福田の雑記帖

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医療崩壊(19)平成20年度医学部入学定員増は16大学で168名

2008年04月09日 06時26分53秒 | 医療、医学
 わが国の医師数は、平成9年の閣議決定以降、医学部の入学定員数を引き下げる施策がとられた。しかし、2007年8月30日、関係省庁連絡会議は養成数を前倒しするという名目で医学部入学定員増を決定した。対策は二大別されるが、その内容を整理すると以下の如くである。

(1)「新医師確保対策」として10年間に限って医師不足が深刻な10の地域と自治医科大学の医学部定員増を平成20年度から最長10年間に限り容認。最大110名の増となる。
(2)「緊急医師確保対策」として各都道府県で平成21年度からの最長9年間(公立大学は平成20年から10年間)医学部定員を最大5人、北海道だけは例外的に15人増を容認。最大285名増となる。
(3)「緊急医師確保対策」として医師養成数の特に少ない神奈川県の横浜市大、和歌山県の県立医大には恒久的に20人の増員を容認。

 この施策は20年度から実施されているが、実際に入学定員を増やした大学は以下の通りと発表されている。

(1)「新医師確保対策」による増員は平成20年度からで、弘前・岩手・秋田・山形・福島・自治・新潟・山梨・岐阜・三重が10名、信州が5名の計105名。
(2)「緊急医師確保対策」による平成20年度からの増員はすべて公立大学で、札幌、福島県立、奈良県立が5名、横浜市立が20名、和歌山県立25名、京都府立が3名の計63名である。
(4)「 緊急医師確保対策の平成21年度からの医学部の定員増の申請は国立12大学で、筑波・千葉・岐阜・島根・広島・大分・徳島・香川・愛媛・大分・長崎・鹿児島が各5名、佐賀が2名の計57名となっている。

 従って、平成20年度から医学部入学定員は168名の増、21年度からは225名の増員と言うことになる。
 横浜市立大学、和歌山県立大学に特別恒久的増員が認められたのは、他の医科大学、医学部の入学定員数が80名以上、大部分が100名程度となっているが、この2大学だけもともと入学定員数が60名と少なかったためである。

 これらは国が医師絶対数の不足を認める前のの施策であり、わが国の医師の絶対数不足を補っていくのにまだ焼け石に水である。絶対的医師不足を認めた今、更なる抜本的対策が望まれる。
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