福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

医療崩壊(25)救急医療崩壊(5)秋大附属病院がついに広告を出した

2008年04月26日 04時40分04秒 | 医療、医学
 秋田大学附属病院が住民の方々に診療機能を周知させるために地方紙に広告を出し呼びかけた。内容は、以下の2点である。
■『高度・先端医療を提供する特定機能病院です。他の機関からの紹介状を必ず持参してください』
■『高度救命診療を担当する三次救急医療施設です。他の医療機関から救急車で搬送される特に重篤な患者さんの診療を行います』

 これと同じ趣旨の広告はTVスポットでも流したらしい。

 この広告の主たる目的は後半の部分にあり、附属病院の高度の救急診療体制が近隣地区の住民の軽症疾患の急患の受診によって物理的に占拠され、救急対応が限界状況、機能障害の域に達しつつあるからである。若手医師は過重労働で不満も高じて来ている、と言う。

 しかし、この現象は何も大学病院だけの問題ではない。秋田市内の二次救急を扱う救急病院にも特に20:00頃から軽症の患者が受診し救急診療担当医師を悩ませている。何でこの時間帯かというと、夕食を摂り、入浴など済ませてから、さて不調の家族を連れて受診、というような家族が増えてきているからである。救急車をタクシー代わりに利用する傾向も同じである。いわゆる、救急医療のコンビニ化である。これも医療崩壊の一因である。

 附属病院も困り果てたのであろうが、この広告だけでは「軽症者の急患難民」を作るだけである。軽症の患者達はどうすればいいのか、市内の他の救急病院を受診することになろうが、そこでも軽症患者が溢れて機能障害に陥っているという事情は同じであり、そこの負担を増すだけである。広告の前に、あるいは同時にやるべき事もあったように思う。

 救急診療の改善策の基本は、まず適正な受診指導による需要の軽減と、医療提供側の機能分担であり、病診、病病連携である。秋田市の救急診療の今後は医師の学術的・機能的集団である市医師会の理解と行動に負っている。
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