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徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:有川浩著、『アンマーとぼくら』(講談社)

2018年07月13日 | 書評ー小説:作者ア行

なかなか文庫化されないので単行本を買ってしまいました。『アンマーとぼくら』(2016)は、かりゆし58の「アンマー」に着想を得て書き下ろされた長編だそうで、「かりゆし58」もその名曲だという「アンマー」も知らなかった私は早速YouTubeで検索して、その曲の生誕秘話のビデオまで見てしまったのですが、そうして受けた印象は確かにこの『アンマーとぼくら』の作品の中に生きています。設定は全然違うのですが。

主人公のリョウは休暇で沖縄に帰って来て、親孝行のために「おかあさん」と島内観光して3日間を過ごすお話しですが、この「おかあさん」は実は継母で、実の母親「お母さん」は北海道で教師をしていましたが、彼が小学生の時に癌で亡くなってしまっていました。カメラマンの父親はその喪失に耐えられなかったらしく、撮影旅行に出ることが一層増え、死後1年かそこらで沖縄でガイドをしてもらった女性「晴子さん」に恋していまい、再婚することになり、早々に北海道の家を売って、息子を連れて沖縄に移住していまいます。

作品ではこの無神経ダメ父との思い出が丹念に語られます。お母さんの今際の際の言葉「お父さんを許してあげてね。お父さんは、ただ、子供なだけなのよ」というプロローグで始まるだけあって、この作品は「アンマー(母)」にだけ捧げられる息子の感謝の気持ちだけではなく、この再婚後たった4年であまりにも早くこの世を去ってしまったダメ父にも和解と理解の気持ちが捧げられています。

また、かりゆし58の前川真吾氏が「「女性」と「母性」、この小説に出てくる母親たちの愛情には、二つ分の深さがある、二乗分の美しさがある。」とコメントされたらしいですが、その通り、二人の母、「お母さん」と「おかあさん」の女性としての父に対する愛情も切なく描写されています。その辺はやはり女性の視点なのかなと思いますが。

そしてこの「3日間」が、沖縄が起こしたある種の奇跡であるという趣向も味わい深いです。過去の回想というだけでなく、妙に過去の出来事とその当時の自分の姿を質感を持って感じられることや、自分の「現在」の記憶があやふやであることなどただの休暇の日々でないという違和感が漂っています。それがどういう現象だったのかという説明はありませんし、野暮でしょう。ただ最後にリョウこと坂本竜馬がなぜ沖縄に来ていたのかという現在の本当の理由と状況は説明されています。

偉大な母の愛情やダメ父の分かりづらい愛情も結構ぐっときますが、一番ぐっと来たのは女性としての晴子さんが亡くなった夫に思いを馳せて「いつかニライカナイで会いましょう」と言うところと、あの世で取り合いにならないようにと前妻のお墓参りに行って彼の「魂を分ける」取り決めをしてきたというところでしょうか。女性としても人間としても懐が深い感じがしますね。あと、棺の中のダンナにひっそりとキスをするところも切なくていいシーンでした。

泣けるところが結構あるので外で読む時は要注意かもしれませんね。

親子関係が希薄な私はこうした親子の絆みたいなものが羨ましくもあります。


 

書評:有川浩著、『レインツリーの国 World of Delight』(角川文庫)

書評:有川浩著、『ストーリー・セラー』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、自衛隊3部作『塩の街』、『空の中』、『海の底』(角川文庫)

書評:有川浩著、『クジラの彼』(角川文庫)

書評:有川浩著、『植物図鑑』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、『ラブコメ今昔』(角川文庫)

書評:有川浩著、『県庁おもてなし課』(角川文庫)

書評:有川浩著、『空飛ぶ広報室』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、『阪急電車』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、『三匹のおっさん』(文春文庫)&『三匹のおっさん ふたたび』(講談社文庫)

書評:有川浩著、『ヒア・カムズ・ザ・サン』(新潮文庫)

