまう。

「玉蘭」桐野夏生

2024-04-15 | book/comic
上海と日本、現在と過去。
有子の恋愛と質の半生を描く。

勝手にサスペンスを期待想定して読み始めたので、恋愛物であることが意外でした。

最終章の意外な展開が小説全体に覆っていた重苦しさを払い除けます。
意外だけれど、優しさに満ちている。その優しさも今まで人間臭い登場人物ばかり出ていた桐野作品から比べると意外でした。

どうして、そういう展開になったかというと、私の個人的な意見では、作者の後書きにその理由があるからだと思われます。

「れんげ荘」群ようこ

2024-04-05 | book/comic
40過ぎのキョウコは長年勤めていた広告代理店を辞め、兄家族が母と同居するのを機に一人暮らしを始めることに。
トイレ、風呂共用のれんげ荘は夏は蚊の大群が押し寄せ、冬は隙間風が寒い。初めての一人暮らし、リタイアメント生活を楽しみながら、迷いながら、探している。
母親は激怒、姪は好奇心旺盛、ありそう。

アパートの住人達とも親しくなり、最近はおひとり様や早期リタイアメントをする人達のエッセイなどもあるけれど、この小説は先駆けだったのでしょうか?

「女の園の星」2 和山やま

2024-03-25 | book/comic
和山やまさんの女子高の日常を描いたコメディ。

クワガタボーイの話は世の中せまいな、と思う出来事は時にありますが、生徒の親戚が星先生と同級生だったことから、卒業アルバムをの星先生を見たことから話は始まるのですが、生徒にあんなことされては今の時代だと星先生が気の毒です。小林先生はわりといい人だったと知れるエピソードでした。

世の中狭いといえば、うどんまんのエピソードも。本筋は女子高生あるあるっぽいです。それにしても、うどんまんって、炭水化物と炭水化物の組み合わせ。焼きそばパンみたいなものと思っても、やっぱり主食主食している(笑)

女子高あるあるといえば、星先生が既婚者であることが発覚した後の話も、ありそうで笑えます。このエピソードが一番笑ったかも。

「ハニオ日記 Ⅰ」石田ゆり子

2024-03-07 | book/comic
石田ゆり子さんは動物好きとして知られるきっかけとなった「ハニオ日記」が書籍になりました。

ハニオちゃんとタビちゃんが赤ちゃんの頃からスタートします。(石田家に来るエピソードを読むと母猫ちゃんはどうしてるだろうと気になります)
石田ゆり子さんのアテレコが秀逸です。

書籍として購入するのは迷いがありましたが、収益は保護動物たちのために使われるとのことで、意味はあるかと思い購入。

ページをめくるたび、石田家の犬猫達の日常にあたたかな気持ちになります。

時に病気や怪我で看病する時も誤解を恐れず、公開していらっしゃるゆり子さんですが、犬猫はかわいいだけじやない、歳を取るし、怪我もするし、介護もする、きちんと、そこまでして、飼い主なのだと、ペットを飼いたいと思っている人々に気づきを与える事もほっこりする事と同じくらい、それ以上に大切な事かもしれません。

「悟浄出立」万城目学

2024-02-14 | book/comic
沙悟浄が主人公の1冊と思い込んで読んでいたら、三国志の登場人物が出てきて「?」となり、見返して見たら、短編集でした。
私の勝手な思い込みでした。

日本人でもよく知られている中国の歴史的小説や人物の一人にスポットを当てた短編集でした。

虞美人は元々の話自体子供の頃に可哀想と思っていたけれど、万城目さんの話は違う意味で可哀想です。

「国宝のお医者さん」芳井アキ

2024-01-29 | book/comic
博物館の学芸員・押海が文化財の修理依頼で訪れたのは国宝修理装こう師・五條の工房だった。

スイーツ好きでマイペースで掴みどころのない五條に困惑する押海だが、五條の仕事に惚れ込む。

一巻は登場人物の紹介といったところ。

私はもう少し修復作業の具体的技術描写のシーンを増やして欲しいと思ってしまうが、全般的にはこういう話の方が支持されるんだろうな。

「花よりも花の如く」・22 成田美名子

2024-01-18 | book/comic
前巻からの予感の通り、憲人さんと葉月さんの間に亀裂が…。

やましくないと言いながら嘘をついたり、なんとなく、次のきっかけを作っている憲人さん、無意識といってもやっぱり憲人さんが悪いよな。

道明寺まで二か月半。思わぬ別れもあり、話はいよいよクライマックスへ向かっているのでしょうか。

「西洋菓子店プティ・フール」千早茜

2023-12-12 | book/comic
本屋で平積みにされていて、惹かれました。
まず、タイトルがいい。西洋菓子店の名前がフランス寄り過ぎず、昭和の香りがする中でもおいしさやセンスが信頼できそうな店というのが伺えます。

フランスで菓子作りの修業をしたパティシエールの亜樹は、菓子職人の祖父のもと、下町の西洋菓子店「プティ・フール」で働く。学生時代の女友達、婚約者、仕事仲間、常連客にも背景があり。
店を訪れる人々が抱える様々な事情と、それぞれの変化を描く連作短編集。

登場人物が皆少し癖ありな人々、その中で、じいちゃん(ばあちゃんは少し存在感が薄い)だけが、安心できる存在(私の個人的感想)


洋菓子の制作過程の言葉や描かれ方がきちんとスウィーツが好きな人なのだろうと感じましたが、後書で好きなだけでなく、やはり作家さんは下調べを丁寧にしてるんだな、と感心しました。

終わり方は続編がありそうな気がしたのですが⁈