わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

窯を築く13 施工5

2016-09-15 15:32:11 | 陶芸の窯を築く
7) 窯を作る作業 

 ② 耐火レンガ(煉瓦)を積む。  (以上が前回までの話です。)

 ③ 扉を作る。(ここでは薪を利用する窯は除きます。)

  窯の本体が出来上がったら、次に扉を作る事になります。扉には上扉型と横扉型があります。

  電気窯の場合は上扉型が多く、燃料を使う窯では、横扉型が多い様です。扉には、右開きと、

  左開きがあります。市販されている窯は、扉が右側に移動する方式が多い様です。但し自作の

  窯であれば、左右どちらでも良く、窯出し窯詰めの事を考え、作業し易い方向にする事ができ

  ます。上扉型では、背の高い窯では、底が深い為、窯詰めが困難になります。場合によっては、

  窯の前に踏み台を置いて窯詰め作業をする場合もあります。又後ろ側を支点として扉を開閉する

  方法が一般的で、窯詰めの際、扉が閉まらない様に「つっかい棒」で支える必要があります。

  当然扉の内側には、本体と同じ種類の耐火煉瓦を、貼らなければなりません。

  扉に付随した部品に、複数の蝶番(ちょうつがい)と、窯を閉じた際にはネジ止めになります

  ので、「ネジやナット」が必要になります。いずれもDITの様な工具を扱う店にあります。

  ナットでは丸いハンドルの付いた物を使うと便利です。

  ⅰ) 扉を別の場所で作り、後で取り付ける方法が一般的です。

   但し、寸法を確認しながら制作しないと、扉がぴったり嵌らなくなりますので、くれぐれも

   確認が必要です。但し適度の隙間が無ければ、扉はスムーズに嵌りません。

   隙間を塞ぐには、綿状の部材(クッション材)を使います。この件に関しては、後で述べます

   a) 扉は鉄板を土台にして、耐火煉瓦を取り付ける事になります。

    鉄板は一枚板で、ある程度の厚みがあり、四辺は内側に直角に立ち上げ強度を持たせます。

    更に、後で蝶番(二箇以上)を取れつける為のネジ穴を開けておきます。更に扉を閉めた

    状態で固定する為に、蝶番と反対側に鉄製の「コの字」の部材を取り付けます。上下に2個

    必要です。鉄板は耐火性のある塗料(市販されています)で、塗装を施しておきます。

    扉の重量も大きくなりますので、頑丈な鉄板を使う必要があります。ちなみに、当方では、

    廃棄したスチール製の物置の扉を利用しました。

   b) 耐火煉瓦は耐火モルタルだけでは、鉄板に取り付ける事では十分な強度が出ません。

    しっかり接着し取り付ける為には、長めのネジとナットで止めます。ネジとナットはステン

    レス製にし、ネジ径は3~4mm程度が最適です。耐火煉瓦にネジの径よりやや大きめの

    穴を開け、更にレンガの1/3程度の深さまでネジ頭が入る穴を開けます。一つのレンガに

    最低2本のネジを通します。当然、鉄板にもネジ径ほどの穴を明けます。

   c) ネジをレンガと鉄板に通し、ネジ頭はレンガ側にします。ネジ頭はレンガの中に埋没させ

    ネジ頭と反対方向にナットを掛け、レンガを鉄板に密着させます。工具として六角レンチと

    +(プラス)のドライバーが必要になります。

   d) 埋没したネジ頭には、耐火モルタルを詰め込み穴を塞ぎます。

    ネジが直接窯の熱に晒されると、酸化が進みネジがボロボロに成ってしまいますので、

    ネジ部は窯内部方向に露出させない事です。

   e) 窯の天井がアーチ状に成っていれば、扉の上部も同じカーブのアーチでなければなりま

    せん。上扉の場合には、構造もやや簡単な平たい扉になります。

    又扉のレンガの厚みも、窯の他の場所と同じにする必要があります。鉄板に取り付けた

    レンガの上に、更に耐火レンガを積み上げ、耐火モルタルで接着します。

   f) 扉は垂直に立てて使いますので、レンガの重量は一番下のレンガに掛ます。それ故一番

    下になる耐火レンガは特にしっかり(強固に)鉄板に取り付ける必要があります。

   g) 蒸気抜きの穴を扉の上部に開ける。又炎の色を見る穴も開けます。

    素焼きの際には、温度上昇と共に水蒸気が大量に発生します。水蒸気が窯の内部に溜まると

    天井部分に水滴と成って溜まり、やがて落下してきます。又本焼きの際にも、施釉時の水分

    が蒸発し天井に水滴と成って落ちてきます。この場合には、作品の釉の上に落ち、釉のムラ

    と成って現れます。それ故、蒸気を外に逃がす必要があります。一般的には窯焚きの当初は

    扉を少し開け、水蒸気を外に逃がします。扉の中央上部に蒸気抜きの穴を設ける事により、

    扉の開ける量を少なくする事ができます。当然、扉を大きく開ける程熱は外に逃げますので

    燃料が多くいる事になります。現在では炎の色を見て、窯の温度を見極める事は少なくなり

    熱電対温度形を使いますので、色味用の穴は必ずしも必要ではありませんが、ゼーゲル

    コーンを使う場合には、コーンの倒れを確認する穴は必要になります。

    穴を開けた部分には、不要な際に穴を閉じる為に、耐火レンガ製の棒状の部材が必要です。

  ⅱ)扉を取り付ける。

以下次回に続きます。
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