書評:有川浩著、『シアター!』&『シアター!2』(メディアワークス文庫)

書評:有川浩著、『キケン』(新潮文庫)

書評:有川浩著、『フリーター、家を買う』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、『旅猫リポート』(講談社文庫)

書評:有川浩著、『キャロリング』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、『明日の子供たち』(幻冬舎文庫)

 


書評:カズオ・イシグロ著、『The Remains of the Day(日の名残り)』(Faber & Faber)

2018年07月09日 | 書評ー小説:作者ア行

『The Remains of the Day(日の名残り)』、ようやく読み終わりました。仕事で忙しかったのもありますが、使われている語彙が文学的とでもいうのでしょうか、あまり見ない、知らない単語や言い回しが多くて、読破するのにかれこれ3週間かかってしまいました。『A Pale View of Hills(遠い山なみの光)』や『The Buried Giant(忘れらた巨人)』はもっと読みやすかったのですけどね。

この作品は映画化もされているので、知っている方も多いでしょうけど、イギリス貴族の館に務める執事の話です。物語の「現在」は1956年7月。伝統溢れるお屋敷「ダーリントン・ホール」と一緒にアメリカ人のファラデイ氏に買われた(雇われた)執事、スティーブンスが休暇を貰い、ご主人様の車Fordで旅に出ます。目的地は以前の同僚で、つい最近手紙をくれたミス・ケントン(現ミセス・ベン)の住むコーンウォールのリトルコンプトンという街。お屋敷が今大変な人手不足なので、夫婦関係がうまくいっていないらしい彼女にもしかしたら職場復帰してもらえるかもしれないと淡い期待を抱いて出かけます。それじゃバカンスじゃなくて、半分仕事では?と思わずにはいられませんが、まあ真面目一辺倒で35年間「閣下(his lordship)」と呼ばなければならないような貴族様、ダーリントン卿に仕えてきた執事さんなので、「らしい」といえばそうなのかもしれません。

スティーブンスが語るのは現在の旅行のことが5%くらいで、残りの95%は過去の追憶です。ミス・ケントンに会いに行くので、彼女がらみの追憶が多いのですが、敬愛するご主人様・ダーリントン卿の戦前の国際(裏)舞台でのご活躍についての思い出などもかなり詳細に語られます。また彼の職業について、執事としての尊厳(品格)についての考察部分も多いです。「偉大な執事(great butler)」とはどういう人か、みたいな。執事たるもの四六時中執事でなければならず、プライベートの顔は他人に見られてはならないとか。今時は変わってきているが、彼の世代ではそれが標準、のようなことが語られています。なんかもう「ご苦労様」って感じですが。

語り口は淡々としており、思い出の中の会話からも彼の堅物さ加減が伝わってきます。そして新しいご主人様であるファラデイ氏がどうやらウイットに富んだ受け答えやちょっとした冗談を交えた会話を期待しているらしいということに気づいたので、自分にその方面のスキルがないことを自覚し、大真面目にそのスキルを磨こうとして努力はするものの、現在まで成功していないことを気に病んでたりするところが可笑しいです。いろいろなことを思い出し、旅の途中でいろんな人に出会い、ミス・ケントンにも再会して、ほんのりと彼女に対する過去にあった甘い気持ちをようやく自覚し、人生のあり方とかいろいろ考えた後に、港町のちょっとしたイリュミネーションイベントに集まった人たちの会話を聞きながら、人と人の温かい繋がりには冗談が欠かせないと改めて思い、帰ったら真剣に努力しようと決意を固めて話が終わります。え、そこなの?(笑)

最後の章で、実はこれがすれ違って実らなかった哀しいラブストーリーなのだということが明らかになるのですが、悲しいというよりはほろ苦いけど、滑稽なストーリーですね。「もっと早く気づけよ、バカ」と言いたくもなりますが、そういう鈍い所と真面目に冗談スキルを磨こうとする不器用さがきっとこの執事さんの魅力なんだろうと思いました。


