わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

茶の話25(商人の茶の湯1)

2011-12-02 22:29:19 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
利休は堺の商人の出ですが、織部や遠州、石州は大名でしたので、自然と武士(武家)の茶の湯として

確立して行きます。一方商人階級(豪商)においても、博多(神屋宗湛 そうたん)や京都の商人を

中心に「茶の湯」は活発に発展して行きます。

尚、信長や初期の秀吉の時代に勢力のあった、堺の商人達は、秀吉が堺の環濠を埋め立て頃(1586年)

から勢いが無く自治体も衰弱して行きます。

1) 「関が原の戦」以降の茶の湯

  ① 御朱印船貿易

   徳川家康は、新たに海外貿易に許可制を導入し、「朱印状」を発給します。

   中国の明とは、秀吉以来外交が断たれてい為、貿易相手国は、主に東南アジアの、シャム(タイ)、

   カンボジア、マレー半島、ルソン島などでした。マニラのアユタヤには、日本町も作られています。

  ) 輸入品として、生糸や絹、武具用の鮫皮、砂糖などでした。その他には、茶道具も含まれて

    いました。即ち、「南蛮物、嶋物(しまもの)」と呼ばれる製品で「ルソン茶壷」、茶入、

    粽(ちまき)、縄簾(すだれ)、〆切などの「各種水指」、「安南蜻蛉手茶碗」「柿香合」

    などの陶磁器類や、伽羅(きゃら)などの香木、象牙などでした。 

    注: ルソン茶壷は、茶葉の保存に適していた為、特に珍重されます。

  ) 輸出品としては、銀、刀、硫黄などでした。

 ② 朱印船貿易と渡航禁止と帰国禁止令

   朱印船貿易で財を成した京都の豪商には、角倉了以(すみくらりょうい)、初代茶屋四郎次郎、

   大坂の末吉孫左衛門、長崎の末次平蔵らがいます。更に、九州の大名の島津、松浦、有馬、細川、

   鍋島なども加わります。幕府は、西国大名の勢力拡大を恐れ、1609年大名の大船の保持を禁止し、

   特定の商人(特権商人)のみに限ります。更に、1935年には海外渡航と帰国の禁止令が出て、

   朱印船貿易は終焉と成ると同時に、我が国は鎖国の時代に入ります。

   ) 京都の茶屋四郎次郎の邸宅跡から、大量の茶陶器が発見されています。

   ) 豪商達が所持して、その名を残した茶陶には、以下の物があります。

    角倉金襴、茶屋肩衝、茶屋瓢箪、本阿弥肩衝、雨漏堅手有来(うらい)、栄任肩衝などです。

   ) 鎖国時代であっても、中国とオランダは特別貿易が許されていました。

     それ故、出島のオランダ商館を通じて、わが国よりオランダや中国に、大量の陶磁器が

     発注されています。1635年の「磁器とオランダ連合東インド会社」によると、オランダの

     船など四隻が、染付け鉢38,864個、染付皿1,400枚、紅緑皿450枚、その他飯茶碗や湯吞茶碗

     など、総数13万5905個が輸入されています。

     同じ年に、中国から磁器が75万個入ってきます。この中には、茶壷47個、茶碗1400個、福州の

     茶壷1127個も入っていました。これらの注文主は、諸国の大名や商人達でした。

     特に、家光の老中であった、掘田正盛(加賀殿)が有名です。

     これらは、茶会で水指や香合とともに、使われています。

 ③ 特権商人と茶の湯

   朱印船は廃止に成りましたが、各地の大名と結びつき勢力を伸ばした特権商人が、次々に

   出現します。主に武士階級に広がった「茶の湯」も、商人達に広がって行きます。

   京都では、後藤、本阿弥、雁金(かりがね)屋、十二屋、大文字屋などの豪商です。

   彼らは、「茶の湯」を嗜(たしなむ)み、又、多くの名物茶道具を所持していました。

  ・ 特に大文字屋は、京都を代表する豪商で、利休や織部に師事し、後に家康に取り入り、

    勢力を拡大します。茶の湯を通して、諸国の大名と交流を重ねます。更に、阿波蜂須賀家、

   筑前黒田家、津山藩(岡山県)、薩摩藩などの蔵米を担保に金銀を貸し付ける、大名貸しを

  していました。当然、「日野肩衝」など大名物も多数所持していました。

  注: 大名物とは、室町幕府が所蔵した、美術工芸品の事です。

 以下次回に続きます。
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