福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

作家 佐藤亜有子氏を知る

2019年02月25日 10時59分52秒 | 書評
 最近、私は季節柄外仕事がないために冬眠状態。座学に向けられる時間が多く、結果としてかなりの時間を読書にあてている。特に今年は降雪量が少なく除雪の作業も少ない。 
 ダリア関連の作業終了後は書斎にこもっている。新旧含め40-50冊は読んだっだろうか。運動不足が気になるが本を離すことができない。

 たまたま3週間ほど前に、他の小説を介して作家の佐藤亜有子氏の存在を知った。
 私は同郷意識はないといえば嘘であるが、学校などの同門意識はほとんどない。氏はたまたま岩手県出身で、私と同じ盛岡一高卒であった。ちょっと驚いた。

 氏に関してはあまり資料がない。Wikipediaを手がかりに孫引きとかで資料を集めた。氏は(1969年-2013年1月5日)は1989盛岡一高卒、1994東京大学文学部仏文科卒。
 東大仏文を卒業して陰鬱な小説を書いたので、大江健三郎と重ねあわせて持ち上げられた。

 1996年「ボディ・レンタル」で文藝賞優秀作に選ばれ、東大出身が書いた性愛小説として話題を呼ぶ。以後、SM純文学小説や『東京大学殺人事件』などの作品がある。
 1997年、「葡萄」で第117回芥川賞候補となった。

 2008年、5年の沈黙ののち、大学の医学系の研究者である父親から、姉と共に長期にわたる性的虐待を受けていたこと、精神を病んでいることをメインに描いた「花々の墓標」を上梓した。氏は、虐待による屈辱をバネにがんばって東京大学に合格した、と語ったことがある。

 自身のPTSDを乗り切るために性的な遍歴も繰り返した。後に夫となる人と出逢い、人生が好転するように見えたが、そうはいかず、2013年1月5日、アルコールを併用した急性薬物中毒のため東京都内の自宅にて死去。3ヶ月後の4月5日にその死が公表された。

 氏の作品は以下のごとく。□は既読作品。
——————————————————————————————
□「ボディ・レンタル」河出書房新社 1996 のち文庫
□「生贄」河出書房新社 1997 のち文庫
■「首輪」河出書房新社 1998
□「東京大學殺人事件」河出書房新社 1999 のち文庫
■「アンジュ」角川書店 2000
■「タブー」河出書房新社 2000
■「抱いて、そしてそのまま殺して」河出書房新社 2003
■「媚薬」河出書房新社 2003
■「花々の墓標」IFF出版部ヘルスワーク協会 2008
□「ママン愛人」河出書房新社 2013
——————————————————————————————

 私はまだ氏の作品は一部しか読んでいないが、これらに共通するのは「死」、「自殺企図」、「自殺」、「家族の自殺による喪失」、「アルコール性精神障害」・・・と私が興味を感じているジャンルである。氏の生い立ちから晩年の生活が表現されていると感じられ、作品に引き込まれた。作品は入手困難となっているが、求めて読んでみたいと考えている。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本の司法制度のあり方(2) ... | トップ | 本「ママン愛人」 佐藤亜有... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

書評」カテゴリの最新記事