 

書評:カズオ・イシグロ著、『The Buried Giant(忘れられた巨人)』(Faber & Faber)

書評:カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳、『わたしを離さないで』(ハヤカワepi文庫)

書評:カズオ・イシグロ著、『A Pale View of Hills(遠い山なみの光)』(Faber & Faber)

 



書評:カズオ・イシグロ著、『A Pale View of Hills(遠い山なみの光)』(Faber & Faber)

2018年06月17日 | 書評ー小説:作者ア行

 『A Pale View of Hills(遠い山なみの光)』はノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロ氏のデビュー作で、長崎出身で、今は一人でイギリスに暮らす女性エツコが、ロンドンに住む次女ニキが里帰りしていた日々と、遠い長崎での思い出、長女ケイコを身ごもっていた夏のことを語ります。詳しい経緯が説明されているわけではなく、「現在」も「過去」もほぼ会話で成り立っているので、そこから話を総合すると、エツコは戦後オガタ ジローと結婚し、ケイコを身籠った。ジローとの離婚あるいは離別に関しての言及はないのですが、いつか新聞記者のイギリス人と再婚し、渡英して次女ニキを生んだということになるのでしょう。ケイコは引きこもりのようになり、成人して家を出て、マンチェスターのアパートで自殺をしたようです。

回想で語られるのは、ケイコを妊娠していた夏に、アメリカに行くとか行かないとか騒いでいた友人サチコとその娘マリコのこと、福岡に住む元教師の義父が数日滞在してたことなどです。長崎平和公園にあるギリシャ神話の神様のような彫像のことが言及されているので、1955年以降のことなのでしょう。彼女の回想の数々はセピア色の昭和の映画のシーンのようです。

登場人物たちは説得力のあるキャラクター設定で、見事に好きになれない感じの人たちばかり。ケイコ自身もお人好しで物腰の柔らかな女性ですが、基本的にとても保守的で、そのせいでいまだに結婚せずにロンドンでボーイフレンドと同棲している次女と若干衝突します。
元義父の「オガタさん」は戦時中に教師として子どもたちに国家主義を教え諭していた人で、戦後もそれが間違っていたとは考えず、自分たちは必死に働いて社会に貢献してきたと考えるおじいさん。彼と息子のやりとりは「ウザイおやじ」丸出し( ´∀` )
夫のジローは仕事一筋で、都合の悪いことはのらりくらりと逃げてしまうタイプ。
友人だというサチコは、それなりに地位のある父を持ち、英語を習ったこと、そして「いいお家」に嫁いだことにプライドを持っているらしく、現在母子家庭で、ゴミためのような所の小屋に住んでいることを不本意に思っていて、常にエツコにバカにされるまいと言い訳しているような扱いづらい女性で、よく友達やってられるなと感心するようなキャラ。娘のマリコのことを第一に考えていると言いつつ、彼女が嫌っているアメリカ人のボーイフレンド・フランクとアメリカに行くと言ったり、行かないと言ったり…
娘のマリコも頑固で、少々奇怪な行動をとる女の子(10歳くらいらしい)。この母娘が神戸に行くことになり、荷造りしているところで回想が終わっているので、本当に神戸に行って、その後アメリカに行ったのかどうかはまるきり不明です。
この母娘と一緒にケーブルカーに乗って遠出した先で出会った親子との会話も見事にえげつない感じに説得力がありました。三菱工業か何かの社長夫人とその息子らしいですが、英語で書かれているはずなのに「宅の息子は」「宅の息子は」という日本語の自慢話に聞こえてくるから不思議です。

良くも悪くも昭和半ばの日本が切り取られていると感じました。

唯一共感が持てたのは娘のニキだけだったような気がします。全体的にあまり思い出したくないものを思い出させられてしまった気がしました。


書評:カズオ・イシグロ著、『The Buried Giant(忘れられた巨人)』(Faber & Faber)

