福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

応招義務について(3)「正当な理由」に医療費未払い患者は含まれない

2009年04月01日 18時26分10秒 | 医療、医学
 患者からの診療要請に対応しなくとも良い「正当な理由」を考える上で参考になるのは「昭和24年通知」と言われる厚生省医務局の「病院診療所の診療に関する件」と言われる通知である。応招義務について厳しい基準が示されている。
 一部表現を変え以下に示す。
■ 医療費が不払いの患者であっても、直ちに診療を拒むことはできない。
■ 診療時間外であっても、急を要する患者の診療を拒むことは許されない。
■ 特定の人々の診療に従事する医師または歯科医師であっても、緊急の治療を要する患者があり、その近辺に他の医師または歯科医師が居ない場合には、診療の求めに応じなければならない。
■ 天候の不良等も、事実上往診が不可能な場合を除き「正当事由」には該当しない。
■ 医師が標榜する診療科以外に属する疾病について診療を求められた場合も、患者が了承する場合は一応正当の理由として認めるが、それでも診療を求めるときは、応急の措置その他、出来るだけの範囲のことをしなければならない。

 要するに、社会のルールとして医療以外では絶対あり得ない、「代金を支払わない客にも商品を売りなさい」と言うことと同義で、これに反すれば違法と言うことである。
 これほどの不公平な条件下でも診療契約を結べ、と言うのだから、如何に医療関係者はコケにされているか分かろうというものである。これが人道的対応?なのかと思う。医療とは直接関係ない事務処理上の負荷を何で医療機関に負わすのか?

 厚労省の「医療機関の未収金問題に関する検討会」は昨年6月報告書を取りまとめた。検討会で委員から「悪質な未払い患者に対する応招義務の解釈について見直しを検討すべき」との指摘が出されたが、厚労省は「応招義務の条項を無くするような検討はできない」とし、「解釈の検討自体が難しい」と強調した。結局、両論併記にとどまったが、応招義務の解釈に若干の進展は見られたと言うべきであろう。

 医療機関の請求に基づき、保険者である市町村が患者に対して一部負担金の強制徴収を行う「保険者徴収制度」と言うのがあるが、平成18年度実績で請求が僅かに159件で、実際に回収できたのは2件、34万円であったと言う。

 本来は医療機関が窓口徴収の代行を返上し、患者は保険者である市町村に医療費を払うようにすれば、医療機関の未収金問題は100%解決する。

 ちなみに、私共の病院の未収金の詳細は提示できないが、平成13年以降現在までおおよそ3.000件以上、額にして5.000万円を優に超える。これは病院の運営上でもゆゆしき額である。

 

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1 コメント

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逃亡者 (こまち)
2009-04-03 20:24:02
私は昔お金を払わずに逃げた患者さんと出会ったことがあります。
変だなとは思ったんですが(コートの下が病衣でした)まさかのまさかでした。
あとで警察がタクシー一台一台に写真を持って聞いて回っていたそうです。

病院へ戻って誰かに知らせるべきだったと後悔しました。
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