書評:カズオ・イシグロ著、土屋政雄訳、『わたしを離さないで』(ハヤカワepi文庫)


書評:有川浩著、『明日の子供たち』(幻冬舎文庫)

2018年06月11日 | 書評ー小説:作者ア行

『明日の子供たち』は児童養護施設をテーマにしたお話です。実際に児童養護施設に入ってた当時高校生の女の子が著者に、施設のことをより多くの人に正しく知ってもらいたいので、施設をテーマにした小説を書いて欲しいと手紙を書いたことがきっかけで、著者が取材して作品化したとのことです。文庫のあとがきはこのリクエストをした当事者の方が書いています。

元ソフトウエア関係の営業職だった三田村慎平が児童養護施設に転職するところから話が始まります。彼の施設の子どもたちに対する勝手な思い込みが指導担当の先輩や施設の子供たち、特にしっかりした高校生の谷村奏子に初っ端から打ち砕かれ、少しずつ施設の在り方と子どもたちに対する理解を深めて行きます。本編は5章ですが、章と章の間に子どもたち目線及び他の慎平の同僚たちの目線で書かれた番外編が挿入されています。

基本的に慎平目線で書かれていますが、目線は必ずしも固定されておらず、施設に入所している当事者と施設関係者たちのそれぞれの思いや人生を踏まえた上で、互いにぶつかり、悩み、迷い、歩み寄り、関係を築き上げていく群像劇のような印象を受けます。繊細な気持ちの機微がやさしい視線で描写されており、読者をぐいぐいとカナちゃんや慎平ちゃんや和泉ちゃんや猪俣さんなどの世界へ引っ張り込んでいきます。解説込みで522ページは文庫にしては分厚いですが、読み出したら止まらず、一気読みしました。

私も児童福祉問題に関してはくわしくはないので、この小説を通していろいろと勉強させていただきました。児童福祉は社会の投資であり、「負担」ではないというのは私からすれば当たり前の考え方ですが、「施設の子どもたちはいずれ大人になる【未来の票田】」という見方は目から鱗が落ちるほど斬新に感じました。考えてみればそれも道理なのですが、その道理が児童福祉をもっと重視するように政治家に訴える際にとっさに出て来るかといえば、決してそうではない視点だと思います。


書評:有川浩著、『レインツリーの国 World of Delight』(角川文庫)

書評:有川浩著、『ストーリー・セラー』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、自衛隊3部作『塩の街』、『空の中』、『海の底』(角川文庫)

書評:有川浩著、『クジラの彼』(角川文庫)

書評:有川浩著、『植物図鑑』(幻冬舎文庫)

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書評:有川浩著、『空飛ぶ広報室』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、『阪急電車』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、『三匹のおっさん』(文春文庫)&『三匹のおっさん ふたたび』(講談社文庫)

書評:有川浩著、『ヒア・カムズ・ザ・サン』(新潮文庫)

書評:有川浩著、『シアター!』&『シアター!2』(メディアワークス文庫)

書評:有川浩著、『キケン』(新潮文庫)

書評:有川浩著、『フリーター、家を買う』(幻冬舎文庫)

書評:有川浩著、『旅猫リポート』(講談社文庫)

書評:有川浩著、『キャロリング』(幻冬舎文庫)


書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 3 月下賢人、堂に垂せず』(ビーズログ文庫)

2018年05月29日 | 書評ー小説:作者ア行

『茉莉花官吏伝』の3が届いたので、バカンスの荷造りしなければいけないというのについつい読んでしまいました。

茉莉花が手っ取り早く手柄を立てられるように「荒れた地」に派遣するという話で2巻が終わっていたので、この巻では地方へ赴任する話かと思いきや、州牧補佐として赴任した地方から「地方官交流制度」を通じて更に隣国・赤奏国へ出向することになります。その赤奏国は皇帝位を巡る内乱の一歩手前状態。茉莉花は赤奏国皇帝の暁月に宰相補佐として国の立て直しと敵軍との「和平交渉」を任されますが、王城に残っていた官吏や武官は少なく、物資も足りない状態で、「指示を出す」ことに慣れていない新米官吏には荷が重い話です。

そんな中で彼女は舒海成(じょ・かいせい)という優秀だけどなぜか出世をきらい能力を隠してるっぽい文官に出会い、彼と仲良くなります。そうして内乱を回避するための作戦を練り、その第一段階は何とか成功します。

赤奏国皇帝の暁月は茉莉花を自分の手元に残そうと、舒海成に彼女との結婚を提案するところでこの巻は終了します。赤奏国編はまだ続きそうですね。

茉莉花は特に頭の回転が速いというわけでもなく、自己評価も随分と低いですが、「人として当たり前のこと」をするために文官の力を使うというその当たり前の感覚を持ち続けている善良なところが魅力です。『おこぼれ姫と円卓の騎士』の主人公の王女レティ―ツィアは「騎士王」という神の生まれ変わりで様々な超人的能力をもっており、眉目秀麗、頭脳明晰というスーパーキャラでしたが、茉莉花は「記憶力が超人的にいい」という以外はごく普通のお人好しなお嬢さんなので、今後の成長と活躍がより楽しみな感じですね。


書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『茉莉花官吏伝 2~ 百年、玉霞を俟つ 』(ビーズログ文庫)

書評:石田リンネ著、『おこぼれ姫と円卓の騎士』全17巻(ビーズログ文庫)


書評:石牟礼道子著、『苦海浄土 わが水俣病』(講談社文庫)

2018年05月27日 | 書評ー小説:作者ア行

『苦海浄土 わが水俣病』は、そのタイトルの通り水俣病の記録で、患者自身の訴えや家族の思い、報道記事、目撃者の回想、医療記録などを集めたものです。

残念ながらよく構想されているとは言い難く、記録と水俣弁で語られる患者の訴えが交錯して非常に分かりづらい読み物です。地の分の文章のリズムもよくないので、読み進めるのに苦痛を感じました。

歴史的記録なら別のものを読んだ方が分かりやすいだろうと思います。

もちろん水俣弁で切々と語られる患者の心情などは、非常に心に迫るものがあり、行政に長いこと放置された水俣病患者及びその家族たちの悲哀に同情せずにはいられないのですが、読破するのは断念しました。

 


書評:池井戸潤著、『銀翼のイカロス』(文春文庫)

2018年03月30日 | 書評ー小説:作者ア行

半沢直樹シリーズ第4弾『銀翼のイカロス』が漸く文庫化され、先月遅ればせながら『花咲舞が黙ってない』と一緒に購入し、SAL便で一か月以上かかって昨日届き、イースター休みを利用して一気読みしました。非常に面白いいい作品です。

半沢直樹が破綻寸前の帝国航空を頭取の意向で担当することになり、それによって行内のパワーバランスが崩れてしまい、元々旧東京第一銀行系(旧T)の派閥から敵視されている彼は余計な反感を買ってしまうことになります。帝国航空の経営陣も「いざとなったら銀行が助けてくれるもの」と考えているのか余り危機感がなく、再建に必要な措置にあまり真剣に取り組まない。それでもなんとか銀行側の意向を取り入れた再建計画を練り上げて「有識者会議」とやらのお墨付きを得たところで政権交代が起こり、元TVアナウンサーだった進政党の若手リーダーと目されている、トレードマークの青いスーツに身を包む白井亜希子が国交大臣(誰がモデルなのかよく分かりますね)に就任し、一度決まった再建計画を白紙撤回し、私設のタスクフォースをぶち上げて、そのタスクフォースは一律7割の債権放棄を要求してきます。東京中央銀行の棒引き額は約500億円。とても飲めない無茶な話ですが、なぜか銀行上層部から債権放棄を呑むように圧力をかけられます。半沢は銀行内部の大きな闇に対峙する一方で、功を焦って現実をろくに把握していない空疎な政治家と、功名心で大臣の御威光を笠に着て威張り散らすタスクフォースまとめ役の再建弁護士を向こうに回すことになります。本当に「ご苦労様」という感じですが、読者にはたまらない面白さです。

作中ではいろんな「プライド」がぶつかり合いますが、たとえば「一介の行員の名前を記憶することなど自分のプライドが許さない」とか「プライドばかり高い銀行員」とかネガティブなものもあれば、自分の仕事を全うするプライド、正しいことをするプライドというポジティブな意味のものもあり、最終的には一介のバンカーとしてのプライドがものを言うところが爽快感があっていいですね。

また、半沢が行内で敵だらけとはいえ、同期の情報通である渡真利や広報部次長の近藤といったおなじみの味方ばかりではなく、半沢の姿勢に理解を示す直属の上司である内藤や半沢のかつての恩師のような検査部部長代理の富岡、そしてもちろん行内対立に苦悩し、行内融和に腐心する頭取の中野渡もそれぞれ味わい深い懐の深さや度量を持っていて魅力的です。「サッチャー」と呼ばれる帝国航空のメーンバンクである政府系金融機関の担当者である谷川幸代さんも帝国航空財務部長の山久登も保身第一ではなく、仕事に真摯に向き合う交換を持てる登場人物たちです。

実際のJAL救済の問題や「政治家主導」を掲げて政権奪取した民主党の瓦解が池井戸風に料理されており、それもこの作品の魅力といえます。

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書評:池井戸潤著、『七つの会議』(集英社文庫)

書評:池井戸潤著、『アキラとあきら』(徳間文庫)

書評:池井戸潤著、『架空通貨』(講談社文庫)~江戸川乱歩賞受賞作品

書評:池井戸潤著、『シャイロックの子供たち』(文春文庫)

書評:池井戸潤著、『かばん屋の相続』(文春文庫)

書評:池井戸潤著、『株価暴落 』(文春文庫)

書評:池井戸潤著、『BT’63 上・下』(講談社文庫)

書評:池井戸潤著、『民王』(文春文庫)

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書評:池井戸潤著、『ルーズヴェルト・ゲーム』(講談社文庫)

書評:池井戸潤著、『銀行仕置人』(双葉文庫)

書評:池井戸潤著、『鉄の骨』(講談社文庫)~第31回吉川英治文学新人賞受賞作

書評:池井戸潤著、『果つる底なき』(講談社文庫)~第44回江戸川乱歩賞受賞作

書評:池井戸潤著、『ようこそ、わが家へ』(小学館文庫)

書評:池井戸潤著、『花咲舞が黙ってない 』(中公文庫)


書評:池井戸潤著、『花咲舞が黙ってない 』(中公文庫)

2018年03月30日 | 書評ー小説:作者ア行

昨年秋にいきなり文庫発行された『花咲舞が黙ってない 』(中公文庫)は、「読売新聞」朝刊に2016年1月17日~10月10日に連載されていたそうですが、私は作家「池井戸潤」の新刊というだけで購入した次第です。

連作短編集『不祥事』(2004年発行)の続編で、時代設定は当時のまま花咲舞と合併前夜の東京第一銀行の物語が綴られています。ライバル行である産業中央銀行と合併準備が進行中ということもあって、半沢直樹が同行の企画部調査役としてちょい役ではありますが登場します。いえ、登場回数は少ないものの決定的な役割を果たすので、かなり重要な役回りですね。

主人公の花咲舞は己の領分・臨店指導で「銀行を良くしたい」という正義感を発揮し、次々露になる東京第一銀行のスキャンダルと隠ぺい体質に果敢に立ち向かいます。その中で重要な役割を果たすのが企画部特命担当調査役の昇仙峡玲子です。産業中央銀行側の半沢直樹と対を成す役職という位置づけで、特に花咲舞の味方というわけでは全然ないクールな女性なのですが、舞の方は彼女に期待して、自分の発見したことや思いなどを彼女に訴えます。

舞は「女半沢」みたいなところもありますが、もっと感情的で暴走しがちです。紆余曲折を経ながらも出世していく半沢直樹とは政治力やバンカーとしての実力がかなり違いますね。

第1話から7話までありますが、短編連作というほどバラバラではなく、かといって一つの物語としてまとまっているのかというとそれほどでもない、全体的に緩やかな繋がりがあります。このため、ページを繰る手が止まらないということはなく、1話が終わったところで問題なく休憩できます(笑)

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書評:池井戸潤著、『七つの会議』(集英社文庫)

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書評:恩田陸著、『小説以外』(新潮文庫)

2018年03月06日 | 書評ー小説:作者ア行

この『小説以外』というエッセイは「ヤバい」です。

商品紹介には、「本好きが嵩じて作家となった著者は、これまでどのような作品を愛読してきたのか? ミステリー、ファンタジー、ホラー、SF、少女漫画、日本文学……あらゆるジャンルを越境する読書の秘密に迫る。さらに偏愛する料理、食べ物、映画、音楽にまつわる話、転校が多かった少女時代の思い出などデビューから14年間の全エッセイを収録。本に愛され、本を愛する作家の世界を一望する解体全書。」とありますが、その通り本の話題が多く、しかも著者の読書歴が私の読書歴とほとんど重ならないため、読みたい本が大量に発生してしまったのです!!!

ただでさえ興味を覚えた本はどんどん買ってしまう癖がついている私には未読の本が山のようにあるのに、さらに大量に「アレも面白い、これも面白い」とお勧めされてはチェックしないわけにはいかないではないですか!

それで早速買ってしまったのがアガサ・クリスティーのミスマープル・シリーズやポワローシリーズなどの9冊です。誕生日のプレゼントに同僚からいただいた図書券を使って原語の電子書籍を1冊あたり4~5€で。(ダン・ブラウンの「オリジン」やカズオ・イシグロ作品数点も原語で買ってあるのに、いつ読めることやら)。クリスティーは推理小説の古典で、すでに大量に映画化・ドラマ化されているため、原作を読んだことなくても題名や粗筋を知ってたりするわけですが、ずっと気にはなっていたのです。

そういう意味では江戸川乱歩作品も気にしてます。小・中学校の時に何冊か読んでいるのは確かですが、「読んだ」という事実を認識しているだけで、題名も粗筋もすっかり忘れてしまっています。大人になった今読んだら別の感慨があるかも知れないと思うのですが…

まあ、そういう感じで『小説以外』には著者の読書熱が伝染するエッセイが盛りだくさんなのです。

その他恩田氏自身の小説の裏話とか、書こうとしている小説の話とか、「ふーん、こういう風に考えていたんだ」と興味深く読ませていただきました。萩尾望都の漫画が好きで、そのイメージが小説にも反映されているというのを読んで親近感が湧いた一方で、全然それが分からなかったことにちょっとショックを受けたり...

巻末には恩田作品の一覧が年表になって(2008年まで)記載されており、その中にも未読のものが何冊かあるのを発見してしまい、なんかもうきりがないです。

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三月・理瀬シリーズ

書評:恩田陸著、『三月は深き紅の淵を』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『麦の海に沈む果実』(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『黒と茶の幻想』上・下巻(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『黄昏の百合の骨』(講談社文庫)

関根家シリーズ

書評:恩田陸著、『Puzzle』(祥伝社文庫)

書評:恩田陸著、『六番目の小夜子』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『図書室の海』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『象と耳鳴り』(祥伝社文庫)

神原恵弥シリーズ

書評:恩田陸著、『Maze』&『クレオパトラの夢』(双葉文庫)

書評:恩田陸著、『ブラック・ベルベット』(双葉社)

連作

書評:恩田陸著、常野物語3部作『光の帝国』、『蒲公英草紙』、『エンド・ゲーム』(集英社e文庫)

書評:恩田陸著、『夜の底は柔らかな幻』上下 & 『終りなき夜に生れつく』(文春e-book)

学園もの

書評:恩田陸著、『ネバーランド』(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『夜のピクニック』(新潮文庫)~第26回吉川英治文学新人賞受賞作品

書評:恩田陸著、『雪月花黙示録』(角川文庫)

劇脚本風・演劇関連

書評:恩田陸著、『チョコレートコスモス』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『中庭の出来事』(新潮文庫)~第20回山本周五郎賞受賞作品

書評:恩田陸著、『木曜組曲』(徳間文庫)

書評:恩田陸著、『EPITAPH東京』(朝日文庫)

短編集

書評:恩田陸著、『図書室の海』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『朝日のようにさわやかに』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『私と踊って』(新潮文庫)

その他の小説

書評:恩田陸著、『蜜蜂と遠雷』(幻冬舎単行本)~第156回直木賞受賞作品

書評:恩田陸著、『錆びた太陽』(朝日新聞出版)

書評:恩田陸著、『まひるの月を追いかけて』(文春文庫)

書評:恩田陸著、『ドミノ』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『上と外』上・下巻(幻冬舎文庫)

書評:恩田陸著、『きのうの世界』上・下巻(講談社文庫)

書評:恩田陸著、『ネクロポリス』上・下巻(朝日文庫)

書評:恩田陸著、『劫尽童女』(光文社文庫)

書評:恩田陸著、『私の家では何も起こらない』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『ユージニア』(角川文庫)

書評:恩田陸著、『不安な童話』(祥伝社文庫)

書評:恩田陸著、『ライオンハート』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『蛇行する川のほとり』(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『ネジの回転 FEBRUARY MOMENT』上・下(集英社文庫)

書評:恩田陸著、『ブラザー・サン シスター・ムーン』(河出書房新社)

書評:恩田陸著、『球形の季節』(新潮文庫)

書評:恩田陸著、『夏の名残りの薔薇』(文春文庫)

書評:恩田陸著、『月の裏側』(幻冬舎文庫)

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2018年03月02日 | 書評ー小説:作者ア行

『月の裏側』はどちらかというとホラーだと思うのですが、途中から得体の知れないものに対する恐怖は消えて、SF的な人類の進化みたいな展開になります。

小説の舞台は福岡県の水郷都市・柳川をモデルにした箭納倉で、そこでは昔から人が唐突に失踪し、しばらくすると失踪期間中の記憶をなくして何事もなかった戻ってくる事件が頻発していました。

ごく最近消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女で、彼女らも何事もなかったかのように1週間くらいで戻ってきました。事件に興味を持った元大学教授・協一郎はかつての教え子・多聞と新聞記者の高安を呼んで真相の究明に乗り出します。途中で里帰りした協一郎の娘・藍子も調査に加わります。

「あれ」は水の中からやってきて、生き物をさらっていき、入れ替えまたは作り変えて元に戻すらしい。多くの住民がすでに「盗まれて」いるかもしれない?!という具合に中盤までどんどん緊張感が増していき、ついに「そして誰もいなくなった」的な状況になります。取り残された協一郎、多聞、高安、藍子らは町を出ることも考えましたが、結局事態がどこまで広がっているのかわからないため、その場に留まり記録を残すことにします。その間の薄気味悪い状況はホラーというよりは終末世界のようです。彼らは記録はしますが、戦おうとはしません。むしろ「あれ」を受け入れる方向に向かいます。「あれ」の正体は最後まで明らかにはされません。その謎めいた感じがいかにも恩田ワールドという感じです。読後感はあんまりよくないですね。

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